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無事に神奈川県予選を一位通過し、全国への切符を手に入れた海南大附属高校男子バスケ部。
そんな中、伊織と、伊織が長く片思いをしていたバスケ部レギュラー、二年の神宗一郎との関係にも進展があり、二人は晴れて彼氏、彼女となった。
「伊織、明日デートしようか」
部活終了後。宗一郎と並んで帰っていた伊織は、その声に驚いて隣りを歩く宗一郎の顔を見た。
付き合い始めてから二人は、行きはそれぞれ今までの組み合わせで、帰りは伊織と宗一郎、まりあと信長の組み合わせで帰るようになった。
信長とまりあが気を利かせてのことらしい。
ちなみに朝が今までどおりの組み合わせなのは、信長とまりあが自転車通学ではないからだ。
まりあは自転車を持ってはいるが、今更学校に申請するのが億劫らしく、帰りに宗一郎の自転車を借りて信長と帰っていた。
宗一郎が引く伊織の自転車が、からからと音を立てながらタイヤを回転させている。
伊織はその音だけを耳に入れながら、隣りで穏やかに微笑む宗一郎の顔をじっと見つめた。
「嫌?」
何も答えない伊織に宗一郎は重ねて問いかける。
伊織はぶんぶんと首を横に振った。
嫌なわけない。すごく嬉しい。
でも、今は大事なインターハイの試合前だ。一週間後にはインターハイ会場である広島に旅立つ。
この大事なときにのんびりデートだなんて、本当にいいんだろうか……。
伊織は戸惑った。
「やっ、そうじゃなくて……、だって宗くん、大会が近いのに……」
「うん。でも明日は部活休みだよ?」
「そ、そうだけど……」
付き合うことが決まってから、伊織は宗一郎のことを『宗先輩』から『宗くん』と呼ぶようになった。
本当は『宗一郎』と呼ぶように言われていたけれど、伊織はそれになかなか順応できず、宗一郎との長い攻防のすえ、結局『宗くん』で落ち着くことになった。
最初は不満そうだった宗一郎も、それはそれでかわいくていいかもね、なんて今では結構気に入っているようだ。
呼称の変更と共に強要された敬語禁止も、付き合い始めて三日目の今日、だいぶ板につくようになってきた。
伊織は穏やかに微笑む宗一郎を眉根を寄せて見つめる。
「宗くん。明日、牧先輩とノブが愛知の県大会決勝を見に行くって言ってたよ? 宗くんはそれに一緒に行かなくていいの?」
「ああ、愛知の星でしょ。俺は去年見たし、今年はわざわざ行かなくてもいいかな。どうせ遅かれ早かれ見ることにはなるんだし」
新幹線代も安くないしね、なんて言う宗一郎に、伊織は納得いかない様子で首を振る。
「うそだぁ。宗くんは絶対見たいはずだよ」
「なんで?」
「だってだって、宗くんバスケ大好きだもん!」
伊織は手をグーにして、宗一郎に向けて力説した。
そうして、宗一郎の心を探るように伊織は宗一郎の瞳を覗き込む。
「ねえ、宗くん。もしかしてわたしに気を使ってる? もしそうなら、気にしないで。わたしだって昔はテニス一筋のスポーツマンだったんだからね? まさかバスケとわたしとどっちが大事なの、なんていう往年のドラマみたいなセリフ言わないよ?」
「はは! そんな心配はしてないよ。ただ俺が伊織と一緒にデートしたかっただけなんだけど……。そうか、伊織はそんなに嫌だったのか」
じゃあやめたほうがいいかな、なんて言って宗一郎はわざとらしくため息をついて肩を落とした。
伊織はそれに慌てて宗一郎の腕を掴む。
「わわ、宗くん、嫌じゃない! 嫌なんて思ってないってば! 宗くんと出かけられるなんてわたしだって嬉しいよ! 夢みたいだよ!」
「じゃあしようよ、デート」
「で、でも……」
ほんとうにいいんだろうか……。
踏ん切りがつかず悶々と悩んでいると、宗一郎の大きな手が優しく伊織の頭に触れた。
そんな中、伊織と、伊織が長く片思いをしていたバスケ部レギュラー、二年の神宗一郎との関係にも進展があり、二人は晴れて彼氏、彼女となった。
「伊織、明日デートしようか」
部活終了後。宗一郎と並んで帰っていた伊織は、その声に驚いて隣りを歩く宗一郎の顔を見た。
付き合い始めてから二人は、行きはそれぞれ今までの組み合わせで、帰りは伊織と宗一郎、まりあと信長の組み合わせで帰るようになった。
信長とまりあが気を利かせてのことらしい。
ちなみに朝が今までどおりの組み合わせなのは、信長とまりあが自転車通学ではないからだ。
まりあは自転車を持ってはいるが、今更学校に申請するのが億劫らしく、帰りに宗一郎の自転車を借りて信長と帰っていた。
宗一郎が引く伊織の自転車が、からからと音を立てながらタイヤを回転させている。
伊織はその音だけを耳に入れながら、隣りで穏やかに微笑む宗一郎の顔をじっと見つめた。
「嫌?」
何も答えない伊織に宗一郎は重ねて問いかける。
伊織はぶんぶんと首を横に振った。
嫌なわけない。すごく嬉しい。
でも、今は大事なインターハイの試合前だ。一週間後にはインターハイ会場である広島に旅立つ。
この大事なときにのんびりデートだなんて、本当にいいんだろうか……。
伊織は戸惑った。
「やっ、そうじゃなくて……、だって宗くん、大会が近いのに……」
「うん。でも明日は部活休みだよ?」
「そ、そうだけど……」
付き合うことが決まってから、伊織は宗一郎のことを『宗先輩』から『宗くん』と呼ぶようになった。
本当は『宗一郎』と呼ぶように言われていたけれど、伊織はそれになかなか順応できず、宗一郎との長い攻防のすえ、結局『宗くん』で落ち着くことになった。
最初は不満そうだった宗一郎も、それはそれでかわいくていいかもね、なんて今では結構気に入っているようだ。
呼称の変更と共に強要された敬語禁止も、付き合い始めて三日目の今日、だいぶ板につくようになってきた。
伊織は穏やかに微笑む宗一郎を眉根を寄せて見つめる。
「宗くん。明日、牧先輩とノブが愛知の県大会決勝を見に行くって言ってたよ? 宗くんはそれに一緒に行かなくていいの?」
「ああ、愛知の星でしょ。俺は去年見たし、今年はわざわざ行かなくてもいいかな。どうせ遅かれ早かれ見ることにはなるんだし」
新幹線代も安くないしね、なんて言う宗一郎に、伊織は納得いかない様子で首を振る。
「うそだぁ。宗くんは絶対見たいはずだよ」
「なんで?」
「だってだって、宗くんバスケ大好きだもん!」
伊織は手をグーにして、宗一郎に向けて力説した。
そうして、宗一郎の心を探るように伊織は宗一郎の瞳を覗き込む。
「ねえ、宗くん。もしかしてわたしに気を使ってる? もしそうなら、気にしないで。わたしだって昔はテニス一筋のスポーツマンだったんだからね? まさかバスケとわたしとどっちが大事なの、なんていう往年のドラマみたいなセリフ言わないよ?」
「はは! そんな心配はしてないよ。ただ俺が伊織と一緒にデートしたかっただけなんだけど……。そうか、伊織はそんなに嫌だったのか」
じゃあやめたほうがいいかな、なんて言って宗一郎はわざとらしくため息をついて肩を落とした。
伊織はそれに慌てて宗一郎の腕を掴む。
「わわ、宗くん、嫌じゃない! 嫌なんて思ってないってば! 宗くんと出かけられるなんてわたしだって嬉しいよ! 夢みたいだよ!」
「じゃあしようよ、デート」
「で、でも……」
ほんとうにいいんだろうか……。
踏ん切りがつかず悶々と悩んでいると、宗一郎の大きな手が優しく伊織の頭に触れた。