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夢小説設定
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「あ?」
「なんでノブくんはそんな風に笑えるの? 伊織ちゃんのことが好きなのに、どうして協力なんてできるの?」
それで伊織を好きなんて言えるんだろうか。
まりあには理解できなかった。
好きだったら一人占めしたい。誰にも渡したくなんてない。
そう思うのが自然なのに。
それまで楽しそうに笑っていた信長が、ふいに真剣な顔つきに変わる。
いつもは勝気な信長のその瞳が、切なさに彩られた。
「――本当に伊織が好きだから、あいつにとってどうするのが一番いいのか考えたんだ。……オレの気持ちは、伊織にとって邪魔だから。打ち明けたら嬉しいって言ってくれるだろうけど、気持ちに応えることができないから苦しむだろ、あいつ。そんな伊織は見たくないんだ」
「でも、まりあはそんな風に思えない! 好きだから宗ちゃんのこと一人占めしたいし、誰にも渡したくなんてない! 宗ちゃんがまりあから離れて行っちゃうなんてイヤ! そんなの耐えられない! あきらめられないよぉっ!」
再び涙が込み上げてきた。
まりあは顔を伏せてうずくまる。
「いいんじゃん、それで」
そんな言葉とともに、まりあの頭が大きな手に撫でられた。
顔をあげると、まりあの隣にしゃがみ込んだ信長が、目線をあわせて優しく微笑みかけてくる。
「無理に諦める必要ないだろ? まりあちゃんにはまりあちゃんの譲れない気持ちがあるんだし、伊織と真っ向から勝負してやったらいいんじゃね?」
「付き合ってる二人の間に割り込む勇気なんて、さすがのまりあにもない」
目を背けてそう言うと、信長がは? と間の抜けた声を出した。
「何言ってんだよ、まりあちゃん。あの二人まだ付き合ってないぜ」
「……ぇえ!? そうなの!? だって宗ちゃん、昨日伊織ちゃんのこと抱きしめたみたいなこと言ってたよ!?」
「あー、そこら辺の詳細はオレもよくわかんないけど、でも付き合ってないのは確か。神に誓ってもいい」
わざとらしく右手を顔の横にあげて言う信長に、まりあはぽかんと口を開けた。
「うそぉ。宗ちゃんが、付き合う前から手を出すなんて信じらんない……!」
「かっかっか! まあ、神さんもオトコってことだろ? とにかく、伊織のこともっと信じてやれよ。あの伊織がまりあちゃんに黙って神さんと付き合うわけねえだろ?」
「でも、まりあは伊織ちゃんが宗ちゃんのこと好きだってことも聞いてない」
「ああ、それなら安心していいぜ。伊織、すっげえ前から言い出すタイミングが掴めなくてやきもきしてたから。今日こそ言うぞって意気込んでて、で、こんなことになっちゃったから、あいつすっげえ落ち込んでる」
「……うそ」
「ほんと」
信長がにかっと笑う。
まりあの胸がじんわりとあたたかくなった。
さっきまで感じていた絶望が、ウソのように消え去る。
「というわけだから、まだ諦めなくても大丈夫だろ? まりあちゃんはまりあちゃんの納得がいくまで、後悔しないよう最後までがんばれよ」
「……なによ、そのフラれるのが決定項みたいな言い方」
「はは。その辺りはまりあちゃんのがオレよりよくわかってんだろ?」
「……。あーもう、なんかノブくんと話してたらだんだん悩んでるのがバカらしくなってきた! いいもんね、まりあ諦めない! 絶対宗ちゃんを振り向かせてみせる!」
「おお、がんばれ!」
大口を開けて笑う信長を、まりあは見つめた。
(ノブくん、なんだか変わったな)
もっと子供でやんちゃな印象だったのに、今ではなんだか頼もしく見える。
いつのまにこんなに大人になってしまったんだろうか。
(……まりあも、いつかノブくんみたいに心からふたりのこと受け入れられる日がくるかな)
「なんでノブくんはそんな風に笑えるの? 伊織ちゃんのことが好きなのに、どうして協力なんてできるの?」
それで伊織を好きなんて言えるんだろうか。
まりあには理解できなかった。
好きだったら一人占めしたい。誰にも渡したくなんてない。
そう思うのが自然なのに。
それまで楽しそうに笑っていた信長が、ふいに真剣な顔つきに変わる。
いつもは勝気な信長のその瞳が、切なさに彩られた。
「――本当に伊織が好きだから、あいつにとってどうするのが一番いいのか考えたんだ。……オレの気持ちは、伊織にとって邪魔だから。打ち明けたら嬉しいって言ってくれるだろうけど、気持ちに応えることができないから苦しむだろ、あいつ。そんな伊織は見たくないんだ」
「でも、まりあはそんな風に思えない! 好きだから宗ちゃんのこと一人占めしたいし、誰にも渡したくなんてない! 宗ちゃんがまりあから離れて行っちゃうなんてイヤ! そんなの耐えられない! あきらめられないよぉっ!」
再び涙が込み上げてきた。
まりあは顔を伏せてうずくまる。
「いいんじゃん、それで」
そんな言葉とともに、まりあの頭が大きな手に撫でられた。
顔をあげると、まりあの隣にしゃがみ込んだ信長が、目線をあわせて優しく微笑みかけてくる。
「無理に諦める必要ないだろ? まりあちゃんにはまりあちゃんの譲れない気持ちがあるんだし、伊織と真っ向から勝負してやったらいいんじゃね?」
「付き合ってる二人の間に割り込む勇気なんて、さすがのまりあにもない」
目を背けてそう言うと、信長がは? と間の抜けた声を出した。
「何言ってんだよ、まりあちゃん。あの二人まだ付き合ってないぜ」
「……ぇえ!? そうなの!? だって宗ちゃん、昨日伊織ちゃんのこと抱きしめたみたいなこと言ってたよ!?」
「あー、そこら辺の詳細はオレもよくわかんないけど、でも付き合ってないのは確か。神に誓ってもいい」
わざとらしく右手を顔の横にあげて言う信長に、まりあはぽかんと口を開けた。
「うそぉ。宗ちゃんが、付き合う前から手を出すなんて信じらんない……!」
「かっかっか! まあ、神さんもオトコってことだろ? とにかく、伊織のこともっと信じてやれよ。あの伊織がまりあちゃんに黙って神さんと付き合うわけねえだろ?」
「でも、まりあは伊織ちゃんが宗ちゃんのこと好きだってことも聞いてない」
「ああ、それなら安心していいぜ。伊織、すっげえ前から言い出すタイミングが掴めなくてやきもきしてたから。今日こそ言うぞって意気込んでて、で、こんなことになっちゃったから、あいつすっげえ落ち込んでる」
「……うそ」
「ほんと」
信長がにかっと笑う。
まりあの胸がじんわりとあたたかくなった。
さっきまで感じていた絶望が、ウソのように消え去る。
「というわけだから、まだ諦めなくても大丈夫だろ? まりあちゃんはまりあちゃんの納得がいくまで、後悔しないよう最後までがんばれよ」
「……なによ、そのフラれるのが決定項みたいな言い方」
「はは。その辺りはまりあちゃんのがオレよりよくわかってんだろ?」
「……。あーもう、なんかノブくんと話してたらだんだん悩んでるのがバカらしくなってきた! いいもんね、まりあ諦めない! 絶対宗ちゃんを振り向かせてみせる!」
「おお、がんばれ!」
大口を開けて笑う信長を、まりあは見つめた。
(ノブくん、なんだか変わったな)
もっと子供でやんちゃな印象だったのに、今ではなんだか頼もしく見える。
いつのまにこんなに大人になってしまったんだろうか。
(……まりあも、いつかノブくんみたいに心からふたりのこと受け入れられる日がくるかな)