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その気持ちは、今更どうあがいたところで覆すことなんて出来ない。
それに、自分にはもう他に大切な女の子がいる。
妹としてではなくて、女の子として大切に想う、ただひとりの女の子がいる。
(伊織ちゃん……!)
まりあを腕に抱きながら、宗一郎は伊織のことを想った。
そしてそのとき唐突に理解した。
自分も伊織に、こんな苦しい思いをさせているのだと、そのとき初めて理解した。
腕の中のまりあ。
大切なまりあ。
どうしてあげるのが一番いいのか、わからない。
どうしたらいいのか。
「お願い宗ちゃん。まだまりあのことフラないで」
か細い声が宗一郎の耳に届く。
宗一郎は気付いたらその言葉に頷いていた。
「うん」
「まりあのこと、一人の女の子として見て」
「……うん」
「そのうえで、それでもやっぱりまりあのことをそういう意味で好きになれないって言うなら、まりあちゃんと諦める。だからもう少しがんばらせて。時間をちょうだい、宗ちゃん。お願い……!」
どうしたらいいのかなんてわからなかった。
まりあをこれ以上傷つけないようにするには、どうしたらいいのかなんて、そんなの全然わからなかった。
だけど、どうしても好きで諦められなくて、それでもがんばりたいという気持ちも自分は知っている。
それは決して楽なことじゃないし、どちらかといえば苦しいだけだけど、それでも宗一郎には痛いほどまりあのその気持ちがわかった。
「うん」
宗一郎は静かに頷いた。
まりあを体から離して、瞳から流れる涙をそっと拭ってやる。
「わかった。俺はまだまりあを振らないし、これから一人の女の子として意識するように努力する」
「宗ちゃん……!」
まりあの切迫した表情が、だんだんとほころんでいく。
「ありがとう。うれしい。まりあ、がんばる」
「……うん」
複雑な思いで宗一郎は微笑んだ。
まりあもそれに微笑み返す。
「宗ちゃん、わたし、ここから一人で帰るね」
「まりあ? もう暗いし危ないよ」
「大丈夫。家はもうすぐ近くだし、ここから先の道は人通りも多い。だから平気よ」
「だけど」
言い募る宗一郎に、まりあは小さく首を振って見せた。
その大人びた表情に、宗一郎は驚いて言葉を止める。
「大丈夫、宗ちゃん。今は逆に、一人になりたいの。――明日、朝会ったら、まりあのことちゃんと一人の女の子として見てね? まりあ、伊織ちゃんなんかに負けないんだから。宗ちゃんだって、まりあのこと一人の女の子として見たらびっくりするよ。まりあはすごくかわいくて魅力的なんだから! だから宗ちゃん。覚悟しててね?」
まりあは一息にそれだけいうと、身を翻して駆けて行った。
宗一郎は呆然とその背中を見送る。
心臓が軋んで痛い。
胸が悲鳴を上げる。
無性に伊織の顔が見たくなった。
宗一郎は自転車に跨った。
今来た道を、急いで戻る。
なんとなく、伊織はあの公園にいるような気がした。
確証なんてなかったけど、宗一郎は公園へと急ぐ。
いなかったら家を訪ねればいい。
それに、自分にはもう他に大切な女の子がいる。
妹としてではなくて、女の子として大切に想う、ただひとりの女の子がいる。
(伊織ちゃん……!)
まりあを腕に抱きながら、宗一郎は伊織のことを想った。
そしてそのとき唐突に理解した。
自分も伊織に、こんな苦しい思いをさせているのだと、そのとき初めて理解した。
腕の中のまりあ。
大切なまりあ。
どうしてあげるのが一番いいのか、わからない。
どうしたらいいのか。
「お願い宗ちゃん。まだまりあのことフラないで」
か細い声が宗一郎の耳に届く。
宗一郎は気付いたらその言葉に頷いていた。
「うん」
「まりあのこと、一人の女の子として見て」
「……うん」
「そのうえで、それでもやっぱりまりあのことをそういう意味で好きになれないって言うなら、まりあちゃんと諦める。だからもう少しがんばらせて。時間をちょうだい、宗ちゃん。お願い……!」
どうしたらいいのかなんてわからなかった。
まりあをこれ以上傷つけないようにするには、どうしたらいいのかなんて、そんなの全然わからなかった。
だけど、どうしても好きで諦められなくて、それでもがんばりたいという気持ちも自分は知っている。
それは決して楽なことじゃないし、どちらかといえば苦しいだけだけど、それでも宗一郎には痛いほどまりあのその気持ちがわかった。
「うん」
宗一郎は静かに頷いた。
まりあを体から離して、瞳から流れる涙をそっと拭ってやる。
「わかった。俺はまだまりあを振らないし、これから一人の女の子として意識するように努力する」
「宗ちゃん……!」
まりあの切迫した表情が、だんだんとほころんでいく。
「ありがとう。うれしい。まりあ、がんばる」
「……うん」
複雑な思いで宗一郎は微笑んだ。
まりあもそれに微笑み返す。
「宗ちゃん、わたし、ここから一人で帰るね」
「まりあ? もう暗いし危ないよ」
「大丈夫。家はもうすぐ近くだし、ここから先の道は人通りも多い。だから平気よ」
「だけど」
言い募る宗一郎に、まりあは小さく首を振って見せた。
その大人びた表情に、宗一郎は驚いて言葉を止める。
「大丈夫、宗ちゃん。今は逆に、一人になりたいの。――明日、朝会ったら、まりあのことちゃんと一人の女の子として見てね? まりあ、伊織ちゃんなんかに負けないんだから。宗ちゃんだって、まりあのこと一人の女の子として見たらびっくりするよ。まりあはすごくかわいくて魅力的なんだから! だから宗ちゃん。覚悟しててね?」
まりあは一息にそれだけいうと、身を翻して駆けて行った。
宗一郎は呆然とその背中を見送る。
心臓が軋んで痛い。
胸が悲鳴を上げる。
無性に伊織の顔が見たくなった。
宗一郎は自転車に跨った。
今来た道を、急いで戻る。
なんとなく、伊織はあの公園にいるような気がした。
確証なんてなかったけど、宗一郎は公園へと急ぐ。
いなかったら家を訪ねればいい。