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仙道が温度の感じられない笑顔で笑う。
「伊織ちゃんが元気になった日の翌日かな。オレのとこに来たよ、神」
「宗ちゃんが?」
「そう」
知らなかった。
まりあは小さく目を瞠る。
仙道は淡々と言葉を続ける。
「あの日、オレが伊織ちゃんのところに行くように説得したんだ。まあ、オレもノブナガくんにそうするよう説得されたクチなんだけど。そのお礼と結果報告も兼ねてだったみたい。バカ正直にさ、伊織ちゃんに告白したって。返事はまだ聞いてないって言いに来たよ」
仙道の唇が自嘲するように歪められる。
「挙句、その口で伊織ちゃんは仙道のことが好きだと思うって言いやがった。アイツばかなの? それとも、新手の嫌がらせなのか? 殴らなかったオレを褒めてくれる、まりあちゃん」
「そ……れは気の毒なことを言われましたね……。さすがに同情するかも」
「でしょ? は!? って返したらさ、あいつ、伊織ちゃんは俺が告白してもすぐに仙道のことが頭に浮かんだみたいなんだって言ってさ。だから伊織ちゃんに猶予をもらって、伊織ちゃんの気持ちを自分に向かせることにしたからって言いに来た。負けないって」
ぐしゃっと仙道がポカリの缶を握りつぶした。
まだ中身が残っていたのか、容積の減った缶から液体が飛び出した。
まりあがそれを痛ましげに見つめて、自身も目を伏せる。
「鈍感って罪ですよね。そこに悪がない分、余計タチが悪い」
「はは、まりあちゃんはわかる? オレの気持ち」
「同じ境遇ですから」
「ほんと、鈍感だよね。気付かないのは当事者だけでさ。――さすがに、神のあの言葉には傷ついた。伊織ちゃんが神と会って復活したのとダブルパンチだよな」
仙道が自嘲する。
「でも、一番ツライのはもしかしたらノブナガくんかもな」
仙道が何かを思い出すように遠くを見つめた。
まりあがその視線に首をかしげる。
「仙道さんも知ってるんですか? ノブくんの気持ち」
「あれ、まりあちゃんも? じゃあノブナガくんに謝っといてくれるかな。オレ、あの日結構ひどいこと言っちゃったんだよね。ノブナガくんの気持ちも知らないでさ」
「わかりました、伝えておきますね。……ノブくんはすごいですよね。わたしもいつかノブくんみたいになれるかなあ……」
「あれ? まりあちゃん、神のこと諦めるの?」
「諦めたくなんてないですけどね」
ミルクティの缶にまりあは再び口をつけた。
鼻を抜ける紅茶の甘ったるい香りに、なんだか涙腺が緩みそうになる。
「わたし、今日宗ちゃんに告白しようと思ってるんです」
「へえ。フラれるために?」
「ミルクティまみれにしますよ?」
缶を握り締めてすごむと、仙道が肩をすくめて見せた。
まりあは小さく舌打ちをして話を続ける。
「ちゃんと意識してもらうためです。今はまだただの幼馴染みとしか思われてないから。せめて一人の女の子として意識してもらって、思う存分伊織ちゃんたちを妨害して……ノブくんみたいに少しでも許すことが出来たら、もう一度告白しようかと思って」
「ふうん。いいね」
仙道が優しく微笑んで言う。
「オレも似たようなものかな。今日はそのために来たんだ」
「仙道さんもフラれに来たんですか?」
「その切り返し結構傷つくね。ごめん」
「わかってくれたらいいです」
まりあの返事に、仙道は薄く微笑む。
「伊織ちゃんが元気になった日の翌日かな。オレのとこに来たよ、神」
「宗ちゃんが?」
「そう」
知らなかった。
まりあは小さく目を瞠る。
仙道は淡々と言葉を続ける。
「あの日、オレが伊織ちゃんのところに行くように説得したんだ。まあ、オレもノブナガくんにそうするよう説得されたクチなんだけど。そのお礼と結果報告も兼ねてだったみたい。バカ正直にさ、伊織ちゃんに告白したって。返事はまだ聞いてないって言いに来たよ」
仙道の唇が自嘲するように歪められる。
「挙句、その口で伊織ちゃんは仙道のことが好きだと思うって言いやがった。アイツばかなの? それとも、新手の嫌がらせなのか? 殴らなかったオレを褒めてくれる、まりあちゃん」
「そ……れは気の毒なことを言われましたね……。さすがに同情するかも」
「でしょ? は!? って返したらさ、あいつ、伊織ちゃんは俺が告白してもすぐに仙道のことが頭に浮かんだみたいなんだって言ってさ。だから伊織ちゃんに猶予をもらって、伊織ちゃんの気持ちを自分に向かせることにしたからって言いに来た。負けないって」
ぐしゃっと仙道がポカリの缶を握りつぶした。
まだ中身が残っていたのか、容積の減った缶から液体が飛び出した。
まりあがそれを痛ましげに見つめて、自身も目を伏せる。
「鈍感って罪ですよね。そこに悪がない分、余計タチが悪い」
「はは、まりあちゃんはわかる? オレの気持ち」
「同じ境遇ですから」
「ほんと、鈍感だよね。気付かないのは当事者だけでさ。――さすがに、神のあの言葉には傷ついた。伊織ちゃんが神と会って復活したのとダブルパンチだよな」
仙道が自嘲する。
「でも、一番ツライのはもしかしたらノブナガくんかもな」
仙道が何かを思い出すように遠くを見つめた。
まりあがその視線に首をかしげる。
「仙道さんも知ってるんですか? ノブくんの気持ち」
「あれ、まりあちゃんも? じゃあノブナガくんに謝っといてくれるかな。オレ、あの日結構ひどいこと言っちゃったんだよね。ノブナガくんの気持ちも知らないでさ」
「わかりました、伝えておきますね。……ノブくんはすごいですよね。わたしもいつかノブくんみたいになれるかなあ……」
「あれ? まりあちゃん、神のこと諦めるの?」
「諦めたくなんてないですけどね」
ミルクティの缶にまりあは再び口をつけた。
鼻を抜ける紅茶の甘ったるい香りに、なんだか涙腺が緩みそうになる。
「わたし、今日宗ちゃんに告白しようと思ってるんです」
「へえ。フラれるために?」
「ミルクティまみれにしますよ?」
缶を握り締めてすごむと、仙道が肩をすくめて見せた。
まりあは小さく舌打ちをして話を続ける。
「ちゃんと意識してもらうためです。今はまだただの幼馴染みとしか思われてないから。せめて一人の女の子として意識してもらって、思う存分伊織ちゃんたちを妨害して……ノブくんみたいに少しでも許すことが出来たら、もう一度告白しようかと思って」
「ふうん。いいね」
仙道が優しく微笑んで言う。
「オレも似たようなものかな。今日はそのために来たんだ」
「仙道さんもフラれに来たんですか?」
「その切り返し結構傷つくね。ごめん」
「わかってくれたらいいです」
まりあの返事に、仙道は薄く微笑む。