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夢小説設定
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「まりあちゃん……」
まりあが自嘲するように薄く笑う。
「だから、それからさきは絶対に伊織ちゃんから目を離さないって決めたの。伊織ちゃんが同じクラスで本当にラッキーだと思った。いつ宗ちゃんが接触してくるかわからないから、なるべく伊織ちゃんとずっと一緒にいるように心がけて、だから部活だってマネージャー誘ったんだよ?」
「そ、そうだったんだ……」
「まあ、全部意味なかったけど。なんの誤算かまりあ伊織ちゃんと純粋に仲良くなっちゃったし。……特に、バスケ部のマネージャーに誘ったのは完全に裏目にでちゃったな。誘うんじゃなかった」
まりあの瞳が揺らめいた。
伊織はハッと腰を浮かした。
まりあの瞳から涙がこぼれる。
「伊織ちゃん。宗ちゃんのこと好き?」
「――うん。好き」
「どれくらい好き?」
「言葉で表すのは難しいけど……でも、すごくすごく好きだよ。とても大切で、宗先輩にはいつでも笑顔でいて欲しいし、笑顔でいられるようにわたしが宗先輩を守りたい」
「うん……。やっぱり逞しいね、伊織ちゃん。それを聞いて安心した。――ね、伊織ちゃん。まりあも宗ちゃんのこと好きだよ。大好き。伊織ちゃんなんかよりもまりあの方がずっとずっと宗ちゃんの近くにいたし、伊織ちゃんなんかよりもまりあの方がずっとずっと宗ちゃんのいろんなこと知ってる。ほんとうにほんとうに宗ちゃんが大好き。……だけど」
ふいにまりあがそこで声を途切らせた。まりあの瞳から次々と透明な涙が溢れ出す。
たまらなくなって伊織はまりあを抱きしめた。
小柄なまりあは、伊織にしがみつくように抱きついてくる。
伊織はまりあが苦しくない程度に腕に力を込めて、まりあを抱きしめた。
まりあが伊織の腕の中でしゃくり上げながら、それでも必死に言葉を紡ぐ。
「まりあ、伊織ちゃんも好きだから。初めての女友達で、まりあのことすごく大切に思ってくれて、バカ正直で、救いようのないザルバカで、そんな伊織ちゃんが大好きだから……。だからまりあ、許してあげる。伊織ちゃんになら、まりあの大好きな宗ちゃん、譲ってあげるよ」
「まりあちゃん……!」
「伊織ちゃん……!」
まりあがさらに強くしがみついてきた。
伊織はそれを受け止めるようにもう少しだけ腕に力を込める。
「ま、まりあの宗ちゃ……、しあわせに、してね……? 宗ちゃんが、しあわせじゃな、と……、まりあには、すぐ、わかるんだから……!」
「うん……!」
伊織の瞳からも涙が零れ落ちた。
まりあがどんな気持ちでそれを口にしたのかと思うと胸がちぎれそうだった。
むせび泣くまりあの背中を伊織は優しく撫でさすった。
それにあおられるように、まりあがさらに大きく泣き声をあげる。
「宗ちゃあん! うわぁぁぁん、好きだよぉぉぉっ!」
「まりあちゃん……っ!」
伊織はきつくきつくまりあを抱きしめた。
宗一郎の名を、その思いのたけを叫びながら泣くまりあを腕に抱いて、伊織は誓った。
まりあの思いの強さの分も、宗一郎を絶対に大切にすることを。
それからしばらくの間、ふたりは抱き合ったまま泣き続けた。
表彰式を終えて戻ってきた海南の部員たちがそんな二人を見て驚いたけれど、信長と宗一郎以外はみんな優勝してよかったと歓喜して泣いていると勝手に勘違いしてくれた。
伊織は涙を拭くと、頬をぱしんと両手で叩いた。
信長がその音を聞いて振り返る。
まりあが自嘲するように薄く笑う。
「だから、それからさきは絶対に伊織ちゃんから目を離さないって決めたの。伊織ちゃんが同じクラスで本当にラッキーだと思った。いつ宗ちゃんが接触してくるかわからないから、なるべく伊織ちゃんとずっと一緒にいるように心がけて、だから部活だってマネージャー誘ったんだよ?」
「そ、そうだったんだ……」
「まあ、全部意味なかったけど。なんの誤算かまりあ伊織ちゃんと純粋に仲良くなっちゃったし。……特に、バスケ部のマネージャーに誘ったのは完全に裏目にでちゃったな。誘うんじゃなかった」
まりあの瞳が揺らめいた。
伊織はハッと腰を浮かした。
まりあの瞳から涙がこぼれる。
「伊織ちゃん。宗ちゃんのこと好き?」
「――うん。好き」
「どれくらい好き?」
「言葉で表すのは難しいけど……でも、すごくすごく好きだよ。とても大切で、宗先輩にはいつでも笑顔でいて欲しいし、笑顔でいられるようにわたしが宗先輩を守りたい」
「うん……。やっぱり逞しいね、伊織ちゃん。それを聞いて安心した。――ね、伊織ちゃん。まりあも宗ちゃんのこと好きだよ。大好き。伊織ちゃんなんかよりもまりあの方がずっとずっと宗ちゃんの近くにいたし、伊織ちゃんなんかよりもまりあの方がずっとずっと宗ちゃんのいろんなこと知ってる。ほんとうにほんとうに宗ちゃんが大好き。……だけど」
ふいにまりあがそこで声を途切らせた。まりあの瞳から次々と透明な涙が溢れ出す。
たまらなくなって伊織はまりあを抱きしめた。
小柄なまりあは、伊織にしがみつくように抱きついてくる。
伊織はまりあが苦しくない程度に腕に力を込めて、まりあを抱きしめた。
まりあが伊織の腕の中でしゃくり上げながら、それでも必死に言葉を紡ぐ。
「まりあ、伊織ちゃんも好きだから。初めての女友達で、まりあのことすごく大切に思ってくれて、バカ正直で、救いようのないザルバカで、そんな伊織ちゃんが大好きだから……。だからまりあ、許してあげる。伊織ちゃんになら、まりあの大好きな宗ちゃん、譲ってあげるよ」
「まりあちゃん……!」
「伊織ちゃん……!」
まりあがさらに強くしがみついてきた。
伊織はそれを受け止めるようにもう少しだけ腕に力を込める。
「ま、まりあの宗ちゃ……、しあわせに、してね……? 宗ちゃんが、しあわせじゃな、と……、まりあには、すぐ、わかるんだから……!」
「うん……!」
伊織の瞳からも涙が零れ落ちた。
まりあがどんな気持ちでそれを口にしたのかと思うと胸がちぎれそうだった。
むせび泣くまりあの背中を伊織は優しく撫でさすった。
それにあおられるように、まりあがさらに大きく泣き声をあげる。
「宗ちゃあん! うわぁぁぁん、好きだよぉぉぉっ!」
「まりあちゃん……っ!」
伊織はきつくきつくまりあを抱きしめた。
宗一郎の名を、その思いのたけを叫びながら泣くまりあを腕に抱いて、伊織は誓った。
まりあの思いの強さの分も、宗一郎を絶対に大切にすることを。
それからしばらくの間、ふたりは抱き合ったまま泣き続けた。
表彰式を終えて戻ってきた海南の部員たちがそんな二人を見て驚いたけれど、信長と宗一郎以外はみんな優勝してよかったと歓喜して泣いていると勝手に勘違いしてくれた。
伊織は涙を拭くと、頬をぱしんと両手で叩いた。
信長がその音を聞いて振り返る。