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言いながら種田が制服の胸ポケットからケータイを取り出した。
伊織はそれに大きく首を振る。
「いえ、違います。メールが来たのを疑ってるんじゃなくてむしろ種田先輩の返信の方を心配してるんです」
「僕の?」
「なんて送ったんですか?」
「ふふ、気になる?」
楽しそうに含み笑いをする種田に、伊織が必死の形相で取りすがった。
「気になります! な・ん・て・送ったんですか!?」
「もちろん、『おめでとう』だよ」
種田のその言葉に、その場にいた全員が固まった。
『立ち直れないかも』と書かれたメールに『おめでとう』。
そんな血も涙もないメールを送った本人である種田は、相も変わらずにっこりと罪のない優雅な笑顔を浮かべている。
悪魔だ……と信長がぽそりと呟く声が聞こえた。
宗一郎は心の中だけで深くそれに同意を示す。仙道はライバルだったとはいえ、さすがに同情してしまう。
と、しばらく時を止めていた伊織がこの世の終わりのような叫び声をあげた。
「わあああああ! やっぱり! 鬼! 悪魔! なんっつー返事を! ああ、でも彰さんに慰めのメールをわたしが送ったら逆効果だしどうしよう!」
「ふふ、大丈夫だよ伊織ちゃん。あのあと仙道から電話が来て人でなしって泣きつかれたからね」
「当たり前ですっ!」
「でも仙道は振られて当たり前だろう? 伊織ちゃんが一番つらい時に尻尾巻いて逃げ出したんだ。あんなやつと付き合ったって伊織ちゃんが幸せになれるわけがない」
穏やかな表情を崩さないままにそう言ってのける種田に、伊織が疲れたような顔を向ける。
「種田先輩って自分の親友にも容赦ないですよね。知ってましたけど!」
「僕は何事にも正当な評価を下すだけだよ」
「ああ、そうですか」
「それに、僕にとっては伊織ちゃんも大事な親友だからね」
「……種田先輩!」
伊織が感動に目を潤ませて種田を見た。
種田はそれに穏やかに微笑むと、唐突に宗一郎に視線を向けた。
いきなり視線がぶつかって、宗一郎は思わずたじろいだ。
「それで、伊織ちゃんの彼氏が神くん。君だろう?」
にこりと微笑んでそういわれ、宗一郎は頷いた。
「あ、うん。俺のことは神でいいよ。種田……って呼んでもいいかな」
「もちろん」
「種田は、伊織とは?」
「同じ中学なんだ。僕は仙道と同じバスケ部で、それを通じて伊織ちゃんとも仲良くなった」
「……へえ」
「ああ、心配しなくても僕は伊織ちゃんに恋愛感情は一切ないよ。僕には東京にかわいい彼女がいる」
「そっか。よかった」
種田のその言葉に、宗一郎は安心したように息を吐き出した。
種田がそれを見て小さく笑う。
「ふふ、神は正直だな。伊織ちゃんに彼氏が出来たって聞いてどんな人なんだろうと心配してたけど、大事にしてくれているようで安心した。それに急に引っ越してから音信不通だった伊織ちゃんも元気そうだし……。やっぱり神のおかげ……かな。僕が言うのもおかしいけど、ありがとう、神」
「あ、いや、俺はなにも……」
「ふふ、仙道からいろいろ聞いているよ。伊織ちゃんはずいぶん君を頼りにしているらしいね。ショウが聞いたらきっと妬く」
「ショウ……?」
新たに出てきた名前に宗一郎が首をかしげた。
対照的に伊織はその名前を聞いて弾かれたようにからだを起こした。
伊織はそれに大きく首を振る。
「いえ、違います。メールが来たのを疑ってるんじゃなくてむしろ種田先輩の返信の方を心配してるんです」
「僕の?」
「なんて送ったんですか?」
「ふふ、気になる?」
楽しそうに含み笑いをする種田に、伊織が必死の形相で取りすがった。
「気になります! な・ん・て・送ったんですか!?」
「もちろん、『おめでとう』だよ」
種田のその言葉に、その場にいた全員が固まった。
『立ち直れないかも』と書かれたメールに『おめでとう』。
そんな血も涙もないメールを送った本人である種田は、相も変わらずにっこりと罪のない優雅な笑顔を浮かべている。
悪魔だ……と信長がぽそりと呟く声が聞こえた。
宗一郎は心の中だけで深くそれに同意を示す。仙道はライバルだったとはいえ、さすがに同情してしまう。
と、しばらく時を止めていた伊織がこの世の終わりのような叫び声をあげた。
「わあああああ! やっぱり! 鬼! 悪魔! なんっつー返事を! ああ、でも彰さんに慰めのメールをわたしが送ったら逆効果だしどうしよう!」
「ふふ、大丈夫だよ伊織ちゃん。あのあと仙道から電話が来て人でなしって泣きつかれたからね」
「当たり前ですっ!」
「でも仙道は振られて当たり前だろう? 伊織ちゃんが一番つらい時に尻尾巻いて逃げ出したんだ。あんなやつと付き合ったって伊織ちゃんが幸せになれるわけがない」
穏やかな表情を崩さないままにそう言ってのける種田に、伊織が疲れたような顔を向ける。
「種田先輩って自分の親友にも容赦ないですよね。知ってましたけど!」
「僕は何事にも正当な評価を下すだけだよ」
「ああ、そうですか」
「それに、僕にとっては伊織ちゃんも大事な親友だからね」
「……種田先輩!」
伊織が感動に目を潤ませて種田を見た。
種田はそれに穏やかに微笑むと、唐突に宗一郎に視線を向けた。
いきなり視線がぶつかって、宗一郎は思わずたじろいだ。
「それで、伊織ちゃんの彼氏が神くん。君だろう?」
にこりと微笑んでそういわれ、宗一郎は頷いた。
「あ、うん。俺のことは神でいいよ。種田……って呼んでもいいかな」
「もちろん」
「種田は、伊織とは?」
「同じ中学なんだ。僕は仙道と同じバスケ部で、それを通じて伊織ちゃんとも仲良くなった」
「……へえ」
「ああ、心配しなくても僕は伊織ちゃんに恋愛感情は一切ないよ。僕には東京にかわいい彼女がいる」
「そっか。よかった」
種田のその言葉に、宗一郎は安心したように息を吐き出した。
種田がそれを見て小さく笑う。
「ふふ、神は正直だな。伊織ちゃんに彼氏が出来たって聞いてどんな人なんだろうと心配してたけど、大事にしてくれているようで安心した。それに急に引っ越してから音信不通だった伊織ちゃんも元気そうだし……。やっぱり神のおかげ……かな。僕が言うのもおかしいけど、ありがとう、神」
「あ、いや、俺はなにも……」
「ふふ、仙道からいろいろ聞いているよ。伊織ちゃんはずいぶん君を頼りにしているらしいね。ショウが聞いたらきっと妬く」
「ショウ……?」
新たに出てきた名前に宗一郎が首をかしげた。
対照的に伊織はその名前を聞いて弾かれたようにからだを起こした。