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宗一郎に手渡されたものを見てみると、それはチューブ入りの軟膏だった。
「カバンに入ってたから渡そうと思って。打ち身に効くから、おでこに塗っておくといいよ」
「あ、ありがとうございます!」
嬉しい。わざわざ持ってきてくれるなんて。
伊織の顔から笑顔がこぼれた。
「どういたしまして」
「うお~、さっすが神さん優しいぜっ! よかったな伊織! お前これでおでこに青アザなんかできたら、見る影ないもんな」
「うっさいな! ほっといてよ」
「かっかっか!」
「…………」
まりあはその様子を、眉間にしわを寄せて見ていた。
* * *
「…………」
まりあは、嬉しそうに軟膏を受け取っている伊織を見て、眉根を寄せた。
宗一郎に優しくされている伊織が許せなかった。今まで、そのポジションはずっと自分だけのものだったのに。
まりあの全身に、耐えようのない怒りが走った。
今すぐ伊織をひっぱたいてやりたい衝動を、必死に我慢する。
思わず傍らの宗一郎の腕をぎゅっと掴むと、宗一郎が視線を向けてきた。
まりあの様子がいつもと違うことに気付くと、宗一郎はまりあの顔を覗き込むように姿勢を低くする。
「まりあ? どうした? 気分悪い?」
「あ、ううん。大丈夫。ちょっとめまいがしただけ」
ハッと我に返り取り繕うまりあに、伊織と信長も心配そうに声をかけてくる。
(誰のせいだと思ってるのよ)
まりあはその感情をぐっと飲み込んで、天使の笑顔を向ける。
「ほんとうに大丈夫だから。あ、宗ちゃん。もうすぐ昼休み終わっちゃうよ?」
そう言ってまりあは時計を指差す。
予鈴まで、あと五分だった。
二年生の校舎は一年生の校舎から遠い。今戻っても予鈴に間に合うかどうかだ。
「ほんとうだ。じゃあ、俺は戻るよ。まりあ、じょうぶな方じゃないんだから無理するなよ」
「はあい」
まりあの良い子のお返事を聞いて、宗一郎は満足そうに笑うと伊織と信長にも声をかけて教室へ帰っていった。
それを見送って、すぐに先ほどの三人組が近寄ってくる。
まりあは小さく鼻を鳴らした。
ほんとうに、うるさい三人組だ。
「いいなー、鈴村さん! 神先輩と話せるなんてっ!」
「いや、だって腐ってもマネージャーだし」
あははと笑って言う伊織に、まりあは内心ケッと毒づいた。
ルールもろくに知らないくせに、なにがマネージャーだ。
誘ったのは自分のくせして、そんなことは棚に上げてまりあは思う。
「えー、でも入ったばかりのマネージャーがケガしたからって、普通は軟膏なんて持ってきてくれないよお! 優しいね、神先輩!!」
「そうだね」
薄く頬を染めて笑う伊織に、まりあは再び自分の体に怒りが沸くのを感じた。
許せない。わたしの宗ちゃんなのに。
許せない。
「カバンに入ってたから渡そうと思って。打ち身に効くから、おでこに塗っておくといいよ」
「あ、ありがとうございます!」
嬉しい。わざわざ持ってきてくれるなんて。
伊織の顔から笑顔がこぼれた。
「どういたしまして」
「うお~、さっすが神さん優しいぜっ! よかったな伊織! お前これでおでこに青アザなんかできたら、見る影ないもんな」
「うっさいな! ほっといてよ」
「かっかっか!」
「…………」
まりあはその様子を、眉間にしわを寄せて見ていた。
* * *
「…………」
まりあは、嬉しそうに軟膏を受け取っている伊織を見て、眉根を寄せた。
宗一郎に優しくされている伊織が許せなかった。今まで、そのポジションはずっと自分だけのものだったのに。
まりあの全身に、耐えようのない怒りが走った。
今すぐ伊織をひっぱたいてやりたい衝動を、必死に我慢する。
思わず傍らの宗一郎の腕をぎゅっと掴むと、宗一郎が視線を向けてきた。
まりあの様子がいつもと違うことに気付くと、宗一郎はまりあの顔を覗き込むように姿勢を低くする。
「まりあ? どうした? 気分悪い?」
「あ、ううん。大丈夫。ちょっとめまいがしただけ」
ハッと我に返り取り繕うまりあに、伊織と信長も心配そうに声をかけてくる。
(誰のせいだと思ってるのよ)
まりあはその感情をぐっと飲み込んで、天使の笑顔を向ける。
「ほんとうに大丈夫だから。あ、宗ちゃん。もうすぐ昼休み終わっちゃうよ?」
そう言ってまりあは時計を指差す。
予鈴まで、あと五分だった。
二年生の校舎は一年生の校舎から遠い。今戻っても予鈴に間に合うかどうかだ。
「ほんとうだ。じゃあ、俺は戻るよ。まりあ、じょうぶな方じゃないんだから無理するなよ」
「はあい」
まりあの良い子のお返事を聞いて、宗一郎は満足そうに笑うと伊織と信長にも声をかけて教室へ帰っていった。
それを見送って、すぐに先ほどの三人組が近寄ってくる。
まりあは小さく鼻を鳴らした。
ほんとうに、うるさい三人組だ。
「いいなー、鈴村さん! 神先輩と話せるなんてっ!」
「いや、だって腐ってもマネージャーだし」
あははと笑って言う伊織に、まりあは内心ケッと毒づいた。
ルールもろくに知らないくせに、なにがマネージャーだ。
誘ったのは自分のくせして、そんなことは棚に上げてまりあは思う。
「えー、でも入ったばかりのマネージャーがケガしたからって、普通は軟膏なんて持ってきてくれないよお! 優しいね、神先輩!!」
「そうだね」
薄く頬を染めて笑う伊織に、まりあは再び自分の体に怒りが沸くのを感じた。
許せない。わたしの宗ちゃんなのに。
許せない。