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今日の夕飯はハンバーグだった。
全員で歓談しながらにぎやかに平らげ、綺麗になったテーブルに伊織は紅茶を用意する。
月と星は宿題があるからと言って二階に上がっていった。
今日は暑いからアイスティーだ。葉っぱはアールグレイにしよう。そんなことを考えながら、伊織は氷をいっぱいいれたグラスに、熱々の紅茶を一気に注ぎ込む。
ここはスピードが勝負だ。
一気に注がなければ、クリームダウンといって紅茶の色がにごってしまう。
味に変わりはないけれど、やはり綺麗な色で楽しんだほうがいいに決まっている。
素早く全員分注ぎ終わると、伊織はグラスに目を凝らした。
なんとかすべてクリームダウンせずにすんだ。
そのグラスに美奈子が自家栽培しているミントの葉を少しずつちぎってのせる。
レモンはないけれど、そこまでこだわらなくてもいいだろう。
伊織は用意したアイスティーをそれぞれの前に出した。
席には伊織、宗一郎、その正面にそれぞれ美奈子、真幸の順で座っていた。
隣りに座る宗一郎がグラスを持ち上げてありがとうと微笑んでくる。
伊織もそれに笑顔を返し自分もグラスを手に取った。
口許にもっていくとアールグレイの清涼感のある香りが鼻腔をくすぐる。
それに口をつけたそのときだった。
「伊織ちゃんは、結局彰くんと信長くんは振っちゃったのね?」
美奈子のそんな呑気な声が耳に飛び込んできた。
伊織は思わずぶーっと口に含んだ紅茶を噴出した。
隣にいる宗一郎も、美奈子のその質問に紅茶を飲もうとした手を止めてからだを硬直させている。
正面に座っていた美奈子は、伊織のその行為に嫌そうに眉をしかめた。
「まあ伊織ちゃん! はしたないわよ、女の子が」
「ちょ、それは謝るけど、でもお母さん、いきなりなに言って……!」
「あら、だってもったいないじゃない、みんなかわいかったし! 特に彰くんなんか久々に会ってびっくりしたわー! 中学生の時にくらべて垢抜けて、ずいぶんかっこよくなったみたい」
きゃっきゃとはしゃいで言う美奈子に、伊織はげんなりとした表情を向けた。
本当にこの人は何を言ってるんだろう。自分の母ながら呆れてしまう。
「あ~の~ね~。それ、宗くんの前でする話じゃないでしょう!?」
「あら。お母さんが一番素敵だと思ってるのは宗一郎くんだから安心して伊織ちゃん」
「いやいやいやそういう問題じゃなくて! 大体ノブは親友だもん。振るとかそういうのじゃないし」
その言葉に真幸が目を丸くした。
「なんだ、そうなのか? 熱心にお見舞いに来てくれてたからてっきりそうなのかと」
「違うよ。ノブは友達想いなだけなの! てかお父さんまで一緒になってなに!」
「はっはっは。いやいやいいなぁと思ってだな。うん。――やっぱり伊織には宗一郎くんが一番しっくりくるな」
「うう、なんかいやだ……。そんな品定めするみたいな言い方宗くんに失礼でしょ! 宗くんごめんね、うちの無神経な親たちがもうもうもう!」
「あ、ああ、いいよ。ちょっとびっくりしたけど、まあ大事な伊織のことはやっぱり気になるだろうし。……それより伊織、口許がまだ濡れてるよ」
言って宗一郎はティッシュを取ると伊織の口許をそっと拭った。
伊織は頬を薄く染めて宗一郎に礼を言う。
「あ、ありがと」
「どういたしまして」
そんな二人を見て美奈子が嬉しそうに頬を緩める。
「ふふ、ラブラブねえ……。いいなぁ昔を思い出しちゃうわね、真幸さん」
「うん? そうだなぁ。ふふ、伊織、高校生の頃、母さんモテモテで大変だったんだぞ」
「え、そうなの?」
伊織は初めて聞く両親の話に目を丸くした。
興味津々で身を乗り出す。
「そうそう。母さんのこのふわふわの部分が魅力でな。父さんは母さんに変な虫がつかないかと毎日気が気じゃなかったさ」
「お二人は高校生の頃からのお付き合いなんですか?」
宗一郎の問いかけに美奈子が首を振る。
全員で歓談しながらにぎやかに平らげ、綺麗になったテーブルに伊織は紅茶を用意する。
月と星は宿題があるからと言って二階に上がっていった。
今日は暑いからアイスティーだ。葉っぱはアールグレイにしよう。そんなことを考えながら、伊織は氷をいっぱいいれたグラスに、熱々の紅茶を一気に注ぎ込む。
ここはスピードが勝負だ。
一気に注がなければ、クリームダウンといって紅茶の色がにごってしまう。
味に変わりはないけれど、やはり綺麗な色で楽しんだほうがいいに決まっている。
素早く全員分注ぎ終わると、伊織はグラスに目を凝らした。
なんとかすべてクリームダウンせずにすんだ。
そのグラスに美奈子が自家栽培しているミントの葉を少しずつちぎってのせる。
レモンはないけれど、そこまでこだわらなくてもいいだろう。
伊織は用意したアイスティーをそれぞれの前に出した。
席には伊織、宗一郎、その正面にそれぞれ美奈子、真幸の順で座っていた。
隣りに座る宗一郎がグラスを持ち上げてありがとうと微笑んでくる。
伊織もそれに笑顔を返し自分もグラスを手に取った。
口許にもっていくとアールグレイの清涼感のある香りが鼻腔をくすぐる。
それに口をつけたそのときだった。
「伊織ちゃんは、結局彰くんと信長くんは振っちゃったのね?」
美奈子のそんな呑気な声が耳に飛び込んできた。
伊織は思わずぶーっと口に含んだ紅茶を噴出した。
隣にいる宗一郎も、美奈子のその質問に紅茶を飲もうとした手を止めてからだを硬直させている。
正面に座っていた美奈子は、伊織のその行為に嫌そうに眉をしかめた。
「まあ伊織ちゃん! はしたないわよ、女の子が」
「ちょ、それは謝るけど、でもお母さん、いきなりなに言って……!」
「あら、だってもったいないじゃない、みんなかわいかったし! 特に彰くんなんか久々に会ってびっくりしたわー! 中学生の時にくらべて垢抜けて、ずいぶんかっこよくなったみたい」
きゃっきゃとはしゃいで言う美奈子に、伊織はげんなりとした表情を向けた。
本当にこの人は何を言ってるんだろう。自分の母ながら呆れてしまう。
「あ~の~ね~。それ、宗くんの前でする話じゃないでしょう!?」
「あら。お母さんが一番素敵だと思ってるのは宗一郎くんだから安心して伊織ちゃん」
「いやいやいやそういう問題じゃなくて! 大体ノブは親友だもん。振るとかそういうのじゃないし」
その言葉に真幸が目を丸くした。
「なんだ、そうなのか? 熱心にお見舞いに来てくれてたからてっきりそうなのかと」
「違うよ。ノブは友達想いなだけなの! てかお父さんまで一緒になってなに!」
「はっはっは。いやいやいいなぁと思ってだな。うん。――やっぱり伊織には宗一郎くんが一番しっくりくるな」
「うう、なんかいやだ……。そんな品定めするみたいな言い方宗くんに失礼でしょ! 宗くんごめんね、うちの無神経な親たちがもうもうもう!」
「あ、ああ、いいよ。ちょっとびっくりしたけど、まあ大事な伊織のことはやっぱり気になるだろうし。……それより伊織、口許がまだ濡れてるよ」
言って宗一郎はティッシュを取ると伊織の口許をそっと拭った。
伊織は頬を薄く染めて宗一郎に礼を言う。
「あ、ありがと」
「どういたしまして」
そんな二人を見て美奈子が嬉しそうに頬を緩める。
「ふふ、ラブラブねえ……。いいなぁ昔を思い出しちゃうわね、真幸さん」
「うん? そうだなぁ。ふふ、伊織、高校生の頃、母さんモテモテで大変だったんだぞ」
「え、そうなの?」
伊織は初めて聞く両親の話に目を丸くした。
興味津々で身を乗り出す。
「そうそう。母さんのこのふわふわの部分が魅力でな。父さんは母さんに変な虫がつかないかと毎日気が気じゃなかったさ」
「お二人は高校生の頃からのお付き合いなんですか?」
宗一郎の問いかけに美奈子が首を振る。