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夢小説設定
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「……似合わねえとか思ってんだろ?」
唇を小さく尖らせて、すねたようにこぼす信長に、伊織は優しく微笑む。
「そんなことないよ」
「嘘つけ! 神さんの方がまりあちゃんにお似合いだとか思ってんだろ」
「……それはあるかも。でも、ノブが似合わないなんて思ってないし、――正直応援してる」
「……ほんとか?」
「ほんとだよ」
「――そっか。サンキュ」
「うん」
うれしそうに笑う信長に、伊織も笑顔を返す。
「お前は?」
「え?」
「お前は、神さんのことどうなんだよ?」
「えっ!?」
まさかそう切り返されるとは思っていなかった。
伊織はぶんぶんと大きく両手を顔の前で振ると、否定した。
「やだな、違うよ! そりゃ、素敵だなぁとは思ったけど、ただの憧れだし。――うん、好きとかそういうんじゃないよ」
「ふうん。あやしいな」
「ほんとだってば!」
ばしんと勢いよく信長の背中を叩くと、信長が軽く前につんのめった。
「うおっ!? いてえな、お前力強くないか!?」
「ふふん。中学時代鍛えてたからね」
ぐっと腕に力を入れてできたちからこぶを信長に誇らしげに見せると、信長が感動したような声をあげる。
「おお、すげえ! やっぱり伊織は女じゃなかった!」
「ちょっと、失礼だなっ!」
はははと笑う信長を見ながらも、伊織はさっきの自分の答えが頭の中をぐるぐるとまわり続けていた。
(うん、違う。好きとかじゃない。ただの……ただの憧れだから)
まだ引き返せる。
伊織は自分に言い聞かせるようにそう何度も心の中で繰り返す。
この気持ちは、ただの憧れ。
ふと視線を上げると、家の目の前まで来ていた。
白い壁の、二階建ての一軒屋。わりと新しい家なので、現代的な造りになっている。
「あ、ノブ。私の家そこ」
指で指し示すと、信長がへえとつぶやいた。
「おまえんち、けっこうでかいな。お前の部屋は二階?」
「うん、そう。あそこに見えてる、道路に面してる窓がわたしの部屋だよ」
「へええ。ベランダもあるんだ? いい部屋じゃん」
「でしょ? じゃあ、ノブ。送ってくれてありがと! ここから駅まで帰れる?」
「当たり前だろ!」
信長はにかっと笑うと片腕を上げた。
「じゃあな、伊織! 明日6時半に駅な! よろしく頼むな~っ!」
「うん! 気をつけてね、ノブ!」
歩き出す信長の背に向けて手を振って、それが見えなくなると伊織は空を見上げた。
月が蒼く光ってとてもきれいだ。
――大丈夫。まだ引き返せる。神先輩は、ただの先輩だから……。
もう一度、心の中でそうつぶやくと、伊織は玄関に手をかけた。
To be continued…
唇を小さく尖らせて、すねたようにこぼす信長に、伊織は優しく微笑む。
「そんなことないよ」
「嘘つけ! 神さんの方がまりあちゃんにお似合いだとか思ってんだろ」
「……それはあるかも。でも、ノブが似合わないなんて思ってないし、――正直応援してる」
「……ほんとか?」
「ほんとだよ」
「――そっか。サンキュ」
「うん」
うれしそうに笑う信長に、伊織も笑顔を返す。
「お前は?」
「え?」
「お前は、神さんのことどうなんだよ?」
「えっ!?」
まさかそう切り返されるとは思っていなかった。
伊織はぶんぶんと大きく両手を顔の前で振ると、否定した。
「やだな、違うよ! そりゃ、素敵だなぁとは思ったけど、ただの憧れだし。――うん、好きとかそういうんじゃないよ」
「ふうん。あやしいな」
「ほんとだってば!」
ばしんと勢いよく信長の背中を叩くと、信長が軽く前につんのめった。
「うおっ!? いてえな、お前力強くないか!?」
「ふふん。中学時代鍛えてたからね」
ぐっと腕に力を入れてできたちからこぶを信長に誇らしげに見せると、信長が感動したような声をあげる。
「おお、すげえ! やっぱり伊織は女じゃなかった!」
「ちょっと、失礼だなっ!」
はははと笑う信長を見ながらも、伊織はさっきの自分の答えが頭の中をぐるぐるとまわり続けていた。
(うん、違う。好きとかじゃない。ただの……ただの憧れだから)
まだ引き返せる。
伊織は自分に言い聞かせるようにそう何度も心の中で繰り返す。
この気持ちは、ただの憧れ。
ふと視線を上げると、家の目の前まで来ていた。
白い壁の、二階建ての一軒屋。わりと新しい家なので、現代的な造りになっている。
「あ、ノブ。私の家そこ」
指で指し示すと、信長がへえとつぶやいた。
「おまえんち、けっこうでかいな。お前の部屋は二階?」
「うん、そう。あそこに見えてる、道路に面してる窓がわたしの部屋だよ」
「へええ。ベランダもあるんだ? いい部屋じゃん」
「でしょ? じゃあ、ノブ。送ってくれてありがと! ここから駅まで帰れる?」
「当たり前だろ!」
信長はにかっと笑うと片腕を上げた。
「じゃあな、伊織! 明日6時半に駅な! よろしく頼むな~っ!」
「うん! 気をつけてね、ノブ!」
歩き出す信長の背に向けて手を振って、それが見えなくなると伊織は空を見上げた。
月が蒼く光ってとてもきれいだ。
――大丈夫。まだ引き返せる。神先輩は、ただの先輩だから……。
もう一度、心の中でそうつぶやくと、伊織は玄関に手をかけた。
To be continued…