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宗一郎はその無遠慮な視線に眉を潜めながら、短く自己紹介をした。
「二年の神宗一郎です。あの、俺がなにか?」
「ああ、いや。こっちの話ですすみません。僕は東京の東桜高校バスケ部、二年レギュラーの種田修。よろしく。神くんも二年なら僕と同い年……だよね。神奈川の得点王っていうからどんな人なんだろうって思ってたけど、へえ……。かなりイケメンだし、身長もけっこうあるし、それになにより優しそうだ。ふうん、なるほど」
言いながらまだじろじろ見てくる種田の視線に宗一郎が本格的に顔をしかめたそのとき、信長が宗一郎と種田の間にからだを滑り込ませた。
肩をいからせて種田に噛み付くように言う。
「オレは一年の清田信長っ! お前、さっきからなんなんだよ! 神さんのことじろじろ見て失礼だろ!?」
種田はその言葉にはたと表情を止めて、信長を見た。
口許に手をあててふむと言う技巧がかったしぐさに、信長が気に入らねえっと眉を吊り上げて種田を睨む。
「なんだよ」
「いや、確かに君の言うとおりだね。神くん、不快な思いをさせてしまってごめん」
非礼を詫びる種田に宗一郎は小さく首を振る。
「あ、いや……。ところで、東桜高校ってもしかして」
宗一郎のその言葉に、牧がにやりと片頬を持ち上げた。
「さすがだな、神。やはり気付いたか。そうだ。インターハイ東京代表校だ」
「やっぱり」
東京の東桜高校。昨年から夏、秋、冬すべての全国大会に出場を果たし、強豪校の仲間入りを果たした学校だ。
昨年優秀な人材を獲得して台頭してきたというが、もしかしてこの種田がその優秀な人材なのだろうか。
そんな学校の選手がなぜここに。
「それにしても本当にどうしたんだ、種田。まさかインターハイ前に敵情視察か?」
種田は牧のその言葉にスパイか!? と敵意むき出しで睨んでくる信長に苦笑を滲ませながら首を振る。
「違いますよ。だいたい海南とうちじゃあ反対側の山で決勝まで残らないと当たらないじゃないですか。そうじゃなくて、今日は人に会いに来たんです」
「人? 知り合いか?」
「はい。一年の子です。ここの高校だって聞いて……」
種田がそこまで言いかけたときだった。
後ろのほうでどごんっと何かを落としたような大きな音が聞こえた。
ついでそれをかき消すかのような大きな叫び声。
「た、種田先輩ぃ!?」
伊織だった。
体育館後方と校舎とを繋ぐ重い鉄扉から体育館に戻ってきた伊織は、ぽかんと大口を開けて種田を凝視していた。
足元には先ほどまでしっかり手にもっていたのだろう冷凍タオルが入ったカゴがある。
「伊織?」
伊織のその露骨な反応に宗一郎は首をかしげた。
もしかして種田の言う知り合いとは伊織なんだろうか。
そういえば伊織は東京から神奈川へ越してきたのだ。可能性は充分にある。
宗一郎の胸にちりっと不安にも似た感情がよぎった。
伊織を訪ねてきたとすれば。もしも伊織と自分が付き合っていると知っているとすれば。さっき自分を見てきたはかるような視線の意味が別の色を帯びてくる。
(種田はわざわざ伊織に会いに来たのか……?)
なんのために。
宗一郎がそんなことを考えていると、傍らの種田が伊織に向けて手を挙げた。
「二年の神宗一郎です。あの、俺がなにか?」
「ああ、いや。こっちの話ですすみません。僕は東京の東桜高校バスケ部、二年レギュラーの種田修。よろしく。神くんも二年なら僕と同い年……だよね。神奈川の得点王っていうからどんな人なんだろうって思ってたけど、へえ……。かなりイケメンだし、身長もけっこうあるし、それになにより優しそうだ。ふうん、なるほど」
言いながらまだじろじろ見てくる種田の視線に宗一郎が本格的に顔をしかめたそのとき、信長が宗一郎と種田の間にからだを滑り込ませた。
肩をいからせて種田に噛み付くように言う。
「オレは一年の清田信長っ! お前、さっきからなんなんだよ! 神さんのことじろじろ見て失礼だろ!?」
種田はその言葉にはたと表情を止めて、信長を見た。
口許に手をあててふむと言う技巧がかったしぐさに、信長が気に入らねえっと眉を吊り上げて種田を睨む。
「なんだよ」
「いや、確かに君の言うとおりだね。神くん、不快な思いをさせてしまってごめん」
非礼を詫びる種田に宗一郎は小さく首を振る。
「あ、いや……。ところで、東桜高校ってもしかして」
宗一郎のその言葉に、牧がにやりと片頬を持ち上げた。
「さすがだな、神。やはり気付いたか。そうだ。インターハイ東京代表校だ」
「やっぱり」
東京の東桜高校。昨年から夏、秋、冬すべての全国大会に出場を果たし、強豪校の仲間入りを果たした学校だ。
昨年優秀な人材を獲得して台頭してきたというが、もしかしてこの種田がその優秀な人材なのだろうか。
そんな学校の選手がなぜここに。
「それにしても本当にどうしたんだ、種田。まさかインターハイ前に敵情視察か?」
種田は牧のその言葉にスパイか!? と敵意むき出しで睨んでくる信長に苦笑を滲ませながら首を振る。
「違いますよ。だいたい海南とうちじゃあ反対側の山で決勝まで残らないと当たらないじゃないですか。そうじゃなくて、今日は人に会いに来たんです」
「人? 知り合いか?」
「はい。一年の子です。ここの高校だって聞いて……」
種田がそこまで言いかけたときだった。
後ろのほうでどごんっと何かを落としたような大きな音が聞こえた。
ついでそれをかき消すかのような大きな叫び声。
「た、種田先輩ぃ!?」
伊織だった。
体育館後方と校舎とを繋ぐ重い鉄扉から体育館に戻ってきた伊織は、ぽかんと大口を開けて種田を凝視していた。
足元には先ほどまでしっかり手にもっていたのだろう冷凍タオルが入ったカゴがある。
「伊織?」
伊織のその露骨な反応に宗一郎は首をかしげた。
もしかして種田の言う知り合いとは伊織なんだろうか。
そういえば伊織は東京から神奈川へ越してきたのだ。可能性は充分にある。
宗一郎の胸にちりっと不安にも似た感情がよぎった。
伊織を訪ねてきたとすれば。もしも伊織と自分が付き合っていると知っているとすれば。さっき自分を見てきたはかるような視線の意味が別の色を帯びてくる。
(種田はわざわざ伊織に会いに来たのか……?)
なんのために。
宗一郎がそんなことを考えていると、傍らの種田が伊織に向けて手を挙げた。