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伊織は宗一郎の腕の中、驚いて瞳を瞬かせた。
「そう、せんぱい……?」
「伊織ちゃん、大丈夫? 他には変なことされなかった? そこにつけられただけ? 大丈夫?」
「あ、とは……おでことほっぺにキス……されて」
「うん」
「それで、首筋のとこに痕、つけられて」
「うん」
「唇にキス、されそうになったけど、その前に彰さん、正気を取り戻してくれて、それで、おしまい、です……」
「そっか」
ぎゅっと宗一郎の腕の力が強まる。
「怖かったよね」
宗一郎の言葉が、優しく伊織の鼓膜を撫でていく。
「ごめんね、守ってあげられなくて。こんなことなら伊織ちゃんをひとりで行かせるんじゃなかった……!」
「そう、せんぱい!」
伊織の瞳から涙が溢れた。
どうして宗一郎はこんなに優しいんだろう。
たったいま、自分は宗一郎を傷つけたばかりなのに。
付き合えないって、そう言って、宗一郎をひどく傷つけたばかりなのに。
それなのに、そんな自分のことを心配してくれるなんて。
伊織は宗一郎の腕から離れると、涙が流れる顔を両手で覆った。
どうしようもない。
どうしようもなく、宗一郎のことが愛しかった。
「宗先輩、好きです」
もう気持ちを止めることができない。
伊織の口から、勝手に想いが溢れ出す。
理性なんかきかない。
止まらない。
こんなにも好きで好きで、どうしようもない。
「宗先輩、好き……! ほんとうは、早く彰さんと決着つけて、宗先輩に好きですって言いたかった。いっつも支えてくれて、そばで守ってくれて、宗先輩が大好きだって……!」
「……伊織ちゃん」
「でも、わたし約束しちゃったんです、彰さんに。彰さんがインターハイに出場できたら話を聞くって。それまでは誰とも付き合わないって、約束したんです。だから、宗先輩とは付き合えない……! そんな、何ヶ月も宗先輩のこと縛りたくない! だから、だから、宗先輩はどうか……」
「それは、ちょうどよかった」
「え?」
悪戯っぽく笑って言う宗一郎に、伊織はきょとんと目を丸くした。
なにがちょうどいいのかわからなくて、伊織は首を傾げる。
「俺も、実は今日まりあに告白されたんだ。……まりあが俺のことそんな風に思ってるなんて全然気付かなくて、すごくびっくりしたし、自分の鈍感さに呆れもしたけど……。それで、俺もまりあに約束したんだ」
「約束?」
「そう。俺が伊織ちゃんとのことで決着着くまで、まりあを振らないこと。それまでの間、まりあをひとりの女の子として見るってこと。約束したんだ。……だから、今ここで伊織ちゃんが俺を振ったら、俺もまりあを振らなくちゃいけなくなっちゃうよ」
「そ、それってずるい……!」
「うん。だから、伊織ちゃんはこれで俺を振れないよね」
「え、えええ~!?」
伊織はがっくりと地面に手をついた。
この展開に、なんだか強い既視感を覚える。
ああそうか。
伊織は一人で納得する。
宗一郎は、結構ずるい。
こういうときは特に、わざとずるい手を使って相手を断らせないように追い込むクセがあるんだ。
地面に両手をついて、伊織がぶつぶつ言っていると、ふいに体を起こされた。
宗一郎の綺麗な黒曜石の瞳と、伊織の瞳との視線が重なる。
「そう、せんぱい……?」
「伊織ちゃん、大丈夫? 他には変なことされなかった? そこにつけられただけ? 大丈夫?」
「あ、とは……おでことほっぺにキス……されて」
「うん」
「それで、首筋のとこに痕、つけられて」
「うん」
「唇にキス、されそうになったけど、その前に彰さん、正気を取り戻してくれて、それで、おしまい、です……」
「そっか」
ぎゅっと宗一郎の腕の力が強まる。
「怖かったよね」
宗一郎の言葉が、優しく伊織の鼓膜を撫でていく。
「ごめんね、守ってあげられなくて。こんなことなら伊織ちゃんをひとりで行かせるんじゃなかった……!」
「そう、せんぱい!」
伊織の瞳から涙が溢れた。
どうして宗一郎はこんなに優しいんだろう。
たったいま、自分は宗一郎を傷つけたばかりなのに。
付き合えないって、そう言って、宗一郎をひどく傷つけたばかりなのに。
それなのに、そんな自分のことを心配してくれるなんて。
伊織は宗一郎の腕から離れると、涙が流れる顔を両手で覆った。
どうしようもない。
どうしようもなく、宗一郎のことが愛しかった。
「宗先輩、好きです」
もう気持ちを止めることができない。
伊織の口から、勝手に想いが溢れ出す。
理性なんかきかない。
止まらない。
こんなにも好きで好きで、どうしようもない。
「宗先輩、好き……! ほんとうは、早く彰さんと決着つけて、宗先輩に好きですって言いたかった。いっつも支えてくれて、そばで守ってくれて、宗先輩が大好きだって……!」
「……伊織ちゃん」
「でも、わたし約束しちゃったんです、彰さんに。彰さんがインターハイに出場できたら話を聞くって。それまでは誰とも付き合わないって、約束したんです。だから、宗先輩とは付き合えない……! そんな、何ヶ月も宗先輩のこと縛りたくない! だから、だから、宗先輩はどうか……」
「それは、ちょうどよかった」
「え?」
悪戯っぽく笑って言う宗一郎に、伊織はきょとんと目を丸くした。
なにがちょうどいいのかわからなくて、伊織は首を傾げる。
「俺も、実は今日まりあに告白されたんだ。……まりあが俺のことそんな風に思ってるなんて全然気付かなくて、すごくびっくりしたし、自分の鈍感さに呆れもしたけど……。それで、俺もまりあに約束したんだ」
「約束?」
「そう。俺が伊織ちゃんとのことで決着着くまで、まりあを振らないこと。それまでの間、まりあをひとりの女の子として見るってこと。約束したんだ。……だから、今ここで伊織ちゃんが俺を振ったら、俺もまりあを振らなくちゃいけなくなっちゃうよ」
「そ、それってずるい……!」
「うん。だから、伊織ちゃんはこれで俺を振れないよね」
「え、えええ~!?」
伊織はがっくりと地面に手をついた。
この展開に、なんだか強い既視感を覚える。
ああそうか。
伊織は一人で納得する。
宗一郎は、結構ずるい。
こういうときは特に、わざとずるい手を使って相手を断らせないように追い込むクセがあるんだ。
地面に両手をついて、伊織がぶつぶつ言っていると、ふいに体を起こされた。
宗一郎の綺麗な黒曜石の瞳と、伊織の瞳との視線が重なる。