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宗一郎は伊織を体から離すとその顔を覗き込んだ。
伊織がにこりと笑う。
「だんだん日が落ちてきたからそろそろ終わりにするかなぁと思って、そこのコンビニに飲み物買いに行ってたの。今日は暑いからビタミン入りのスポーツ飲料だよ! はい、宗くん」
そう言って伊織は手に持っていたコンビニの袋をがさがさいわせて、宗一郎にスポーツ飲料を差し出した。
宗一郎は呆然とそれを受け取る。
怒るどころか、こんなものを用意して自分たちを気遣ってくれる伊織の優しさに感動で胸がつまった。
「ありがとう」
「うん!」
花が咲いたような伊織のその笑顔に、宗一郎の胸が愛しさで溢れてもうどうしようもなくなる。
「福田さんも同じのでいいですか? 好みがわからなかったので、宗くんと同じの買ってきちゃったんですけど……」
「うん、ありがとう。気が利く。さすが仙道が本気で惚れた女の子」
「もう~、一回一回それ言うのやめてくださいよ。わたしだって胸は痛むんですからね」
「フッ。……仙道がよく言ってた。伊織ちゃんは優しい天使みたいな女の子だって」
「なんですかそれ。言いすぎですよ。……もう、彰さんはほんとうにしょうがないなぁ」
懐かしむように瞳を細めて言う伊織に、宗一郎の胸がちくりと痛んだ。
仕方のないことだとはわかってる。
伊織にとって仙道は今でも特別な存在で、それは一生変えることはできないってこと。
自分にも伊織の仙道と同じようにまりあという存在がいるし、きっとそのことで伊織にツライ思いをさせていることも少なくない。だから伊織が仙道を大切にする気持ちもわかるし、そのことをとやかく言うことはできない。
だけど、苦しくなってしまうこの気持ちはどうにもできなかった。
理性で制御できるような類のものではない。
伊織にそんな表情をさせることができる仙道が、伊織の心の片隅にいつでも存在している仙道が、ただひたすら羨ましかった。
「宗くん?」
ぼんやりそんなことを考えていると、ふいに視界いっぱいに伊織の心配そうな顔が飛び込んできた。
ハッと我に返ると宗一郎は微笑した。
「なんでもないよ」
「ならいいけど……。あ、そういえばね、これも買ってきたよ」
言って伊織は再びコンビニの袋から、こんどは汗拭きシートを取り出した。
「メンズものって初めて買うからどれがいいかわかんなかったんだけど、とりあえずパウダー入りのやつ。さらさら効果だって。汗拭かないと風邪引いちゃうよ。福田さんもよかったら使ってください」
「オレはそこの銭湯入って帰るからいい。ありがと。――じゃあ、ジンジン、伊織ちゃん。オレは帰る。今日は楽しかった。またバスケしよう」
「あ、うん。俺も楽しかった。今日はありがとねフッキー。またね」
「福田さん、帰り気をつけてくださいね」
「うん、ありがと。それじゃあ。ジンジン、全国がんばって」
「サンキュ」
大きく手を振ると、福田はコートを出て行った。
それを見送った伊織がこちらをくるっと振り返ってにこりと微笑む。
「宗くん、あそこにバスケットボールあるね」
誰かが忘れたのだろうか。
伊織が指差した先には確かにバスケットボールがあった。
手に取ってみるとそれは高校生用サイズのボールだった。
空気もちゃんと入っていて状態も悪くない。
「ほんとだ。忘れ物かな」
「ね、せっかくボールもあるんだし、やっていこうよ」
「? バスケならもうやったよ」
「違うよ、シュート練習。500本、やって帰ろう! まだまだリングも見えるし」
「え、いいよ。その間伊織やることないだろ」
伊織がにこりと笑う。
「だんだん日が落ちてきたからそろそろ終わりにするかなぁと思って、そこのコンビニに飲み物買いに行ってたの。今日は暑いからビタミン入りのスポーツ飲料だよ! はい、宗くん」
そう言って伊織は手に持っていたコンビニの袋をがさがさいわせて、宗一郎にスポーツ飲料を差し出した。
宗一郎は呆然とそれを受け取る。
怒るどころか、こんなものを用意して自分たちを気遣ってくれる伊織の優しさに感動で胸がつまった。
「ありがとう」
「うん!」
花が咲いたような伊織のその笑顔に、宗一郎の胸が愛しさで溢れてもうどうしようもなくなる。
「福田さんも同じのでいいですか? 好みがわからなかったので、宗くんと同じの買ってきちゃったんですけど……」
「うん、ありがとう。気が利く。さすが仙道が本気で惚れた女の子」
「もう~、一回一回それ言うのやめてくださいよ。わたしだって胸は痛むんですからね」
「フッ。……仙道がよく言ってた。伊織ちゃんは優しい天使みたいな女の子だって」
「なんですかそれ。言いすぎですよ。……もう、彰さんはほんとうにしょうがないなぁ」
懐かしむように瞳を細めて言う伊織に、宗一郎の胸がちくりと痛んだ。
仕方のないことだとはわかってる。
伊織にとって仙道は今でも特別な存在で、それは一生変えることはできないってこと。
自分にも伊織の仙道と同じようにまりあという存在がいるし、きっとそのことで伊織にツライ思いをさせていることも少なくない。だから伊織が仙道を大切にする気持ちもわかるし、そのことをとやかく言うことはできない。
だけど、苦しくなってしまうこの気持ちはどうにもできなかった。
理性で制御できるような類のものではない。
伊織にそんな表情をさせることができる仙道が、伊織の心の片隅にいつでも存在している仙道が、ただひたすら羨ましかった。
「宗くん?」
ぼんやりそんなことを考えていると、ふいに視界いっぱいに伊織の心配そうな顔が飛び込んできた。
ハッと我に返ると宗一郎は微笑した。
「なんでもないよ」
「ならいいけど……。あ、そういえばね、これも買ってきたよ」
言って伊織は再びコンビニの袋から、こんどは汗拭きシートを取り出した。
「メンズものって初めて買うからどれがいいかわかんなかったんだけど、とりあえずパウダー入りのやつ。さらさら効果だって。汗拭かないと風邪引いちゃうよ。福田さんもよかったら使ってください」
「オレはそこの銭湯入って帰るからいい。ありがと。――じゃあ、ジンジン、伊織ちゃん。オレは帰る。今日は楽しかった。またバスケしよう」
「あ、うん。俺も楽しかった。今日はありがとねフッキー。またね」
「福田さん、帰り気をつけてくださいね」
「うん、ありがと。それじゃあ。ジンジン、全国がんばって」
「サンキュ」
大きく手を振ると、福田はコートを出て行った。
それを見送った伊織がこちらをくるっと振り返ってにこりと微笑む。
「宗くん、あそこにバスケットボールあるね」
誰かが忘れたのだろうか。
伊織が指差した先には確かにバスケットボールがあった。
手に取ってみるとそれは高校生用サイズのボールだった。
空気もちゃんと入っていて状態も悪くない。
「ほんとだ。忘れ物かな」
「ね、せっかくボールもあるんだし、やっていこうよ」
「? バスケならもうやったよ」
「違うよ、シュート練習。500本、やって帰ろう! まだまだリングも見えるし」
「え、いいよ。その間伊織やることないだろ」