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夢小説設定
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「うん……」
宗一郎は少し伊織を体から離すと、その額に口付けた。
その柔らかな感触に伊織の頬が薄紅に染まる。
「俺も早くまりあとのことちゃんとしなきゃね」
「……わたし、まりあちゃんに殺されるかな……」
「はは、大丈夫だよ」
「うう。でも、覚悟はできてます。まりあちゃんが納得するまではわたし、耐えてみせる!」
ぐっとこぶしを握り締めて言う伊織に、宗一郎がくつくつと笑う。
「俺を頼ってはくれないの?」
「それはダメです。まりあちゃんの前でわたしを庇ったりなんて絶対ダメですよ! まりあちゃんをもっと傷つけちゃう……!」
「そっか。うん……そうだね。ありがとう、伊織ちゃん」
「?」
なぜ宗一郎にお礼を言われたのかがわからなくて、伊織は首をかしげた。
宗一郎がそれに頬を緩める。
「まりあの友達が、伊織ちゃんでよかった」
宗一郎はもう一度伊織の額にキスを落とすと、優しく微笑む。
「さ、そろそろ試合が始まるよ。行こうか、伊織ちゃん」
「あ、はい」
二人は微笑みあうと観客席へと歩き出した。
試合終了のブザーが鳴る。
伊織は信じられない気持ちでそれを聞いた。
いま目の前でなにが起こっているのか、うまく理解できない。
頭がそうすることを拒否している。
「うそ……」
会場の音が遠ざかる。
まるで世界から切り離されたような感覚。
その中で目に飛び込んでくる、電子得点板。その表示。
陵南66点。そして湘北……70点。
「全国で活躍する仙道を見てみたかったけどな」
牧のそんな言葉がふいに伊織の耳に飛び込んできた。
仙道を見てみたかった。
それはつまり。
「彰さん!」
眼下の仙道は、唇を真一文字に引き結んで静かに汗をぬぐっている。
伊織にはそのポーカーフェイスの下に隠された苦しみが手に取るようにわかった。
(どうしよう、彰さん彰さん……!)
仙道のもとへ行こうとした伊織の腕を信長が掴む。
「おい、伊織! どこ行くんだよ!?」
「ノブ、彰さん……彰さんのとこ行かなきゃ……!」
「はあ!? 何言ってんだよ、お前! 今から表彰式だろ!?」
「でも、だけど、彰さん……、だって彰さんが……!」
うわごとのようにそう繰り返す伊織の様子に眉根を寄せ、信長が仙道を見た。
多くの陵南の選手が涙する中、仙道は無表情でベンチに歩いて行っている。
宗一郎は少し伊織を体から離すと、その額に口付けた。
その柔らかな感触に伊織の頬が薄紅に染まる。
「俺も早くまりあとのことちゃんとしなきゃね」
「……わたし、まりあちゃんに殺されるかな……」
「はは、大丈夫だよ」
「うう。でも、覚悟はできてます。まりあちゃんが納得するまではわたし、耐えてみせる!」
ぐっとこぶしを握り締めて言う伊織に、宗一郎がくつくつと笑う。
「俺を頼ってはくれないの?」
「それはダメです。まりあちゃんの前でわたしを庇ったりなんて絶対ダメですよ! まりあちゃんをもっと傷つけちゃう……!」
「そっか。うん……そうだね。ありがとう、伊織ちゃん」
「?」
なぜ宗一郎にお礼を言われたのかがわからなくて、伊織は首をかしげた。
宗一郎がそれに頬を緩める。
「まりあの友達が、伊織ちゃんでよかった」
宗一郎はもう一度伊織の額にキスを落とすと、優しく微笑む。
「さ、そろそろ試合が始まるよ。行こうか、伊織ちゃん」
「あ、はい」
二人は微笑みあうと観客席へと歩き出した。
試合終了のブザーが鳴る。
伊織は信じられない気持ちでそれを聞いた。
いま目の前でなにが起こっているのか、うまく理解できない。
頭がそうすることを拒否している。
「うそ……」
会場の音が遠ざかる。
まるで世界から切り離されたような感覚。
その中で目に飛び込んでくる、電子得点板。その表示。
陵南66点。そして湘北……70点。
「全国で活躍する仙道を見てみたかったけどな」
牧のそんな言葉がふいに伊織の耳に飛び込んできた。
仙道を見てみたかった。
それはつまり。
「彰さん!」
眼下の仙道は、唇を真一文字に引き結んで静かに汗をぬぐっている。
伊織にはそのポーカーフェイスの下に隠された苦しみが手に取るようにわかった。
(どうしよう、彰さん彰さん……!)
仙道のもとへ行こうとした伊織の腕を信長が掴む。
「おい、伊織! どこ行くんだよ!?」
「ノブ、彰さん……彰さんのとこ行かなきゃ……!」
「はあ!? 何言ってんだよ、お前! 今から表彰式だろ!?」
「でも、だけど、彰さん……、だって彰さんが……!」
うわごとのようにそう繰り返す伊織の様子に眉根を寄せ、信長が仙道を見た。
多くの陵南の選手が涙する中、仙道は無表情でベンチに歩いて行っている。