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(神先輩に褒められた――!)
伊織は嬉しくなって頬を緩めた。
「でもでも、神先輩だって優しいです! これだけ人がいるのに、神先輩だけが手伝ってくださったんですから!」
「ふふ、ありがとう。でも俺も普段なら避けるよ」
「ええ? ほんとうですか?」
そんなことを言い合いながら用具室に得点板を納めると、二人は埃を払うように手を打った。
「伊織ちゃん」
「はい?」
「今度から得点板を出すときは俺を呼んで。きっと誰も手伝ってくれないだろうから」
まったくみんなダメなやつらだよね、と遠い目でわざとらしく言う宗一郎に、伊織はあははと笑った。
「いいんですか? 先輩も避けるって言ってたのに」
「もちろん。ただし、呼んでくれなかったらそのときはゲンコツだからね」
「え、ゲンコツですか」
「そう、ゲンコツ」
「…………。わかりました。絶対呼びます」
「はは、よろしく。じゃあ、俺着替えてくるから。またね、伊織ちゃん」
「あ、はい。ありがとうございました」
伊織は、にこりと笑って用具室を去っていく宗一郎の背中をじっと見つめた。
さっきから、心臓はトクトクと鼓動を早めている。
伊織は気持ちを引き締めるようにぱちんと思いっきり両頬を叩くと、深くため息をついた。
「……これは、困ったなぁ……」
ダメだとわかっているのに、どんどん惹かれていってしまう。
どうしてあんなに優しいんだろう。
このままでは、ほんとうにまずい。
後戻りできなくなってしまう。
「はぁ」
もう一度深くため息をつくと、伊織も用具室を後にした。
昼休み。待ちにまったお弁当タイムだ。
伊織はうきうきとカバンの中を開けると、自作のお弁当を取り出した。今日のごはんはそぼろ三色丼。昨日あまった鶏のひき肉を使ってつくった、自信作だ。
さらにいつも持ってきている水筒をカバンから取り出す。こちらの中にはほうじ茶が入っている。
そのうちに、信長も自分のお弁当を持って伊織の机までやってきた。
いったい何人分なんだと疑問になるようなサイズの弁当箱をドンと音をたてて置くと、手近にあったイスを引き寄せ、座る。
「相変わらずおっきいお弁当箱だねえ」
「何言ってんだよ。これでも足りないくらいだぜ」
「げー」
ちょっくら飲みモン買ってくる! と駆けていく信長の背中を見送っていると、まりあもお弁当箱を持って伊織の元へやってきた。こちらも家から水筒持参だ。
伊織の前の席にお弁当と水筒を置くと、伊織と向かい合わせになるように机を回転させる。
「ノブくんは自販機?」
「そう。ノブも水筒持ってくればいいのにね」
「ほんとう。毎日百円って意外とあなどれないのに」
「ねえ」
塵も積もれば山となる、だ。
いくら学校内は外の自動販売機よりも安いとはいえ、毎日買っているようではその出費はバカにできない。一ヶ月もすれば三千円だ。
伊織は嬉しくなって頬を緩めた。
「でもでも、神先輩だって優しいです! これだけ人がいるのに、神先輩だけが手伝ってくださったんですから!」
「ふふ、ありがとう。でも俺も普段なら避けるよ」
「ええ? ほんとうですか?」
そんなことを言い合いながら用具室に得点板を納めると、二人は埃を払うように手を打った。
「伊織ちゃん」
「はい?」
「今度から得点板を出すときは俺を呼んで。きっと誰も手伝ってくれないだろうから」
まったくみんなダメなやつらだよね、と遠い目でわざとらしく言う宗一郎に、伊織はあははと笑った。
「いいんですか? 先輩も避けるって言ってたのに」
「もちろん。ただし、呼んでくれなかったらそのときはゲンコツだからね」
「え、ゲンコツですか」
「そう、ゲンコツ」
「…………。わかりました。絶対呼びます」
「はは、よろしく。じゃあ、俺着替えてくるから。またね、伊織ちゃん」
「あ、はい。ありがとうございました」
伊織は、にこりと笑って用具室を去っていく宗一郎の背中をじっと見つめた。
さっきから、心臓はトクトクと鼓動を早めている。
伊織は気持ちを引き締めるようにぱちんと思いっきり両頬を叩くと、深くため息をついた。
「……これは、困ったなぁ……」
ダメだとわかっているのに、どんどん惹かれていってしまう。
どうしてあんなに優しいんだろう。
このままでは、ほんとうにまずい。
後戻りできなくなってしまう。
「はぁ」
もう一度深くため息をつくと、伊織も用具室を後にした。
昼休み。待ちにまったお弁当タイムだ。
伊織はうきうきとカバンの中を開けると、自作のお弁当を取り出した。今日のごはんはそぼろ三色丼。昨日あまった鶏のひき肉を使ってつくった、自信作だ。
さらにいつも持ってきている水筒をカバンから取り出す。こちらの中にはほうじ茶が入っている。
そのうちに、信長も自分のお弁当を持って伊織の机までやってきた。
いったい何人分なんだと疑問になるようなサイズの弁当箱をドンと音をたてて置くと、手近にあったイスを引き寄せ、座る。
「相変わらずおっきいお弁当箱だねえ」
「何言ってんだよ。これでも足りないくらいだぜ」
「げー」
ちょっくら飲みモン買ってくる! と駆けていく信長の背中を見送っていると、まりあもお弁当箱を持って伊織の元へやってきた。こちらも家から水筒持参だ。
伊織の前の席にお弁当と水筒を置くと、伊織と向かい合わせになるように机を回転させる。
「ノブくんは自販機?」
「そう。ノブも水筒持ってくればいいのにね」
「ほんとう。毎日百円って意外とあなどれないのに」
「ねえ」
塵も積もれば山となる、だ。
いくら学校内は外の自動販売機よりも安いとはいえ、毎日買っているようではその出費はバカにできない。一ヶ月もすれば三千円だ。