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夢小説設定
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「でも……」
「宗くんがバスケしてかっこよくシュート決めてるとこみたいな」
「…………やる。フッキー、一緒にバスケしていい?」
「はは、もちろん」
伊織のその言葉に急に態度を変えた宗一郎に、福田が小さく笑いながら答えた。
宗一郎は決まりが悪そうに福田を見やる。
「なんだよ」
「いや、ジンジンもかわいいとこあるんだなって」
「どういう意味だよ」
「いや、別に。ただなんとなく意外。中学の頃はそんなに女の子に興味なかったのに。ジンジンでも彼女にカッコいいトコ見せたいって思うことあるんだ」
「そりゃあ、普通のオトコなら当たり前だろ」
「へえ。だって、伊織ちゃん。よかったな」
「はい!」
満面の笑みで伊織は福田に答えた。
その福田の頭を宗一郎が軽く小突く。
「フッキー。いきなり伊織ちゃん呼びは慣れ慣れしいだろ。鈴村さんって呼べよ」
「……ジンジン。ヤキモチ?」
「うるさいな」
「鈴村さんか……。仙道がずっと伊織ちゃん伊織ちゃんって呼んでたから、そっちの方が呼びやすい。……なんて呼べばいい?」
急に福田が伊織に視線を向けてきた。
なんとなく気恥ずかしい気持ちで見守っていた伊織は、いきなり矛先を向けられて慌てて口を開く。
「あ、はい! わたしはなんでもいいですよ。鈴村でも伊織でも鈴村さんでも伊織ちゃんでもなんでも」
「そう? じゃあ伊織ちゃんて呼んでいい?」
「はい、どうぞ」
「ほら、ジンジン。伊織ちゃんはいいって」
「……まあ、いいけど。伊織、後で覚えてなよ」
「え!」
宗一郎に拗ねたようにそう言われ、伊織は顔を青くした。
「あ、いや、福田さん! やっぱり鈴村さんで……!」
福田がふるふると小さく首を振る。
「もう遅い。伊織ちゃん決定」
「えええ! わ、ちょっ、だれか時間っ! 時間巻き戻して!」
へーい、ヘルプミー! と叫びながら伊織は両手を大きく空へ伸ばした。
宗一郎がぶはっと吹き出しながら、そんな伊織の頭をぽんぽんと優しく叩く。
「じょ、冗談だよ伊織。だからそんなわけわかんないお祈りしなくていいから」
「うええ、ほんと?」
「ほんとほんと。――じゃあ行こうか。フッキー、リングのある場所ってどこ?」
「こっち」
伊織と宗一郎は、福田の案内するほうへと足を向けた。
ボールをドリブルする音。
ネットにボールがくぐる音。
スニーカーと地面の摩擦音。
そんな音だけがもう何時間もコート上に響き渡っていた。
目の前の福田のディフェンスの隙をついて、宗一郎はその脇をドリブルで抜き去る。
一気に開けた視界、その先にあるリングに向かって宗一郎はボールを放った。
手の平からボールが抜ける、慣れた感覚。
「宗くんがバスケしてかっこよくシュート決めてるとこみたいな」
「…………やる。フッキー、一緒にバスケしていい?」
「はは、もちろん」
伊織のその言葉に急に態度を変えた宗一郎に、福田が小さく笑いながら答えた。
宗一郎は決まりが悪そうに福田を見やる。
「なんだよ」
「いや、ジンジンもかわいいとこあるんだなって」
「どういう意味だよ」
「いや、別に。ただなんとなく意外。中学の頃はそんなに女の子に興味なかったのに。ジンジンでも彼女にカッコいいトコ見せたいって思うことあるんだ」
「そりゃあ、普通のオトコなら当たり前だろ」
「へえ。だって、伊織ちゃん。よかったな」
「はい!」
満面の笑みで伊織は福田に答えた。
その福田の頭を宗一郎が軽く小突く。
「フッキー。いきなり伊織ちゃん呼びは慣れ慣れしいだろ。鈴村さんって呼べよ」
「……ジンジン。ヤキモチ?」
「うるさいな」
「鈴村さんか……。仙道がずっと伊織ちゃん伊織ちゃんって呼んでたから、そっちの方が呼びやすい。……なんて呼べばいい?」
急に福田が伊織に視線を向けてきた。
なんとなく気恥ずかしい気持ちで見守っていた伊織は、いきなり矛先を向けられて慌てて口を開く。
「あ、はい! わたしはなんでもいいですよ。鈴村でも伊織でも鈴村さんでも伊織ちゃんでもなんでも」
「そう? じゃあ伊織ちゃんて呼んでいい?」
「はい、どうぞ」
「ほら、ジンジン。伊織ちゃんはいいって」
「……まあ、いいけど。伊織、後で覚えてなよ」
「え!」
宗一郎に拗ねたようにそう言われ、伊織は顔を青くした。
「あ、いや、福田さん! やっぱり鈴村さんで……!」
福田がふるふると小さく首を振る。
「もう遅い。伊織ちゃん決定」
「えええ! わ、ちょっ、だれか時間っ! 時間巻き戻して!」
へーい、ヘルプミー! と叫びながら伊織は両手を大きく空へ伸ばした。
宗一郎がぶはっと吹き出しながら、そんな伊織の頭をぽんぽんと優しく叩く。
「じょ、冗談だよ伊織。だからそんなわけわかんないお祈りしなくていいから」
「うええ、ほんと?」
「ほんとほんと。――じゃあ行こうか。フッキー、リングのある場所ってどこ?」
「こっち」
伊織と宗一郎は、福田の案内するほうへと足を向けた。
ボールをドリブルする音。
ネットにボールがくぐる音。
スニーカーと地面の摩擦音。
そんな音だけがもう何時間もコート上に響き渡っていた。
目の前の福田のディフェンスの隙をついて、宗一郎はその脇をドリブルで抜き去る。
一気に開けた視界、その先にあるリングに向かって宗一郎はボールを放った。
手の平からボールが抜ける、慣れた感覚。