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「そんなこと、あるわけないじゃないですか……っ。キライだなんて……。わたしが、ショウを嫌うだなんて……そんなことは絶対にありません」
「じゃあ好き?」
「当たり前です、今でもショウのことは大好きです! わたしだってショウのこと……一日も忘れたことなんて……! でも……でもだからこそ会えないんです」
伊織のその言葉に、宗一郎は衝撃よりも諦めに似たような気持ちで、どこか他人事のようにああ、やっぱりと思った。
伊織の言葉の端々から伝わってくる、ショウに対する想い。
それほどまでにショウが好きなのに、伊織がショウに会えないのはきっと自分がいるからだ。
(俺が、伊織の彼氏だから……)
伊織はきっと宗一郎と付き合っている限り、ショウとは会わないだろう。
きっとそれが宗一郎に対する裏切り行為になるのをわかっている。
だから会わない。
(でも、伊織はショウを好きなんだろう?)
ずっと伊織を見てきた自分にはわかる。
伊織が、自分を想う感情とは別次元でショウを愛しく想っていることが。
「……ショウは、君のこと待ってる。ずっとずっと。だから、ショウと会うこと、もう一度考えてみてくれないか」
「――っ。わ、わかりました……」
伊織のその返事に、種田が安心したように微笑んだ。
「ありがとう。今日は本当はそれを言いに来たんだ。――あ、そうだ。伊織ちゃん、これ僕の連絡先。ショウに会いたくなったらいつでも連絡して」
「……はい」
「それから神」
種田がふいに視線を向けてきた。
宗一郎はショックでぼんやりした頭で、種田のその瞳を見つめ返す。
「伊織ちゃんのことよろしく頼むよ。大事にしてやってくれ」
「…………」
とんでもない皮肉だと思った。
今、伊織には別の想い人がいるとはっきりわからせたのは種田本人のくせに。
その伊織の想い人との橋渡しを請け負ったばっかりのくせに。
いったいどんなつもりでそんなひどいことを言うんだろうか。
咄嗟に返す言葉が見つからず、宗一郎は小さく頷いた。
安心したように微笑む種田に、怒りよりも吐き気が込みあげてくる。
種田は一部始終を黙って見守っていた牧を振り返ると、最初に来たときのように深くお辞儀をした。
「それじゃあ、僕はこれで帰ります。牧さん、貴重な練習時間にお邪魔してすみませんでした」
「なんだ、もう帰るのか? よかったら一緒に練習していかないか?」
「それはとても興味の引かれるお誘いなんですけど、そろそろ学校に戻らないとキャプテンにどやされちゃいますので」
「そうか……。残念だな」
「ふふ、またの機会にお願いします」
「おう」
「それじゃあ。……伊織ちゃん、連絡待ってるよ」
それだけ言い残して、種田は去っていった。
宗一郎はいろんな感情が混ざってぐちゃぐちゃになった心で、その背中を見送った。
それから練習が終わるまで、宗一郎はショウのことが気になって練習に集中することができなかった。自主練中の今も、それが尾を引いてしまっている。
しかしそれはどうやら伊織も一緒のようで、あれからずっとミスを繰り返していた。
あのままではケガをしてしまうんじゃないかと心配したけれど、今の宗一郎には伊織を庇ってやれるだけの余裕がなかった。
「じゃあ好き?」
「当たり前です、今でもショウのことは大好きです! わたしだってショウのこと……一日も忘れたことなんて……! でも……でもだからこそ会えないんです」
伊織のその言葉に、宗一郎は衝撃よりも諦めに似たような気持ちで、どこか他人事のようにああ、やっぱりと思った。
伊織の言葉の端々から伝わってくる、ショウに対する想い。
それほどまでにショウが好きなのに、伊織がショウに会えないのはきっと自分がいるからだ。
(俺が、伊織の彼氏だから……)
伊織はきっと宗一郎と付き合っている限り、ショウとは会わないだろう。
きっとそれが宗一郎に対する裏切り行為になるのをわかっている。
だから会わない。
(でも、伊織はショウを好きなんだろう?)
ずっと伊織を見てきた自分にはわかる。
伊織が、自分を想う感情とは別次元でショウを愛しく想っていることが。
「……ショウは、君のこと待ってる。ずっとずっと。だから、ショウと会うこと、もう一度考えてみてくれないか」
「――っ。わ、わかりました……」
伊織のその返事に、種田が安心したように微笑んだ。
「ありがとう。今日は本当はそれを言いに来たんだ。――あ、そうだ。伊織ちゃん、これ僕の連絡先。ショウに会いたくなったらいつでも連絡して」
「……はい」
「それから神」
種田がふいに視線を向けてきた。
宗一郎はショックでぼんやりした頭で、種田のその瞳を見つめ返す。
「伊織ちゃんのことよろしく頼むよ。大事にしてやってくれ」
「…………」
とんでもない皮肉だと思った。
今、伊織には別の想い人がいるとはっきりわからせたのは種田本人のくせに。
その伊織の想い人との橋渡しを請け負ったばっかりのくせに。
いったいどんなつもりでそんなひどいことを言うんだろうか。
咄嗟に返す言葉が見つからず、宗一郎は小さく頷いた。
安心したように微笑む種田に、怒りよりも吐き気が込みあげてくる。
種田は一部始終を黙って見守っていた牧を振り返ると、最初に来たときのように深くお辞儀をした。
「それじゃあ、僕はこれで帰ります。牧さん、貴重な練習時間にお邪魔してすみませんでした」
「なんだ、もう帰るのか? よかったら一緒に練習していかないか?」
「それはとても興味の引かれるお誘いなんですけど、そろそろ学校に戻らないとキャプテンにどやされちゃいますので」
「そうか……。残念だな」
「ふふ、またの機会にお願いします」
「おう」
「それじゃあ。……伊織ちゃん、連絡待ってるよ」
それだけ言い残して、種田は去っていった。
宗一郎はいろんな感情が混ざってぐちゃぐちゃになった心で、その背中を見送った。
それから練習が終わるまで、宗一郎はショウのことが気になって練習に集中することができなかった。自主練中の今も、それが尾を引いてしまっている。
しかしそれはどうやら伊織も一緒のようで、あれからずっとミスを繰り返していた。
あのままではケガをしてしまうんじゃないかと心配したけれど、今の宗一郎には伊織を庇ってやれるだけの余裕がなかった。