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「がってん!」
まりあも腕をまくって信長に加勢する。
悲痛な叫び声をあげる伊織に、17組は笑いに包まれた。
午後練習も残りわずかとなった。
地区予選が近づくにつれ、海南の練習はどんどんとハードになっていった。
日々過酷になっていく練習に、春には大勢いた一年生がその半数以下まで減ってしまっている。
さすが王者海南といったところか。
生き残るのは楽ではない。
たとえ練習に耐え忍んだとしても、今度は熾烈なレギュラー争いが待っている。
心が折れたとしても仕方のないことかもしれなかった。
伊織はそんなことを考えながらスコアブックにペンを走らせる。
今日は紅白戦の練習がメインだった。
その中で実践された攻めのパターンを箇条書きに書き出していく。
ぎこちない動きのものは赤ペンで下線を引く。
そのとき、ふいに体育館の鉄扉が開く音がした。
「彰さん!?」
反射的にそちらに顔を向けて、伊織は驚いた。
そこには何度連絡しても返答のなかった仙道の姿があった。
伊織の声に信長やまりあ、宗一郎も仙道の存在に気付いた。
伊織はスコアブックを置くと、伊織にひらひらと手を振って笑顔を向ける仙道に駆け寄った。
「彰さんどうしたんですか急に? 連絡しても全然返事もくれなかったのに」
「はは。さびしかった? 伊織ちゃん」
にこりと余裕の笑みを浮かべる仙道に、伊織は眉を寄せた。
何事もなかったかのような仙道の態度。だけどどこか投げやりな印象を受ける。
なんだろう。いつもと雰囲気が違うような気がする。
「そういうこといってるんじゃありません」
「えー。そろそろ伊織ちゃんがオレ不足かなと思って会いに来たんだけどなあ。1日1通はメールしてくれてたでしょ」
仙道が瞳を細めて伊織をあやしく見つめる。
「会いたいです、彰さんって」
「ちょっと、誤解を生む言い回しはやめてくださいよ。お見舞いに来てくれたお礼がしたいって言っただけじゃないですか」
「はは。なにしてくれるの? オレ、キスがいいなぁ。あ、ちゃんと唇にね?」
「彰さん!」
ふざけたように自分の唇を指し示す仙道に、伊織は肩を怒らせた。
仙道がそれを見て相好を崩した。
ほっぺを膨らませる伊織の頭を、仙道の大きな手が優しく撫でる。
「ははは。ちゃんと伊織ちゃんだね。――よかった、元気になって」
「……だいぶ前から元気ですよ。だから連絡してたのに」
「うん。ちょっとオレも……いろいろ落ち着かなかったから」
煮え切らないように言う仙道に、伊織は小さく首を傾げる。
「もうそれは大丈夫なんですか?」
「うん、大丈夫。だから会いに来たよ、伊織ちゃん」
感情の読めない表情で仙道が口の端を上げる。
伊織はそれをじっと見つめた。
気のせいかもしれないが、仙道の様子がやっぱりいつもと違ってみえる。
どこがどうとはっきり言えないけれど、なんだか違和感があった。
どうしたんだろう。
「彰さん?」
まりあも腕をまくって信長に加勢する。
悲痛な叫び声をあげる伊織に、17組は笑いに包まれた。
午後練習も残りわずかとなった。
地区予選が近づくにつれ、海南の練習はどんどんとハードになっていった。
日々過酷になっていく練習に、春には大勢いた一年生がその半数以下まで減ってしまっている。
さすが王者海南といったところか。
生き残るのは楽ではない。
たとえ練習に耐え忍んだとしても、今度は熾烈なレギュラー争いが待っている。
心が折れたとしても仕方のないことかもしれなかった。
伊織はそんなことを考えながらスコアブックにペンを走らせる。
今日は紅白戦の練習がメインだった。
その中で実践された攻めのパターンを箇条書きに書き出していく。
ぎこちない動きのものは赤ペンで下線を引く。
そのとき、ふいに体育館の鉄扉が開く音がした。
「彰さん!?」
反射的にそちらに顔を向けて、伊織は驚いた。
そこには何度連絡しても返答のなかった仙道の姿があった。
伊織の声に信長やまりあ、宗一郎も仙道の存在に気付いた。
伊織はスコアブックを置くと、伊織にひらひらと手を振って笑顔を向ける仙道に駆け寄った。
「彰さんどうしたんですか急に? 連絡しても全然返事もくれなかったのに」
「はは。さびしかった? 伊織ちゃん」
にこりと余裕の笑みを浮かべる仙道に、伊織は眉を寄せた。
何事もなかったかのような仙道の態度。だけどどこか投げやりな印象を受ける。
なんだろう。いつもと雰囲気が違うような気がする。
「そういうこといってるんじゃありません」
「えー。そろそろ伊織ちゃんがオレ不足かなと思って会いに来たんだけどなあ。1日1通はメールしてくれてたでしょ」
仙道が瞳を細めて伊織をあやしく見つめる。
「会いたいです、彰さんって」
「ちょっと、誤解を生む言い回しはやめてくださいよ。お見舞いに来てくれたお礼がしたいって言っただけじゃないですか」
「はは。なにしてくれるの? オレ、キスがいいなぁ。あ、ちゃんと唇にね?」
「彰さん!」
ふざけたように自分の唇を指し示す仙道に、伊織は肩を怒らせた。
仙道がそれを見て相好を崩した。
ほっぺを膨らませる伊織の頭を、仙道の大きな手が優しく撫でる。
「ははは。ちゃんと伊織ちゃんだね。――よかった、元気になって」
「……だいぶ前から元気ですよ。だから連絡してたのに」
「うん。ちょっとオレも……いろいろ落ち着かなかったから」
煮え切らないように言う仙道に、伊織は小さく首を傾げる。
「もうそれは大丈夫なんですか?」
「うん、大丈夫。だから会いに来たよ、伊織ちゃん」
感情の読めない表情で仙道が口の端を上げる。
伊織はそれをじっと見つめた。
気のせいかもしれないが、仙道の様子がやっぱりいつもと違ってみえる。
どこがどうとはっきり言えないけれど、なんだか違和感があった。
どうしたんだろう。
「彰さん?」