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身を隠すようにして宗一郎の後ろに慌てて移動する。
「伊織?」
びたっと宗一郎の背中に張り付いている伊織に宗一郎が呼びかけると、伊織は小さく震えながら声を出した。
「し、ショウが来てるんですかっ?」
「……来てないよ」
伊織のその様子に、種田が切なそうに表情をゆがめて首を振った。
それを聞いて、伊織が宗一郎の後ろから恐る恐る出てくる。
種田は伊織を見ると、眉間に苦しそうに皺を寄せて口許だけで微笑んで見せた。
「本当は今日はショウも連れてこようと思ってたんだ。仙道には止められてたけど、まああいつの場合、ショウとはある意味ライバルだったから、多分嫉妬がほとんどだろうしね。だけど、ショウは来なかった。――伊織ちゃん。今君が自分に会うのはつらいだろうからって、そういってショウは来なかったんだ」
「ショウ……」
話を聞く伊織の顔も種田と同じように苦しげに歪んでいく。
その表情を見て宗一郎の胸がちくりと痛んだ。
(ショウって誰なんだろう?)
そんな男の名前、伊織の口からも、仙道の口からも聞いたことがなかった。
だけど伊織の反応と種田の口ぶりから言って、ふたりがただならぬ関係だったことは伝わってくる。
仙道のライバルだったショウ。つまり、伊織に恋愛感情を抱いていた男。
伊織のこの反応は、仙道に再会したときと少し似ていて、宗一郎の胸に嫌な予感が芽生える。
「ショウは、本当に君に会いたがってるよ」
「!」
種田のその言葉に、伊織があからさまに反応した。
「すごく心配してる。君のこと。この半年、あいつ、多分一度だって君のこと忘れたことないんじゃないかな。……あいつは今でも、君のことが大好きなんだ」
「ショウ……」
伊織の顔が泣きそうに歪んだ。何かを堪えるように唇を噛み締め、そして思い切ったように唇を開く。
「ショウは、元気ですか」
「元気だよ」
「先輩とは……」
「同じ学校に進学した。変わらず仲良くやってる」
「よかった……」
伊織が嬉しそうに微笑んだ。
相手の幸せを心底願っているのがわかるその笑顔に、宗一郎の胸がきしきしと悲鳴をあげる。
会話の断片から、ショウが伊織と同い年なんだろうということが推測できた。
いまでもショウが伊織のことを好きなんだということもわかった。
そして、伊織もショウを大切に思っているんだろうことも……。
今すぐに二人の話を中断させて伊織にショウという男のことを問い詰めたかったけど、宗一郎にはそれをすることが出来なかった。
(多分俺は……聞くのがこわい)
伊織の口から直接ショウが好きだと聞きたくなかった。
宗一郎はぎゅっと手を握り締めた。
二人の会話は変わらず進んでいく。
「――無理にとは言わない。でも、落ち着いたらショウと会ってやってくれないか」
「種田先輩……。無理です、会えません」
「どうして? 伊織ちゃんはもう、ショウのことが嫌いなの?」
「そんなことっ!」
種田のその言葉に、伊織が弾かれたように顔をあげた。
勢いよく否定しようとした言葉は途中で苦しげな表情にせき止められて、小さな呟きになっていく。
「伊織?」
びたっと宗一郎の背中に張り付いている伊織に宗一郎が呼びかけると、伊織は小さく震えながら声を出した。
「し、ショウが来てるんですかっ?」
「……来てないよ」
伊織のその様子に、種田が切なそうに表情をゆがめて首を振った。
それを聞いて、伊織が宗一郎の後ろから恐る恐る出てくる。
種田は伊織を見ると、眉間に苦しそうに皺を寄せて口許だけで微笑んで見せた。
「本当は今日はショウも連れてこようと思ってたんだ。仙道には止められてたけど、まああいつの場合、ショウとはある意味ライバルだったから、多分嫉妬がほとんどだろうしね。だけど、ショウは来なかった。――伊織ちゃん。今君が自分に会うのはつらいだろうからって、そういってショウは来なかったんだ」
「ショウ……」
話を聞く伊織の顔も種田と同じように苦しげに歪んでいく。
その表情を見て宗一郎の胸がちくりと痛んだ。
(ショウって誰なんだろう?)
そんな男の名前、伊織の口からも、仙道の口からも聞いたことがなかった。
だけど伊織の反応と種田の口ぶりから言って、ふたりがただならぬ関係だったことは伝わってくる。
仙道のライバルだったショウ。つまり、伊織に恋愛感情を抱いていた男。
伊織のこの反応は、仙道に再会したときと少し似ていて、宗一郎の胸に嫌な予感が芽生える。
「ショウは、本当に君に会いたがってるよ」
「!」
種田のその言葉に、伊織があからさまに反応した。
「すごく心配してる。君のこと。この半年、あいつ、多分一度だって君のこと忘れたことないんじゃないかな。……あいつは今でも、君のことが大好きなんだ」
「ショウ……」
伊織の顔が泣きそうに歪んだ。何かを堪えるように唇を噛み締め、そして思い切ったように唇を開く。
「ショウは、元気ですか」
「元気だよ」
「先輩とは……」
「同じ学校に進学した。変わらず仲良くやってる」
「よかった……」
伊織が嬉しそうに微笑んだ。
相手の幸せを心底願っているのがわかるその笑顔に、宗一郎の胸がきしきしと悲鳴をあげる。
会話の断片から、ショウが伊織と同い年なんだろうということが推測できた。
いまでもショウが伊織のことを好きなんだということもわかった。
そして、伊織もショウを大切に思っているんだろうことも……。
今すぐに二人の話を中断させて伊織にショウという男のことを問い詰めたかったけど、宗一郎にはそれをすることが出来なかった。
(多分俺は……聞くのがこわい)
伊織の口から直接ショウが好きだと聞きたくなかった。
宗一郎はぎゅっと手を握り締めた。
二人の会話は変わらず進んでいく。
「――無理にとは言わない。でも、落ち着いたらショウと会ってやってくれないか」
「種田先輩……。無理です、会えません」
「どうして? 伊織ちゃんはもう、ショウのことが嫌いなの?」
「そんなことっ!」
種田のその言葉に、伊織が弾かれたように顔をあげた。
勢いよく否定しようとした言葉は途中で苦しげな表情にせき止められて、小さな呟きになっていく。