17
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「伊織ちゃん。わたし、宗ちゃんに告白するから」
地区予選も近づいてきたある日。雪原まりあがそんなことを宣言した。
お昼休み。信長とまりあと三人で仲良く教室でお弁当をつついていた伊織は、まりあのその言葉にぽろりと箸を落とした。
「え……え!?」
思わずイスを鳴らして席を立つ。
「えええ!?」
まりあはそんな伊織の様子に目を半分閉じて、不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「なによ、文句ある?」
「え、いや、文句とかじゃなくて……なんで、急に……」
「だってひどいのよ、宗ちゃんたらまりあのことまったく意識してくれないんだもん! 本当は最後の最後まで言うつもりなんてなかったんだけど、気持ちを打ち明けないことにはスタートラインにも立てやしないってはっきりわかったの!」
まりあが息を大きく吐き出す。
「と、いうわけだから! 今日帰りに言うから、邪魔しないでよね二人とも」
「う、うん」
ずいと目の前に人差し指を突きつけながら言うまりあに、伊織は複雑な心境で頷いた。
胸がざわざわと音を立てる。
まりあが告白。
考えただけで不安で落ち着かなくなった。
(ただでさえ、近頃宗先輩と全然話せてないのに……)
まりあと正式にライバル同士となってからすでに二週間。
あれからまりあの妨害があからさまに激しくなった。
伊織が宗一郎に話しかけようとしたり、宗一郎が伊織に話しかけようとすると、決まってまりあが宗一郎をどこかへ連れ出してしまうのだ。
おかげであの日以来、伊織は宗一郎とほとんど会話という会話ができていなかった。
(ど、どうしよう……)
よくある話だ。
近すぎて気付かない一番大事な存在、幼馴染み。
告白されてはじめてお互いを意識して、大切に想う気持ちが実は恋愛感情だったことに気付く。そして二人はハッピーエンド。
伊織もその手のお話をいくつも読んだことがある。
伊織の顔から、サーっと音を立てて血の気が引いていった。
軽くめまいがする。
宗一郎はまりあを妹みたいなものだなんて言ってたけど、それは意識していないからこそ言える言葉であって。
(もし、それをきっかけにまりあちゃんを意識しちゃったら……!)
伊織は目の前が真っ暗になって机に手を着いた。
頬を冷や汗がつたう。
(か、勝てる気がしない……)
伊織は顔をあげて、苦し紛れにまりあに微笑んだ。
「まりあちゃん、告白するなんてやっぱり冗談でしたとか」
「言わないわよ」
「……ですよね」
「宣言してあげるだけ優しいでしょーが! だいたい伊織ちゃん、まりあのライバルのくせに張り合いなさすぎなのよ、なにおとなしく妨害されたままなわけ? まりあに塩でも送ってるつもりなの!?」
「ち、違うよ、そんなんじゃないよ!」
「じゃあなんなのよ」
まりあがずいと伊織の顔を覗き込む。
伊織はそれに気まずくなって顔を背けた。
「だってわたし今すっごい中途半端な状態だし、だから宗先輩と向き合う資格もまりあちゃんと張り合う資格もないっていうか……」
地区予選も近づいてきたある日。雪原まりあがそんなことを宣言した。
お昼休み。信長とまりあと三人で仲良く教室でお弁当をつついていた伊織は、まりあのその言葉にぽろりと箸を落とした。
「え……え!?」
思わずイスを鳴らして席を立つ。
「えええ!?」
まりあはそんな伊織の様子に目を半分閉じて、不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「なによ、文句ある?」
「え、いや、文句とかじゃなくて……なんで、急に……」
「だってひどいのよ、宗ちゃんたらまりあのことまったく意識してくれないんだもん! 本当は最後の最後まで言うつもりなんてなかったんだけど、気持ちを打ち明けないことにはスタートラインにも立てやしないってはっきりわかったの!」
まりあが息を大きく吐き出す。
「と、いうわけだから! 今日帰りに言うから、邪魔しないでよね二人とも」
「う、うん」
ずいと目の前に人差し指を突きつけながら言うまりあに、伊織は複雑な心境で頷いた。
胸がざわざわと音を立てる。
まりあが告白。
考えただけで不安で落ち着かなくなった。
(ただでさえ、近頃宗先輩と全然話せてないのに……)
まりあと正式にライバル同士となってからすでに二週間。
あれからまりあの妨害があからさまに激しくなった。
伊織が宗一郎に話しかけようとしたり、宗一郎が伊織に話しかけようとすると、決まってまりあが宗一郎をどこかへ連れ出してしまうのだ。
おかげであの日以来、伊織は宗一郎とほとんど会話という会話ができていなかった。
(ど、どうしよう……)
よくある話だ。
近すぎて気付かない一番大事な存在、幼馴染み。
告白されてはじめてお互いを意識して、大切に想う気持ちが実は恋愛感情だったことに気付く。そして二人はハッピーエンド。
伊織もその手のお話をいくつも読んだことがある。
伊織の顔から、サーっと音を立てて血の気が引いていった。
軽くめまいがする。
宗一郎はまりあを妹みたいなものだなんて言ってたけど、それは意識していないからこそ言える言葉であって。
(もし、それをきっかけにまりあちゃんを意識しちゃったら……!)
伊織は目の前が真っ暗になって机に手を着いた。
頬を冷や汗がつたう。
(か、勝てる気がしない……)
伊織は顔をあげて、苦し紛れにまりあに微笑んだ。
「まりあちゃん、告白するなんてやっぱり冗談でしたとか」
「言わないわよ」
「……ですよね」
「宣言してあげるだけ優しいでしょーが! だいたい伊織ちゃん、まりあのライバルのくせに張り合いなさすぎなのよ、なにおとなしく妨害されたままなわけ? まりあに塩でも送ってるつもりなの!?」
「ち、違うよ、そんなんじゃないよ!」
「じゃあなんなのよ」
まりあがずいと伊織の顔を覗き込む。
伊織はそれに気まずくなって顔を背けた。
「だってわたし今すっごい中途半端な状態だし、だから宗先輩と向き合う資格もまりあちゃんと張り合う資格もないっていうか……」