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仙道が伊織を振り返らないまま呟いた。
仙道に見えていないことはわかっていながらも、伊織は大きく首を振る。
「そんなこと……っ! 彰さん……!」
伊織は仙道に駆け寄ってその前にまわり込んだ。
伏せられた顔を覗き込むようにして仙道と目が合ったそのとき、仙道の腕が素早い動きで伊織の体に伸びた。
ぎゅっと骨が軋むくらい強く抱きしめられる。
「!」
「伊織ちゃん……!」
仙道の声が震えている。
その声を聞いて、伊織の瞳から勝手に涙が溢れた。
「あ、きら……さん!」
「伊織ちゃん、伊織ちゃん……!」
だんだんか細くなっていく仙道の声。
伊織を抱きしめる腕の力も弱くなっていき、仙道はそのままずるずるとその場に顔を伏せて座り込んだ。
伊織は砂浜に膝を着いて、そんな仙道の頭を自分の胸に抱え込むようにして抱きしめる。
「彰さん……!」
「伊織……ちゃん!」
仙道の腕が、伊織にしがみつくようにしてまわされた。
たくましい仙道の肩が小刻みに震えている。
伊織はそれを見て胸が引きちぎられそうになった。
その肩を優しく撫でながら、伊織は涙を流した。
時々聞こえる仙道の嗚咽が、伊織の胸をさらに締め付ける。
(彰さん……!)
伊織は少しでも仙道の痛みが減るように、その痛みを分かち合えるように、仙道をきつくきつく抱きしめた。
深い静寂の中。波が打ち寄せる音だけが辺りに響く。
どれくらいの間そうしていただろうか。
陽はすっかり海に沈んで、暗くなった波間を月がさやさやと照らしていた。
仙道は伊織の腕の中、小さく身じろぎした。
これ以上伊織に抱きしめられたままになっているのはなんだか情けなかった。
仙道の動きを感じて伊織が腕の力を緩めて、こちらを見てくる。
仙道は顔をあげてそんな伊織を見ると、思わず小さく笑ってしまった。
伊織のまぶたが、おそらく自分と同じようにぷっくりと腫れていた。
自分の痛みに寄り添ってくれていた伊織をみて、仙道の胸にどうしようもない愛しさが込み上げる。
「伊織ちゃん。目が腫れてるよ?」
「彰さんこそ」
「うん。ちょっと泣いちゃった。情けないね」
「……そう思ってるように見えますか?」
「ううん。だから余計につらいな。……最後くらいかっこつけたかったっていうか」
「……彰さんは、いつでもかっこいいですよ」
「はは、ありがと……」
仙道は伊織の肩に手をかけると、中腰だった伊織の体を完全に座らせた。
いつものように伊織の顔が仙道の下に来る。
仙道は愛しいものを見るように瞳を細めて伊織を見た。
伊織の桜色の唇が、すっかり青ざめてしまっている。
仙道はそこに手を伸ばすと暖めるようにそっと撫でた。
伊織の体が一瞬だけ小さく震える。
「すっかり冷えちゃったね」
「夏だから大丈夫です」
仙道に見えていないことはわかっていながらも、伊織は大きく首を振る。
「そんなこと……っ! 彰さん……!」
伊織は仙道に駆け寄ってその前にまわり込んだ。
伏せられた顔を覗き込むようにして仙道と目が合ったそのとき、仙道の腕が素早い動きで伊織の体に伸びた。
ぎゅっと骨が軋むくらい強く抱きしめられる。
「!」
「伊織ちゃん……!」
仙道の声が震えている。
その声を聞いて、伊織の瞳から勝手に涙が溢れた。
「あ、きら……さん!」
「伊織ちゃん、伊織ちゃん……!」
だんだんか細くなっていく仙道の声。
伊織を抱きしめる腕の力も弱くなっていき、仙道はそのままずるずるとその場に顔を伏せて座り込んだ。
伊織は砂浜に膝を着いて、そんな仙道の頭を自分の胸に抱え込むようにして抱きしめる。
「彰さん……!」
「伊織……ちゃん!」
仙道の腕が、伊織にしがみつくようにしてまわされた。
たくましい仙道の肩が小刻みに震えている。
伊織はそれを見て胸が引きちぎられそうになった。
その肩を優しく撫でながら、伊織は涙を流した。
時々聞こえる仙道の嗚咽が、伊織の胸をさらに締め付ける。
(彰さん……!)
伊織は少しでも仙道の痛みが減るように、その痛みを分かち合えるように、仙道をきつくきつく抱きしめた。
深い静寂の中。波が打ち寄せる音だけが辺りに響く。
どれくらいの間そうしていただろうか。
陽はすっかり海に沈んで、暗くなった波間を月がさやさやと照らしていた。
仙道は伊織の腕の中、小さく身じろぎした。
これ以上伊織に抱きしめられたままになっているのはなんだか情けなかった。
仙道の動きを感じて伊織が腕の力を緩めて、こちらを見てくる。
仙道は顔をあげてそんな伊織を見ると、思わず小さく笑ってしまった。
伊織のまぶたが、おそらく自分と同じようにぷっくりと腫れていた。
自分の痛みに寄り添ってくれていた伊織をみて、仙道の胸にどうしようもない愛しさが込み上げる。
「伊織ちゃん。目が腫れてるよ?」
「彰さんこそ」
「うん。ちょっと泣いちゃった。情けないね」
「……そう思ってるように見えますか?」
「ううん。だから余計につらいな。……最後くらいかっこつけたかったっていうか」
「……彰さんは、いつでもかっこいいですよ」
「はは、ありがと……」
仙道は伊織の肩に手をかけると、中腰だった伊織の体を完全に座らせた。
いつものように伊織の顔が仙道の下に来る。
仙道は愛しいものを見るように瞳を細めて伊織を見た。
伊織の桜色の唇が、すっかり青ざめてしまっている。
仙道はそこに手を伸ばすと暖めるようにそっと撫でた。
伊織の体が一瞬だけ小さく震える。
「すっかり冷えちゃったね」
「夏だから大丈夫です」