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信じられなかった。
まりあは大切な女の子で。自分が守らなきゃいけない存在で。
自分がまりあを妹のように大切に思っているのと同じように、まりあも自分を兄のように慕っているのだとばかり思っていた。
そんなまりあが、自分を好き……?
「まりあ……」
定まらない思考で、震える声でまりあの名前を呼ぶ。
驚きが去っていかない。
宗一郎の体のなかで留まって、内側を喰らい尽くそうとでもするかのように暴れまわっている。
まりあは大きく見開かれた宗一郎の瞳を、覗き込むように見つめた。
「まりあ知ってる。宗ちゃんは伊織ちゃんが好きなんでしょう?」
「!」
「だけどまりあは諦めない。ねえ、宗ちゃん。まりあは今までずっと宗ちゃんのこと好きだったんだよ。小さな頃からずっとずっと宗ちゃんだけ見てきた。いつか宗ちゃんのお嫁さんになれる日を夢見て、それだけを考えて今まで生きてきたの」
まりあの言葉が切実な響きを持って告げられる。
まりあの瞳から涙が溢れ出す。
宗一郎はそれを胸が塞がるような思いで見つめた。
傷ついたりしないように、大切に大切に守ってきた女の子。
その子がいま、自分のせいで泣いている。
思うととてもやるせなかった。
「お願い宗ちゃん。まりあを妹じゃなくて、一人の女の子として見て! まりあのことを真剣に考えて! まりあも宗ちゃんにそう見てもらえるように頑張るから……っ! お願い……っ!」
「まりあ……!」
宗一郎はまりあをきつく抱きしめ返した。
他にこの小さな大切な女の子をどうしていいかわからなかった。
どうして気付かなかったんだろう。
ずっとそばにいたのに。あんなに一緒にいたのに。
どうしてこんなひたむきな思いに、自分は気付かないでいられたんだろう。
宗一郎は自分の鈍感さに激しい怒りを感じた。
まりあをきつく抱きしめる。
「宗ちゃ……っ! くる、し……」
「まりあ、ごめん!」
まりあの折れそうなほど細い肩。
震えるその肩を、宗一郎は自身の手のひらで包み込むように力を込める。
「まりあ、ごめん! ごめん……!」
「や、そ、ちゃん!」
まりあは宗一郎の体を押してその腕から逃れた。
涙の滲む瞳で宗一郎を見つめる。
「ダメだよ、謝らないで。まだわたしはフラれてなんてあげない。……まりあ知ってるの。宗ちゃんだってがんばってるんでしょう? 伊織ちゃんに振り向いてもらえるようにがんばってるんでしょう? だから、まりあにもがんばらせて。お願い。宗ちゃんが伊織ちゃんを諦められないのと同じように、まりあも宗ちゃんを諦められない。だからお願い、宗ちゃん。まりあにがんばるチャンスをちょうだい。今ここでフラないで。まりあのことをちゃんと女の子として見て。それでもダメだったら、まりあも諦められる。だからお願い。宗ちゃんお願い。ここでわたしの想いを終わりにしないで! ちゃんと真剣に考えて! お願い!」
「まりあ……!」
宗一郎は再びまりあを抱きしめた。
腕の中で震えるちいさなまりあ。
かわいいかわいい、妹のように愛してきたまりあ。
宗一郎のまりあを抱く腕に力がこもる。
今更まりあを一人の女の子として見るなんてことできない。
長い間、ずっと大切に大切に守り続けてきた女の子。
その役目が自分にあると信じて疑わなかった女の子。
だけど、いつかこの子を手放すときが来るということも信じて疑わなかった女の子。
自分はそれまでのナイト役なのだとずっと思って生きて来た。
自分に大切なひとが出来ても、まりあに大切なひとが出来なければナイト役は続けるつもりだった。
でもまさか、自分に大切なひとの役割がまわってくることなんて、考えてもみなかった。
宗一郎の中で、まりあはいつか手放すことが決まっていた大切な女の子だった。
まりあは大切な女の子で。自分が守らなきゃいけない存在で。
自分がまりあを妹のように大切に思っているのと同じように、まりあも自分を兄のように慕っているのだとばかり思っていた。
そんなまりあが、自分を好き……?
「まりあ……」
定まらない思考で、震える声でまりあの名前を呼ぶ。
驚きが去っていかない。
宗一郎の体のなかで留まって、内側を喰らい尽くそうとでもするかのように暴れまわっている。
まりあは大きく見開かれた宗一郎の瞳を、覗き込むように見つめた。
「まりあ知ってる。宗ちゃんは伊織ちゃんが好きなんでしょう?」
「!」
「だけどまりあは諦めない。ねえ、宗ちゃん。まりあは今までずっと宗ちゃんのこと好きだったんだよ。小さな頃からずっとずっと宗ちゃんだけ見てきた。いつか宗ちゃんのお嫁さんになれる日を夢見て、それだけを考えて今まで生きてきたの」
まりあの言葉が切実な響きを持って告げられる。
まりあの瞳から涙が溢れ出す。
宗一郎はそれを胸が塞がるような思いで見つめた。
傷ついたりしないように、大切に大切に守ってきた女の子。
その子がいま、自分のせいで泣いている。
思うととてもやるせなかった。
「お願い宗ちゃん。まりあを妹じゃなくて、一人の女の子として見て! まりあのことを真剣に考えて! まりあも宗ちゃんにそう見てもらえるように頑張るから……っ! お願い……っ!」
「まりあ……!」
宗一郎はまりあをきつく抱きしめ返した。
他にこの小さな大切な女の子をどうしていいかわからなかった。
どうして気付かなかったんだろう。
ずっとそばにいたのに。あんなに一緒にいたのに。
どうしてこんなひたむきな思いに、自分は気付かないでいられたんだろう。
宗一郎は自分の鈍感さに激しい怒りを感じた。
まりあをきつく抱きしめる。
「宗ちゃ……っ! くる、し……」
「まりあ、ごめん!」
まりあの折れそうなほど細い肩。
震えるその肩を、宗一郎は自身の手のひらで包み込むように力を込める。
「まりあ、ごめん! ごめん……!」
「や、そ、ちゃん!」
まりあは宗一郎の体を押してその腕から逃れた。
涙の滲む瞳で宗一郎を見つめる。
「ダメだよ、謝らないで。まだわたしはフラれてなんてあげない。……まりあ知ってるの。宗ちゃんだってがんばってるんでしょう? 伊織ちゃんに振り向いてもらえるようにがんばってるんでしょう? だから、まりあにもがんばらせて。お願い。宗ちゃんが伊織ちゃんを諦められないのと同じように、まりあも宗ちゃんを諦められない。だからお願い、宗ちゃん。まりあにがんばるチャンスをちょうだい。今ここでフラないで。まりあのことをちゃんと女の子として見て。それでもダメだったら、まりあも諦められる。だからお願い。宗ちゃんお願い。ここでわたしの想いを終わりにしないで! ちゃんと真剣に考えて! お願い!」
「まりあ……!」
宗一郎は再びまりあを抱きしめた。
腕の中で震えるちいさなまりあ。
かわいいかわいい、妹のように愛してきたまりあ。
宗一郎のまりあを抱く腕に力がこもる。
今更まりあを一人の女の子として見るなんてことできない。
長い間、ずっと大切に大切に守り続けてきた女の子。
その役目が自分にあると信じて疑わなかった女の子。
だけど、いつかこの子を手放すときが来るということも信じて疑わなかった女の子。
自分はそれまでのナイト役なのだとずっと思って生きて来た。
自分に大切なひとが出来ても、まりあに大切なひとが出来なければナイト役は続けるつもりだった。
でもまさか、自分に大切なひとの役割がまわってくることなんて、考えてもみなかった。
宗一郎の中で、まりあはいつか手放すことが決まっていた大切な女の子だった。