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ストラップを受け取って、二人は再び江ノ電に乗り込んだ。
長谷駅で降り、大きな大仏で有名な高徳院に向かう。
江ノ電では途中、道路を走ったり海沿いを走ったりして伊織はとても感動した。
すごいね、と顔を輝かせて宗一郎に呼びかけると、余裕の笑みでそうだね、と返されて伊織はなんとなく恥ずかしくなって頬を赤らめた。
子供っぽいと思われてしまったかもしれない。高徳院へ向かう道中、宗一郎の大きな背中を見つめながら、伊織はこっそり心の中で思った。
高徳院の大仏様も、とても大きかった。
なんとこの大仏様は中に入ることができるらしい。
宗一郎に入ってみたら? と勧められたけれど、伊織は謹んで辞退した。
伊織は敬虔な仏教徒ではないし、それどころかクリスマスもお盆もごちゃまぜの無宗教な典型的日本人だけれど、それでも大仏様の内側に入るなんて恐れ多かった。
無宗教だからこそ、逆にバチが当たりそうだ。
興味がないといったらウソになるけど、そもそも大仏様の中に入るのにお金が必要なのもなんとなく嫌だった。
二人は高徳院を出ると、しばらく近くの町並みを並んで歩いていた。
とそのとき。
「ジンジン?」
ふと宗一郎を呼ぶ声が聞こえた。
伊織と宗一郎が顔を向けると、そこには陵南高校男子バスケットボール部の福田吉兆がいた。
「フッキー! どうしたの、こんなところで?」
「近くにリングがあるところがあるから、バスケをしに」
そう答えた福田の腕にはバスケットボールが抱えられていた。
「ジンジンも一緒にどう?」
「バスケ! いいですね!」
宗一郎が答えるより早く伊織が瞳を輝かせて反応した。
そこではじめて伊織の存在に気付いたというように、福田の視線が伊織に向いた。
伊織の姿を認めて、福田の目が小さく見開かれる。
「あれ……? キミは……」
「あ、こんにちは。直接話すのははじめて、ですよね? 鈴村伊織です」
「知ってる」
福田がこくりと頷くきながら言う。
「あの仙道をフッた子。仙道がジンジンに好きな子とられたって言って嘆いてたけど、本当だったんだ」
「…………」
伊織は気まずそうに頬を染めて福田から視線を逸らせた。
そこに宗一郎が苦笑しながら割って入る。
「そういうこと。フッキー、俺たちデート中だから悪いけどバスケはまた今度……」
「ええ!!」
宗一郎の言葉は伊織の大声にかき消された。
宗一郎と福田は驚いて伊織を見る。
「宗くん、福田さんとバスケしないの? なんで!?」
「なんでって……だって伊織、俺たちデート中だよ? それなのにフッキーとバスケなんて……」
「いいの! わたし宗くんがバスケしてるの見るの好き! それに今は大事なインターハイ前だし、一日だってバスケしないと不安でしょう、宗くん」
「そ……んなこと」
伊織の言葉は図星をついたのか、宗一郎が一瞬うろたえた。
伊織はそれにやっぱりねと言った表情を浮かべる。
「宗くん無理しないで。試合中、コート上で支えになるのはなによりも今までの練習であり努力なんだよ? せっかくなんだし、バスケしようよ。今日は充分いろいろ連れてってもらったもん。ね?」
長谷駅で降り、大きな大仏で有名な高徳院に向かう。
江ノ電では途中、道路を走ったり海沿いを走ったりして伊織はとても感動した。
すごいね、と顔を輝かせて宗一郎に呼びかけると、余裕の笑みでそうだね、と返されて伊織はなんとなく恥ずかしくなって頬を赤らめた。
子供っぽいと思われてしまったかもしれない。高徳院へ向かう道中、宗一郎の大きな背中を見つめながら、伊織はこっそり心の中で思った。
高徳院の大仏様も、とても大きかった。
なんとこの大仏様は中に入ることができるらしい。
宗一郎に入ってみたら? と勧められたけれど、伊織は謹んで辞退した。
伊織は敬虔な仏教徒ではないし、それどころかクリスマスもお盆もごちゃまぜの無宗教な典型的日本人だけれど、それでも大仏様の内側に入るなんて恐れ多かった。
無宗教だからこそ、逆にバチが当たりそうだ。
興味がないといったらウソになるけど、そもそも大仏様の中に入るのにお金が必要なのもなんとなく嫌だった。
二人は高徳院を出ると、しばらく近くの町並みを並んで歩いていた。
とそのとき。
「ジンジン?」
ふと宗一郎を呼ぶ声が聞こえた。
伊織と宗一郎が顔を向けると、そこには陵南高校男子バスケットボール部の福田吉兆がいた。
「フッキー! どうしたの、こんなところで?」
「近くにリングがあるところがあるから、バスケをしに」
そう答えた福田の腕にはバスケットボールが抱えられていた。
「ジンジンも一緒にどう?」
「バスケ! いいですね!」
宗一郎が答えるより早く伊織が瞳を輝かせて反応した。
そこではじめて伊織の存在に気付いたというように、福田の視線が伊織に向いた。
伊織の姿を認めて、福田の目が小さく見開かれる。
「あれ……? キミは……」
「あ、こんにちは。直接話すのははじめて、ですよね? 鈴村伊織です」
「知ってる」
福田がこくりと頷くきながら言う。
「あの仙道をフッた子。仙道がジンジンに好きな子とられたって言って嘆いてたけど、本当だったんだ」
「…………」
伊織は気まずそうに頬を染めて福田から視線を逸らせた。
そこに宗一郎が苦笑しながら割って入る。
「そういうこと。フッキー、俺たちデート中だから悪いけどバスケはまた今度……」
「ええ!!」
宗一郎の言葉は伊織の大声にかき消された。
宗一郎と福田は驚いて伊織を見る。
「宗くん、福田さんとバスケしないの? なんで!?」
「なんでって……だって伊織、俺たちデート中だよ? それなのにフッキーとバスケなんて……」
「いいの! わたし宗くんがバスケしてるの見るの好き! それに今は大事なインターハイ前だし、一日だってバスケしないと不安でしょう、宗くん」
「そ……んなこと」
伊織の言葉は図星をついたのか、宗一郎が一瞬うろたえた。
伊織はそれにやっぱりねと言った表情を浮かべる。
「宗くん無理しないで。試合中、コート上で支えになるのはなによりも今までの練習であり努力なんだよ? せっかくなんだし、バスケしようよ。今日は充分いろいろ連れてってもらったもん。ね?」