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夢小説設定
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上目遣いに、ちらりとまりあの様子を窺い見る。
まりあはお弁当箱のウインナーに勢いよく箸を突き立てると、それを乱暴に口へと運んでいた。
傍らにいた信長が、びくりとそんなまりあの様子に肩を震わせる。
「うおっ、まりあちゃんどうしたんだよ!? ずいぶん荒れてんな」
「……別に。そんなことよりノブくん、さっさとお弁当食べたら?」
「お、おう……」
明らかな不機嫌オーラを全身からほとばしらせながら、まりあはお弁当箱の中身を次々とたいらげていく。
信長がその様子におののいたように、伊織にこそっと耳打ちをしてきた。
「お、おい……。まりあちゃんどうしたんだよ?」
「わ、わかんないよ」
「いつのまにこんな不機嫌なんだ?」
「……多分、朝練が終わる頃にはすでに機嫌悪かった、と思う」
伊織は思い返しながら答えた。
そうだ。
朝練が終わって、教室へ帰ろうと呼びかけた伊織に向けられたまりあの視線は、かなり剣呑なものだった。
朝まりあに会ったときは普通だったのに、いったいなぜ。
(わたし、気付かないうちになにかしちゃったのかな……)
伊織の箸が止まる。
そのとき、荒々しい音を立てながらまりあがお弁当を片付けはじめた。
伊織は驚いて目を向ける。
「まりあちゃんもう食べ終わったの?」
「なによ、早食いは体に悪いとでも言うつもり!? こんなところで伊織ちゃんなんかと一緒にご飯食べたって、まずくってしかたないのよもう!」
まりあが勢いよくお弁当箱に手をたたきつけた。
がしゃんという硬質な音に、伊織と信長は息を呑む。
「ま、まりあちゃん……? どうしたの? わたし、なにかした?」
「なにかした、ですって……!?」
まりあがギンっという音が聞こえてきそうなくらい鋭く伊織を睨みつけた。
「抱きしめたって何?」
「え?」
唐突な質問に、伊織はわけがわからず眉根を寄せる。
それすらも気に入らないとでも言うように、まりあは一段と声を大きくした。
「今日! 朝練の準備のとき、体育倉庫で宗ちゃんと二人で何話してたの!? まりあ聞いちゃったんだから! 抱きしめたって、まさか宗ちゃんが……」
「!」
伊織の顔が火をつけたように一気に赤く染まった。
それは伊織に抑えることが出来るものではなかったが、それでもこの反応は最悪だ。
まずい、と思ったときにはもう遅かった。
目の前のまりあが、目尻に涙を浮かべて立ち上がる。
眉をきつく寄せて、頭上にかかげた右手を勢いよく伊織の左頬に振り下ろした。
鋭い衝撃が伊織の頬に走る。
「伊織ちゃんの裏切り者!」
「ま、まりあちゃん! 違う、違うの……っ!」
打たれた左頬を押さえるのも忘れて、伊織は立ち上がった。
膝の上に広げていたお弁当箱が、中身をばらまかせながら無惨にひっくり返る。
伊織はそれには見向きもせずに、激しく怒るまりあの肩を掴んだ。
「離してよっ!」
「まりあちゃん、お願い聞いて!」
「いやっ! 伊織ちゃんの裏切り者……! 心配してたのにっ! まりあ、伊織ちゃんのこと本当に本当に心配したのに……っ! それなのに伊織ちゃんはまりあの知らないうちに宗ちゃんと……っ!」
まりあの綺麗な瞳からぼろぼろと大粒の涙が零れだす。
まりあはお弁当箱のウインナーに勢いよく箸を突き立てると、それを乱暴に口へと運んでいた。
傍らにいた信長が、びくりとそんなまりあの様子に肩を震わせる。
「うおっ、まりあちゃんどうしたんだよ!? ずいぶん荒れてんな」
「……別に。そんなことよりノブくん、さっさとお弁当食べたら?」
「お、おう……」
明らかな不機嫌オーラを全身からほとばしらせながら、まりあはお弁当箱の中身を次々とたいらげていく。
信長がその様子におののいたように、伊織にこそっと耳打ちをしてきた。
「お、おい……。まりあちゃんどうしたんだよ?」
「わ、わかんないよ」
「いつのまにこんな不機嫌なんだ?」
「……多分、朝練が終わる頃にはすでに機嫌悪かった、と思う」
伊織は思い返しながら答えた。
そうだ。
朝練が終わって、教室へ帰ろうと呼びかけた伊織に向けられたまりあの視線は、かなり剣呑なものだった。
朝まりあに会ったときは普通だったのに、いったいなぜ。
(わたし、気付かないうちになにかしちゃったのかな……)
伊織の箸が止まる。
そのとき、荒々しい音を立てながらまりあがお弁当を片付けはじめた。
伊織は驚いて目を向ける。
「まりあちゃんもう食べ終わったの?」
「なによ、早食いは体に悪いとでも言うつもり!? こんなところで伊織ちゃんなんかと一緒にご飯食べたって、まずくってしかたないのよもう!」
まりあが勢いよくお弁当箱に手をたたきつけた。
がしゃんという硬質な音に、伊織と信長は息を呑む。
「ま、まりあちゃん……? どうしたの? わたし、なにかした?」
「なにかした、ですって……!?」
まりあがギンっという音が聞こえてきそうなくらい鋭く伊織を睨みつけた。
「抱きしめたって何?」
「え?」
唐突な質問に、伊織はわけがわからず眉根を寄せる。
それすらも気に入らないとでも言うように、まりあは一段と声を大きくした。
「今日! 朝練の準備のとき、体育倉庫で宗ちゃんと二人で何話してたの!? まりあ聞いちゃったんだから! 抱きしめたって、まさか宗ちゃんが……」
「!」
伊織の顔が火をつけたように一気に赤く染まった。
それは伊織に抑えることが出来るものではなかったが、それでもこの反応は最悪だ。
まずい、と思ったときにはもう遅かった。
目の前のまりあが、目尻に涙を浮かべて立ち上がる。
眉をきつく寄せて、頭上にかかげた右手を勢いよく伊織の左頬に振り下ろした。
鋭い衝撃が伊織の頬に走る。
「伊織ちゃんの裏切り者!」
「ま、まりあちゃん! 違う、違うの……っ!」
打たれた左頬を押さえるのも忘れて、伊織は立ち上がった。
膝の上に広げていたお弁当箱が、中身をばらまかせながら無惨にひっくり返る。
伊織はそれには見向きもせずに、激しく怒るまりあの肩を掴んだ。
「離してよっ!」
「まりあちゃん、お願い聞いて!」
「いやっ! 伊織ちゃんの裏切り者……! 心配してたのにっ! まりあ、伊織ちゃんのこと本当に本当に心配したのに……っ! それなのに伊織ちゃんはまりあの知らないうちに宗ちゃんと……っ!」
まりあの綺麗な瞳からぼろぼろと大粒の涙が零れだす。