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「その子、甘い考えでお前のことキープしようとか思ってんじゃねえのか? 相当な悪女なんだよ」
「違うよ」
仙道はきっぱりと言い放つ。
「越野、伊織ちゃんはそういう子じゃない。多分、あの子は今のオレの状態にすごく責任を感じてるんだ。……ほんとうはね、越野。伊織ちゃんは今は神が好きなんだ」
「――は!? そうなのか!?」
越野が素っ頓狂な声をあげた。
今度は仙道が顔を俯かせる。仙道の喉から渇いた笑いが漏れる。
「はは、そうなの。神はもう伊織ちゃんに告白してて、ほんとうならあの二人は今頃付き合って幸せいっぱいなはずなの」
越野は黙って仙道を見つめた。
顔は笑っているけれど、その笑顔がどこか痛々しい。
「だけど、伊織ちゃんは神と付き合ってない。それどころか神のことフろうとしたらしいよ。オレがいるから。神がねばって返事保留にしてもらってるみたいだけどさ。別に、オレのことなんか気にしないで付き合っていいのにね。神のことが、すごくすごく好きなくせして、なのに、そんなときまでオレのこと……」
仙道がタオルを握り締めた。
その腕が小さく震えている。
「仙道……」
「伊織ちゃん、オレのこと自分のせいだって思ってるみたいだけど、本当は全部オレがいけないんだ。あのとき会いに行くことができなかったオレの弱さが、今の事態を招いてる。伊織ちゃんはあの時すごく苦しんでて、まわりなんか見えなくて当然なのに、なのに伊織ちゃんはあの時オレに会いに行かなかった自分のほうが悪かったって悔やんでるのが伝わってくるんだ。オレが根性なしだっただけなのに。……そんなオレに、彼女は逃げないで向き合ってくれてる。今度はオレもちゃんと終わりにできるように。悔いが残らないように。……神のことがすごく好きなのに、それでもオレのこと考えてくれてるんだ。――だから越野」
仙道は視線をあげて越野を見据える。
瞳を細めて儚げに微笑んだ。
「そんな伊織ちゃんのこと悪く言わないでよ。お願い」
「……お前、ほんとうにその子のことが好きなんだな」
「うん。でもさ、自分の感情がうまく整理できないんだ。そういう風に思ってとても大事に思うのに、急に無性に壊したくなる。伊織ちゃんのことめちゃめちゃにして、オレだけのものだって刻みつけて、どこかに閉じ込めておきたくなるんだ。誰にも見せないように。誰にもとられないように」
「重症だな。犯罪だからマジでそれはするなよ」
「うん、気をつける。だから助けてよ、越野」
眉尻を下げて笑いながら仙道が言う。
「本人に言えよ。最近は会いに行ってないようだけど……いいのか?」
「こんな不安定な状態で会えないだろ? 全国出場決めたらね。伊織ちゃんに全国決まったら話を聞いてもらう約束してるから。それまではおあずけ」
「……なるほど。だからあんなにマジメに練習してんのか」
越野のその言葉に仙道はにっこり笑った。
「そうだよ。だから越野。オレについてこれないようなら容赦なく置いてくから」
「お前なあ! バスケはチームプレイだろ!」
「はは、でもそのつもりの覚悟で頼むよ」
「わかったよ」
越野に頭を小突かれながら、仙道はまなざしを強くした。
インターハイの切符。
その瞬間まで、もう時間がなかった。
「違うよ」
仙道はきっぱりと言い放つ。
「越野、伊織ちゃんはそういう子じゃない。多分、あの子は今のオレの状態にすごく責任を感じてるんだ。……ほんとうはね、越野。伊織ちゃんは今は神が好きなんだ」
「――は!? そうなのか!?」
越野が素っ頓狂な声をあげた。
今度は仙道が顔を俯かせる。仙道の喉から渇いた笑いが漏れる。
「はは、そうなの。神はもう伊織ちゃんに告白してて、ほんとうならあの二人は今頃付き合って幸せいっぱいなはずなの」
越野は黙って仙道を見つめた。
顔は笑っているけれど、その笑顔がどこか痛々しい。
「だけど、伊織ちゃんは神と付き合ってない。それどころか神のことフろうとしたらしいよ。オレがいるから。神がねばって返事保留にしてもらってるみたいだけどさ。別に、オレのことなんか気にしないで付き合っていいのにね。神のことが、すごくすごく好きなくせして、なのに、そんなときまでオレのこと……」
仙道がタオルを握り締めた。
その腕が小さく震えている。
「仙道……」
「伊織ちゃん、オレのこと自分のせいだって思ってるみたいだけど、本当は全部オレがいけないんだ。あのとき会いに行くことができなかったオレの弱さが、今の事態を招いてる。伊織ちゃんはあの時すごく苦しんでて、まわりなんか見えなくて当然なのに、なのに伊織ちゃんはあの時オレに会いに行かなかった自分のほうが悪かったって悔やんでるのが伝わってくるんだ。オレが根性なしだっただけなのに。……そんなオレに、彼女は逃げないで向き合ってくれてる。今度はオレもちゃんと終わりにできるように。悔いが残らないように。……神のことがすごく好きなのに、それでもオレのこと考えてくれてるんだ。――だから越野」
仙道は視線をあげて越野を見据える。
瞳を細めて儚げに微笑んだ。
「そんな伊織ちゃんのこと悪く言わないでよ。お願い」
「……お前、ほんとうにその子のことが好きなんだな」
「うん。でもさ、自分の感情がうまく整理できないんだ。そういう風に思ってとても大事に思うのに、急に無性に壊したくなる。伊織ちゃんのことめちゃめちゃにして、オレだけのものだって刻みつけて、どこかに閉じ込めておきたくなるんだ。誰にも見せないように。誰にもとられないように」
「重症だな。犯罪だからマジでそれはするなよ」
「うん、気をつける。だから助けてよ、越野」
眉尻を下げて笑いながら仙道が言う。
「本人に言えよ。最近は会いに行ってないようだけど……いいのか?」
「こんな不安定な状態で会えないだろ? 全国出場決めたらね。伊織ちゃんに全国決まったら話を聞いてもらう約束してるから。それまではおあずけ」
「……なるほど。だからあんなにマジメに練習してんのか」
越野のその言葉に仙道はにっこり笑った。
「そうだよ。だから越野。オレについてこれないようなら容赦なく置いてくから」
「お前なあ! バスケはチームプレイだろ!」
「はは、でもそのつもりの覚悟で頼むよ」
「わかったよ」
越野に頭を小突かれながら、仙道はまなざしを強くした。
インターハイの切符。
その瞬間まで、もう時間がなかった。