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仙道はぎゅっとお守りを握り締めた。
(ありがとう、伊織ちゃん)
それをユニフォームのポケットにしまうと、仙道はホワイトボードに視線を移した。
田岡がドアを開けて入ってくる。
今日の自分のポジションはポイントガード。
奇策と呼ばれる作戦。
それを持って海南に挑む。
試合を思うとわくわくした。
仙道はほどよい緊張感が自分を包むのを感じながら、田岡の話に耳を傾けた。
決勝リーグ最終日。
武里と戦う信長に、伊織は海南ベンチで声援を送っていた。
残り時間もあとわずか。コート上では一年生レギュラーの信長を中心としたチームが戦っていた。
一年生ながらその勢いのあるプレイで先輩レギュラーを引っ張っている信長の姿に、伊織はちょっと誇らしい気持ちになった。
あれがいつも隣りではしゃいでいる信長と同一人物だなんてとても信じられない。
牧、宗一郎、高砂、武藤はすでにベンチに下げられていた。
傍らに立つ宗一郎が、こっそり伊織に耳打ちをしてくる。
「この調子だともう俺たちの出番はなさそうだね。伊織ちゃんにもっとかっこいいところ見せたかったんだけど、残念だな」
「じ、充分見せてもらったから大丈夫ですよ」
「はは、そうかな。――陵南戦の仙道のほうがかっこよかったんじゃない?」
低く、不安を押し殺したような宗一郎の声。
その響きに驚いて伊織が顔をあげると、宗一郎が伊織の視線を避けるようにコートに視線を戻した。
「宗先輩」
「ほら伊織ちゃん。試合に集中して。もうすぐ終わるよ」
「あ、はい……」
それ以上なにも言う事を許さない宗一郎の横顔に戸惑いを感じながら、伊織もコートに視線を移した。
残り時間を示す数字が10秒を切った。
9……8……7……。
息の詰まるような武里の最後の猛攻を必死で防ぐ信長たち。
相手のエース選手のドリブルを信長がカットしたそのとき、耳をつんざくような甲高いブザーが会場に鳴り響いた。
海南98対武里51。海南大附属高校が17年連続県大会優勝を決めた瞬間だった。
引き続き行われる第二試合、陵南対湘北戦を観戦するために、伊織たちは二階席へと移動を開始した。
伊織はその一番後ろ、ひとり少し遅れてみんなのあとに続いた。
先日の陵南戦。結果は海南の勝利だった。試合終了後の仙道の顔が伊織の脳裏によみがえる。
悔しそうに唇を噛み締めた仙道の横顔が忘れられない。
陵南にとって、次の一戦が全国出場を決める大事な試合だった。
あれだけ拒絶された後だ。直接がんばってと伝えることはできないけれど……だけど。
伊織はぐっと体の前で手を祈るように組んだ。
どうか、神さま。どうかお願いします。
(彰さんを勝たせてください……!)
そのとき。
「伊織ちゃん!」
(ありがとう、伊織ちゃん)
それをユニフォームのポケットにしまうと、仙道はホワイトボードに視線を移した。
田岡がドアを開けて入ってくる。
今日の自分のポジションはポイントガード。
奇策と呼ばれる作戦。
それを持って海南に挑む。
試合を思うとわくわくした。
仙道はほどよい緊張感が自分を包むのを感じながら、田岡の話に耳を傾けた。
決勝リーグ最終日。
武里と戦う信長に、伊織は海南ベンチで声援を送っていた。
残り時間もあとわずか。コート上では一年生レギュラーの信長を中心としたチームが戦っていた。
一年生ながらその勢いのあるプレイで先輩レギュラーを引っ張っている信長の姿に、伊織はちょっと誇らしい気持ちになった。
あれがいつも隣りではしゃいでいる信長と同一人物だなんてとても信じられない。
牧、宗一郎、高砂、武藤はすでにベンチに下げられていた。
傍らに立つ宗一郎が、こっそり伊織に耳打ちをしてくる。
「この調子だともう俺たちの出番はなさそうだね。伊織ちゃんにもっとかっこいいところ見せたかったんだけど、残念だな」
「じ、充分見せてもらったから大丈夫ですよ」
「はは、そうかな。――陵南戦の仙道のほうがかっこよかったんじゃない?」
低く、不安を押し殺したような宗一郎の声。
その響きに驚いて伊織が顔をあげると、宗一郎が伊織の視線を避けるようにコートに視線を戻した。
「宗先輩」
「ほら伊織ちゃん。試合に集中して。もうすぐ終わるよ」
「あ、はい……」
それ以上なにも言う事を許さない宗一郎の横顔に戸惑いを感じながら、伊織もコートに視線を移した。
残り時間を示す数字が10秒を切った。
9……8……7……。
息の詰まるような武里の最後の猛攻を必死で防ぐ信長たち。
相手のエース選手のドリブルを信長がカットしたそのとき、耳をつんざくような甲高いブザーが会場に鳴り響いた。
海南98対武里51。海南大附属高校が17年連続県大会優勝を決めた瞬間だった。
引き続き行われる第二試合、陵南対湘北戦を観戦するために、伊織たちは二階席へと移動を開始した。
伊織はその一番後ろ、ひとり少し遅れてみんなのあとに続いた。
先日の陵南戦。結果は海南の勝利だった。試合終了後の仙道の顔が伊織の脳裏によみがえる。
悔しそうに唇を噛み締めた仙道の横顔が忘れられない。
陵南にとって、次の一戦が全国出場を決める大事な試合だった。
あれだけ拒絶された後だ。直接がんばってと伝えることはできないけれど……だけど。
伊織はぐっと体の前で手を祈るように組んだ。
どうか、神さま。どうかお願いします。
(彰さんを勝たせてください……!)
そのとき。
「伊織ちゃん!」