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時計を見るとまだ8時半をすぎたところで、だから大丈夫だと思った。
胸が詰まって仕方なかった。
伊織の顔が見たかった。
目を閉じて伊織は覚悟を決めた。
体が震える。
そのときが来るのを全身が拒絶しているけれど、もう逃れられなかった。
きつくきつく目を閉じる。
夢ならいいのに。
強く願う。
そうして、数瞬が過ぎる。
いつまでたっても、覚悟した感触は唇に触れなかった。
(あきらさん……?)
伊織は恐る恐る目を開けた。
仙道が愕然と両目を見開いていた。
「あきらさん……?」
伊織が震える声で呼びかけると、仙道がハッと肩を震わせた。
怯えたように伊織を見る。
「伊織ちゃん……。オレ……オレ……っ!」
そこまで言って仙道は両手で顔を覆ってうずくまった。
大きな仙道の体が小さく見える。
背中が震えている。
「彰さん!」
伊織は仙道の背中に取り縋った。
いつもの仙道だった。
間違いない。
これは伊織の知っている仙道だった。
「彰さん、大丈夫。わたしは大丈夫ですから」
言いながら伊織は仙道の背中をなでた。
仙道の背中が小さく震えていた。
「ごめん、伊織ちゃん。ごめん……!」
震えてくぐもった声が背中から聞こえる。
仙道がふいに体を起こして伊織を抱きしめた。
伊織を包むぬくもりも空気も、今までの仙道に戻っていた。
だけど今は、その声が、体が、今さっき自分がしたことへの後悔に震えている。
伊織は安心させるように自分の腕を仙道のからだにまわした。
「大丈夫です。わたしは大丈夫です。だから、そんなに自分を責めないで、彰さん……」
「伊織ちゃん、ごめん……! ほんとうにごめん!」
「彰さん……」
「どうしたらいいかわからないんだ……! 伊織ちゃんが好きで、好きで、どうしようもなくて。失うのが怖い。失えない! キミが、またオレの手からいなくなっちゃうなんて考えたくないんだ。まだ神のものにはならないで、お願いだ伊織ちゃん……!」
伊織を抱きしめる仙道の腕に力がこもる。
「諦めようとしたんだ。神と会って伊織ちゃんが元気になったって知って。オレはほんとうに伊織ちゃんに必要なくなったんだってわかって。だから諦めようとしたんだ……。けど、できなかった! 好きなんだ伊織ちゃん。どうしたら、どうしたら……!」
「彰さん……!」
仙道の体が大きく震える。
仙道が泣いているような気がして、伊織の胸が千切れそうなほど痛んだ。
胸が詰まって仕方なかった。
伊織の顔が見たかった。
目を閉じて伊織は覚悟を決めた。
体が震える。
そのときが来るのを全身が拒絶しているけれど、もう逃れられなかった。
きつくきつく目を閉じる。
夢ならいいのに。
強く願う。
そうして、数瞬が過ぎる。
いつまでたっても、覚悟した感触は唇に触れなかった。
(あきらさん……?)
伊織は恐る恐る目を開けた。
仙道が愕然と両目を見開いていた。
「あきらさん……?」
伊織が震える声で呼びかけると、仙道がハッと肩を震わせた。
怯えたように伊織を見る。
「伊織ちゃん……。オレ……オレ……っ!」
そこまで言って仙道は両手で顔を覆ってうずくまった。
大きな仙道の体が小さく見える。
背中が震えている。
「彰さん!」
伊織は仙道の背中に取り縋った。
いつもの仙道だった。
間違いない。
これは伊織の知っている仙道だった。
「彰さん、大丈夫。わたしは大丈夫ですから」
言いながら伊織は仙道の背中をなでた。
仙道の背中が小さく震えていた。
「ごめん、伊織ちゃん。ごめん……!」
震えてくぐもった声が背中から聞こえる。
仙道がふいに体を起こして伊織を抱きしめた。
伊織を包むぬくもりも空気も、今までの仙道に戻っていた。
だけど今は、その声が、体が、今さっき自分がしたことへの後悔に震えている。
伊織は安心させるように自分の腕を仙道のからだにまわした。
「大丈夫です。わたしは大丈夫です。だから、そんなに自分を責めないで、彰さん……」
「伊織ちゃん、ごめん……! ほんとうにごめん!」
「彰さん……」
「どうしたらいいかわからないんだ……! 伊織ちゃんが好きで、好きで、どうしようもなくて。失うのが怖い。失えない! キミが、またオレの手からいなくなっちゃうなんて考えたくないんだ。まだ神のものにはならないで、お願いだ伊織ちゃん……!」
伊織を抱きしめる仙道の腕に力がこもる。
「諦めようとしたんだ。神と会って伊織ちゃんが元気になったって知って。オレはほんとうに伊織ちゃんに必要なくなったんだってわかって。だから諦めようとしたんだ……。けど、できなかった! 好きなんだ伊織ちゃん。どうしたら、どうしたら……!」
「彰さん……!」
仙道の体が大きく震える。
仙道が泣いているような気がして、伊織の胸が千切れそうなほど痛んだ。