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(入った)
確信を持ってその先を見つめれば、ボールはネットの中心を綺麗にくぐりぬけていった。
パサリとネットが揺れる音が耳に心地いい。
「ふう。やっぱりジンジンに抜かれるとダメだ。確実にゴールを決められる」
「はは、今日はたまたま調子がいいだけだよ。でもフッキーはもうちょっとディフェンス頑張ったほうがいいかもね」
「フットワーク?」
「うん。ちょっと腰が高いかも」
「ジンジンはもう少し強引に攻めたほうがいい。頭で考えすぎてる」
「……なるほど」
福田のその言葉に、宗一郎は深く頷いた。
自分とは違うオフェンススタイルの福田との1 on 1は、いい勉強になる。
「ジンジン、プレイスタイルが変わったな」
「ポジションが変わったからね」
「そんなにシュートがうまいと思わなかった」
「はは、努力したから」
「……ジンジンらしい」
ころころと足元に転がってきたボールを手にとって、宗一郎は空を仰いだ。
そろそろ日が傾き始めている。
腕時計に目をやれば、もう17時をまわっていた。
バスケをはじめてから2時間近く経過している。
「わっ、もうこんな時間!? 伊織、ごめん! ちょっと夢中になりすぎちゃったって……あれ? 伊織……?」
慌てて宗一郎は伊織を振り返り、そこでぴたりと体を硬直させた。さっきまで伊織が座っていた場所にその姿がなかった。
宗一郎の胸がとたんにざわざわと波打ち始める。
「フッキー! 伊織がどこ行ったか知らない?」
「いや、しらない。オレも夢中だったから」
「…………」
宗一郎は表情を曇らせた。
胸にちりちりとした焦りが募る。
もしかしたら長時間ほったらかしにしすぎて、伊織は怒って帰ってしまったかもしれない。
最初の方はシュートを決めたりすれば伊織を振り返っていたけれど、途中からそれも忘れてすっかりバスケに夢中になってしまった。
いつから伊織はここにいなかったんだろうか?
それすらもわからなくて宗一郎は軽く青ざめる。
「フッキーごめん! 俺ちょっと伊織を探してくる!」
宗一郎がそう言って駆け出したときだった。
がしゃんと金網が空いて伊織がコートに入ってきた。
慌てた様子の宗一郎を見て、伊織が目をくりくりさせて驚いている。
「あれ? 宗くんどっか行くの?」
「伊織!」
宗一郎は思わず伊織の腕を引き寄せて抱きしめた。
「わっ! 宗くん!? ど、どうしたの!?」
「怒って帰っちゃったのかと思った」
伊織のいつもと変わらない様子に、宗一郎はホッと胸をなでおろした。
どうやら怒っているわけではなさそうだった。
まだ少しだけ胸にこびりついてはなれない不安を消そうとするように、宗一郎は伊織を抱きしめる腕を強くする。
「ええ、怒る!? なんで!?」
「俺が長時間ほったらかしたから……?」
「あはは、なんで疑問系なの。バスケしないのって勧めたのはわたしなのに怒ったりなんてしないよ」
「……どこ行ってたの?」