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「伊織ちゃん、好きだ……っ。好きだ。好きだ。好きだよ、伊織ちゃん……!」
「わたしも、彰さんのこと、すごくすごく大好きでした……!」
過去形の言葉。
だけど伊織の一生懸命な声音で囁かれたそれは、仙道を傷つけるどころか優しく包み込む。
「……うん。ありがとう、伊織ちゃん」
なんて愛しい、腕の中のキミ。
オレの宝物。
「愛してるよ、伊織ちゃん」
仙道はぎゅうっと腕を強めた。
しばらくそうしたあと、仙道は伊織の体をそっと離す。
「次に会う時は、友達でいてくれる……?」
「も、もちろんです。でも彰さんは、もうわたしの顔を見るのも、嫌なんじゃないんですか?」
「はは。まさか。この先伊織ちゃんに恋愛感情がなくなったとしても、いつでも伊織ちゃんはオレにとって大切な存在だよ。なんてったって初恋の女の子なんだから」
「――わたしも、彰さんが初恋でした。だから、恋愛感情がなくなった今も、彰さんが大切な存在なのには変わりありません」
「ありがとう」
伊織のその言葉は単純に嬉しかった。
仙道は優しく笑って伊織の顔を覗き込む。
「じゃあ、これで伊織ちゃんと縁が切れちゃうことはないよね?」
「はい」
「また、オレが伊織ちゃんのことを友達として見れるようになったら、きっと、会ってくれる……?」
「……はい!」
仙道は名残を惜しむようにもう一度だけ伊織を力強く抱きしめた。
耳元で囁く。
「愛してる。愛してるよ、伊織ちゃん。オレは本気で、キミを愛してた」
「はい……っ!」
仙道は歯を食いしばるようにして伊織の体を離した。
自身の頬を流れる涙を乱暴に拭うと、精一杯の笑顔でにこりと微笑む。
「じゃあ、少しの間だけさよならだ、伊織ちゃん」
「彰さん……!」
「それじゃあ、伊織ちゃん。行って。絶対に振り返らないで。もし振り返ったらオレ、伊織ちゃんがイヤだって泣いて叫んだって、無理矢理オレのものにするから……っ!」
仙道は伊織を強く押した。
伊織はよろめきながら仙道から離れると、がばりと体を半分に折り曲げた。
「彰さん! こんなわたしのことを、たくさん愛してくれて……っ、ほんとうにありがとうございました」
嗚咽交じりのその言葉を残して、伊織が背を向けて駆け出した。
伊織の後姿を目に焼けつけようと願うのに、だんだんと視界がぼやけてそれも叶わない。
伊織の姿がおぼろげにも確認できなくなると、仙道は仰向けに倒れた。
ぱすんと砂浜が優しく仙道の体を受け止めてくれる。
「はは。終わっちゃったなあ……」
仙道は自分の目元に腕を当てた。
その下から、光る雫が幾筋も流れていく。
好きだった。本当に愛してた。
伊織さえいてくれたら、それだけで何もいらなかったのに……。
「しあわせになれよ、伊織ちゃん」
本当はこの手で幸せにしたかったけれど。
それは叶わないから、いつか伊織を泣かせた神を殴るときに、この手は使うことにしよう。
仙道はそう決意を固めると、今は感情の赴くままに涙を流し続けた。
きっとそれが、明日へつながっていくと信じて……。
「わたしも、彰さんのこと、すごくすごく大好きでした……!」
過去形の言葉。
だけど伊織の一生懸命な声音で囁かれたそれは、仙道を傷つけるどころか優しく包み込む。
「……うん。ありがとう、伊織ちゃん」
なんて愛しい、腕の中のキミ。
オレの宝物。
「愛してるよ、伊織ちゃん」
仙道はぎゅうっと腕を強めた。
しばらくそうしたあと、仙道は伊織の体をそっと離す。
「次に会う時は、友達でいてくれる……?」
「も、もちろんです。でも彰さんは、もうわたしの顔を見るのも、嫌なんじゃないんですか?」
「はは。まさか。この先伊織ちゃんに恋愛感情がなくなったとしても、いつでも伊織ちゃんはオレにとって大切な存在だよ。なんてったって初恋の女の子なんだから」
「――わたしも、彰さんが初恋でした。だから、恋愛感情がなくなった今も、彰さんが大切な存在なのには変わりありません」
「ありがとう」
伊織のその言葉は単純に嬉しかった。
仙道は優しく笑って伊織の顔を覗き込む。
「じゃあ、これで伊織ちゃんと縁が切れちゃうことはないよね?」
「はい」
「また、オレが伊織ちゃんのことを友達として見れるようになったら、きっと、会ってくれる……?」
「……はい!」
仙道は名残を惜しむようにもう一度だけ伊織を力強く抱きしめた。
耳元で囁く。
「愛してる。愛してるよ、伊織ちゃん。オレは本気で、キミを愛してた」
「はい……っ!」
仙道は歯を食いしばるようにして伊織の体を離した。
自身の頬を流れる涙を乱暴に拭うと、精一杯の笑顔でにこりと微笑む。
「じゃあ、少しの間だけさよならだ、伊織ちゃん」
「彰さん……!」
「それじゃあ、伊織ちゃん。行って。絶対に振り返らないで。もし振り返ったらオレ、伊織ちゃんがイヤだって泣いて叫んだって、無理矢理オレのものにするから……っ!」
仙道は伊織を強く押した。
伊織はよろめきながら仙道から離れると、がばりと体を半分に折り曲げた。
「彰さん! こんなわたしのことを、たくさん愛してくれて……っ、ほんとうにありがとうございました」
嗚咽交じりのその言葉を残して、伊織が背を向けて駆け出した。
伊織の後姿を目に焼けつけようと願うのに、だんだんと視界がぼやけてそれも叶わない。
伊織の姿がおぼろげにも確認できなくなると、仙道は仰向けに倒れた。
ぱすんと砂浜が優しく仙道の体を受け止めてくれる。
「はは。終わっちゃったなあ……」
仙道は自分の目元に腕を当てた。
その下から、光る雫が幾筋も流れていく。
好きだった。本当に愛してた。
伊織さえいてくれたら、それだけで何もいらなかったのに……。
「しあわせになれよ、伊織ちゃん」
本当はこの手で幸せにしたかったけれど。
それは叶わないから、いつか伊織を泣かせた神を殴るときに、この手は使うことにしよう。
仙道はそう決意を固めると、今は感情の赴くままに涙を流し続けた。
きっとそれが、明日へつながっていくと信じて……。