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夢小説設定
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全身を巡る血が沸騰したみたいに体中が熱い。
耳元でどくどくと高鳴る心臓の音が聞こえる。
伊織は真っ赤な顔を隠すように手の平で押さえた。
「そ、そういうことさらっと言うのやめてください~。宗先輩は恥ずかしくないんですか?」
「伊織ちゃんを好きだって思う気持ちが恥ずかしいなんて、俺は一度も思ったことないよ」
「!」
「今だってその髪に触れたいし、頬に触れたいし、許されるなら抱きしめたいって思ってる。伊織ちゃんの声をいつまでも聞いていたいし、伊織ちゃんの体温をいつでも感じてたいと思ってるよ」
「そ、宗先輩!」
心臓が壊れてしまいそうだ。
これ以上は耐えられないと感じて、伊織は少し強めに宗一郎の名前を呼んだ。
宗一郎がいたずらっぽく眉尻を下げて微笑む。
その笑顔に隠された儚さに気付いて、伊織はハッと息を呑んだ。
「宗先輩……?」
「ごめん、伊織ちゃん。俺いまちょっと焦ってるんだ」
「え?」
「今日、伊織ちゃん仙道と一緒に帰るんだよね?」
「あ、はい」
宗一郎がどこか寂しそうに口の端を持ち上げて、淡々と言った。
「この二週間、俺はまりあを気にしてばっかりで、その間伊織ちゃんと仙道の間になにがあったのか全然知らない。それどころか俺は伊織ちゃんになんのアプローチも出来ていない。状況は全然好転していないのに、伊織ちゃんは仙道と帰る。今日が、もしかしたら最後になるかもしれないと思って」
「最後……?」
「伊織ちゃん、仙道に告白するの?」
「えっ!?」
伊織は驚いて表情を止めた。
慌てて否定をしようとしたところで、体育館から宗一郎を呼ぶ声が聞こえた。
宗一郎はそれに返事を返すと、伊織にじゃあ戻るねと言って身を翻した。
「あ、宗先輩!」
伊織は慌てて去っていく宗一郎に駆け寄ると、ジャージの裾を掴んだ。
このまま帰らせてはいけないとなぜだが強く思った。
宗一郎のジャージを握る手に力を込める。
宗一郎が驚いたように首をめぐらせて伊織を見た。
「伊織ちゃん?」
「あの、宗先輩っ、ちがいます……っ、わたし、わたし……っ!」
その先をどうしても続けることができなくて、伊織は唇を噛み締めた。
好きだって言いたい。
付き合うことはまだできないけど、それでも宗一郎を安心させてあげたい。
こんな、不安を押し隠すように笑って欲しくなんかない。
(だけど……っ)
胸にまりあと仙道の顔がよぎる。
卑怯じゃないのか?
どこかで誰かが囁く。
それはただ単に宗一郎を縛りたいだけで、お前のエゴじゃないのか。
でも、だけど。
(宗先輩に悲しい顔をさせるよりは、自分が罵られるほうが何倍もいい……っ!)
決意を固めて伊織が自分の気持ちを告げようとしたそのときだった。
伊織の頭を宗一郎の手がふわりと優しく撫でた。
顔をあげると、宗一郎が優しく微笑みかけてくれる。
「伊織ちゃん、俺のことは気にしないでいいよ。変なこと言って困らせてごめんね。……牧さんが呼んでるから、もう行かなくちゃ」
宗一郎はそれだけ言うと、伊織の頭をもう一度優しく撫でて、踵を返した。
伊織の手から宗一郎の服がすり抜ける。
伊織はさっきまで自分が掴んでいたものの感触を逃すまいとするように、自分の手をぎゅっと握り締めた。
耳元でどくどくと高鳴る心臓の音が聞こえる。
伊織は真っ赤な顔を隠すように手の平で押さえた。
「そ、そういうことさらっと言うのやめてください~。宗先輩は恥ずかしくないんですか?」
「伊織ちゃんを好きだって思う気持ちが恥ずかしいなんて、俺は一度も思ったことないよ」
「!」
「今だってその髪に触れたいし、頬に触れたいし、許されるなら抱きしめたいって思ってる。伊織ちゃんの声をいつまでも聞いていたいし、伊織ちゃんの体温をいつでも感じてたいと思ってるよ」
「そ、宗先輩!」
心臓が壊れてしまいそうだ。
これ以上は耐えられないと感じて、伊織は少し強めに宗一郎の名前を呼んだ。
宗一郎がいたずらっぽく眉尻を下げて微笑む。
その笑顔に隠された儚さに気付いて、伊織はハッと息を呑んだ。
「宗先輩……?」
「ごめん、伊織ちゃん。俺いまちょっと焦ってるんだ」
「え?」
「今日、伊織ちゃん仙道と一緒に帰るんだよね?」
「あ、はい」
宗一郎がどこか寂しそうに口の端を持ち上げて、淡々と言った。
「この二週間、俺はまりあを気にしてばっかりで、その間伊織ちゃんと仙道の間になにがあったのか全然知らない。それどころか俺は伊織ちゃんになんのアプローチも出来ていない。状況は全然好転していないのに、伊織ちゃんは仙道と帰る。今日が、もしかしたら最後になるかもしれないと思って」
「最後……?」
「伊織ちゃん、仙道に告白するの?」
「えっ!?」
伊織は驚いて表情を止めた。
慌てて否定をしようとしたところで、体育館から宗一郎を呼ぶ声が聞こえた。
宗一郎はそれに返事を返すと、伊織にじゃあ戻るねと言って身を翻した。
「あ、宗先輩!」
伊織は慌てて去っていく宗一郎に駆け寄ると、ジャージの裾を掴んだ。
このまま帰らせてはいけないとなぜだが強く思った。
宗一郎のジャージを握る手に力を込める。
宗一郎が驚いたように首をめぐらせて伊織を見た。
「伊織ちゃん?」
「あの、宗先輩っ、ちがいます……っ、わたし、わたし……っ!」
その先をどうしても続けることができなくて、伊織は唇を噛み締めた。
好きだって言いたい。
付き合うことはまだできないけど、それでも宗一郎を安心させてあげたい。
こんな、不安を押し隠すように笑って欲しくなんかない。
(だけど……っ)
胸にまりあと仙道の顔がよぎる。
卑怯じゃないのか?
どこかで誰かが囁く。
それはただ単に宗一郎を縛りたいだけで、お前のエゴじゃないのか。
でも、だけど。
(宗先輩に悲しい顔をさせるよりは、自分が罵られるほうが何倍もいい……っ!)
決意を固めて伊織が自分の気持ちを告げようとしたそのときだった。
伊織の頭を宗一郎の手がふわりと優しく撫でた。
顔をあげると、宗一郎が優しく微笑みかけてくれる。
「伊織ちゃん、俺のことは気にしないでいいよ。変なこと言って困らせてごめんね。……牧さんが呼んでるから、もう行かなくちゃ」
宗一郎はそれだけ言うと、伊織の頭をもう一度優しく撫でて、踵を返した。
伊織の手から宗一郎の服がすり抜ける。
伊織はさっきまで自分が掴んでいたものの感触を逃すまいとするように、自分の手をぎゅっと握り締めた。