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宗一郎が困ったようにまりあに微笑むと、伊織を見る。
「伊織ちゃんは一緒に帰らないの? もう暗いし、送るよ」
思ってもみなかった宗一郎の誘いに、伊織がびっくりして首をぶんぶん横に振った。
「ええ!? いいです、そんな悪いですし! それに、わたし駅から神先輩たちと逆方向になるんで。大丈夫です」
「あはは。気にしなくて大丈夫だよ。ただ、いったんまりあを送ってから伊織ちゃんを送るって順番にしたいから、ちょっと回り道になっちゃうけど……」
「宗ちゃん」
言い募る宗一郎の袖を、まりあが引っ張った。
その顔は、不機嫌にゆがめられている。
一瞬、にらむように向けられたまりあの鋭い視線に、伊織はびくっと肩を震わせた。
(ま、まりあちゃん……?)
まりあのこんな表情、見たことない。
動揺する伊織をよそに、まりあは笑顔で宗一郎に向き直ると、甘えるように宗一郎にまきつけた腕に力を込めた。
「伊織ちゃん、困ってるじゃない。大丈夫って言ってるんだから大丈夫だよ」
「まりあ、でももう暗いし、伊織ちゃんだって女の子なんだから」
「伊織ちゃんなら大丈夫! ね、伊織ちゃん?」
「う、うん。大丈夫です」
声音とは裏腹に、有無を言わさぬ強い瞳で見てくるまりあ。
伊織は、必死の思いで首を縦に振ると、まりあはそれでいいとばかりににっこり微笑み、宗一郎の腕を部室の外へと引っ張った。
「ほら。ね、宗ちゃん? さ、早く帰ろう!!」
「わ……、まりあ、引っ張ったら危ないって! 伊織ちゃん、ごめんね。今度は絶対送るから!」
「あ、いえ! 大丈夫です! お疲れ様でした!!」
まりあに引っ張られて消えていく宗一郎に、伊織は言葉を投げた。
「――ふぅ」
まるで嵐が去ったような静けさ。
伊織は今さっき宗一郎とまりあが出ていったばかりの扉をみつめると、ため息をついた。
なんだかどっと疲れたような気がする。
自分も帰ろうと女子更衣室を出ると、帰り支度をしている信長と会った。
「あれ、ノブ」
「おお、伊織! 今帰りか? さっき神さんとまりあちゃんが帰っていったんだけど、あの二人が最後かと思ったぜ。一緒に帰らなかったんだな」
「帰れるわけないでしょ、あの二人と」
肩を竦めていうと、信長もははっと乾いた声で笑った。
自然と連れ立つかたちになり、伊織と信長は話しながら歩きだす。
「だよな。なんか入っていけないよな。実は俺も、今日の朝までは神さんに自転車の後ろ乗っけてもらってたんだけど、明日っからはまりあちゃん乗っけるから歩いていけってさ」
「あらら…。それは残念だね。ノブって家この辺なの?」
校門を出てからも同じ方角を歩く信長に、伊織は尋ねる。
すると、信長は軽く首を振った。
「いや。俺は電車通学。家は隣り町。神さんには駅から学校まで乗っけてってもらってたんだ。伊織は?」
「わたしは駅から家まで歩いて15分くらい。学校からだと30分かな」
「げえ、30分!? よく歩くなそんな距離! 俺だったら絶対自転車だぜ…」
「あはは。ちょっとは運動しようかと思って。――でもそうだな。明日からは自転車で来ようかな」
「なんで? やっぱり疲れるからか?」
「バカ、ちがうわよ。毎日こんなに暗いんじゃ帰り歩きじゃ不安だし。――そうだノブ! わたしのでよければ、明日から自転車乗っけてあげる」
「伊織ちゃんは一緒に帰らないの? もう暗いし、送るよ」
思ってもみなかった宗一郎の誘いに、伊織がびっくりして首をぶんぶん横に振った。
「ええ!? いいです、そんな悪いですし! それに、わたし駅から神先輩たちと逆方向になるんで。大丈夫です」
「あはは。気にしなくて大丈夫だよ。ただ、いったんまりあを送ってから伊織ちゃんを送るって順番にしたいから、ちょっと回り道になっちゃうけど……」
「宗ちゃん」
言い募る宗一郎の袖を、まりあが引っ張った。
その顔は、不機嫌にゆがめられている。
一瞬、にらむように向けられたまりあの鋭い視線に、伊織はびくっと肩を震わせた。
(ま、まりあちゃん……?)
まりあのこんな表情、見たことない。
動揺する伊織をよそに、まりあは笑顔で宗一郎に向き直ると、甘えるように宗一郎にまきつけた腕に力を込めた。
「伊織ちゃん、困ってるじゃない。大丈夫って言ってるんだから大丈夫だよ」
「まりあ、でももう暗いし、伊織ちゃんだって女の子なんだから」
「伊織ちゃんなら大丈夫! ね、伊織ちゃん?」
「う、うん。大丈夫です」
声音とは裏腹に、有無を言わさぬ強い瞳で見てくるまりあ。
伊織は、必死の思いで首を縦に振ると、まりあはそれでいいとばかりににっこり微笑み、宗一郎の腕を部室の外へと引っ張った。
「ほら。ね、宗ちゃん? さ、早く帰ろう!!」
「わ……、まりあ、引っ張ったら危ないって! 伊織ちゃん、ごめんね。今度は絶対送るから!」
「あ、いえ! 大丈夫です! お疲れ様でした!!」
まりあに引っ張られて消えていく宗一郎に、伊織は言葉を投げた。
「――ふぅ」
まるで嵐が去ったような静けさ。
伊織は今さっき宗一郎とまりあが出ていったばかりの扉をみつめると、ため息をついた。
なんだかどっと疲れたような気がする。
自分も帰ろうと女子更衣室を出ると、帰り支度をしている信長と会った。
「あれ、ノブ」
「おお、伊織! 今帰りか? さっき神さんとまりあちゃんが帰っていったんだけど、あの二人が最後かと思ったぜ。一緒に帰らなかったんだな」
「帰れるわけないでしょ、あの二人と」
肩を竦めていうと、信長もははっと乾いた声で笑った。
自然と連れ立つかたちになり、伊織と信長は話しながら歩きだす。
「だよな。なんか入っていけないよな。実は俺も、今日の朝までは神さんに自転車の後ろ乗っけてもらってたんだけど、明日っからはまりあちゃん乗っけるから歩いていけってさ」
「あらら…。それは残念だね。ノブって家この辺なの?」
校門を出てからも同じ方角を歩く信長に、伊織は尋ねる。
すると、信長は軽く首を振った。
「いや。俺は電車通学。家は隣り町。神さんには駅から学校まで乗っけてってもらってたんだ。伊織は?」
「わたしは駅から家まで歩いて15分くらい。学校からだと30分かな」
「げえ、30分!? よく歩くなそんな距離! 俺だったら絶対自転車だぜ…」
「あはは。ちょっとは運動しようかと思って。――でもそうだな。明日からは自転車で来ようかな」
「なんで? やっぱり疲れるからか?」
「バカ、ちがうわよ。毎日こんなに暗いんじゃ帰り歩きじゃ不安だし。――そうだノブ! わたしのでよければ、明日から自転車乗っけてあげる」