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「伊織ちゃんが仙道の事を思って俺のことまだ考えられないだろうなって、そこまでわかってて、それでも伊織ちゃんに伝えたのは、いまフラれるためじゃないよ。わかってて欲しかったから。俺に甘えていいんだって、そのことに引け目を感じないで欲しかったからなんだ」
伊織の唇を押さえていた人差し指が、ゆっくりと伊織の唇を撫ぜる。
そのくすぐったいようなもどかしいような感触に、伊織の心臓が大暴れで脈を打つ。
「それとも……」
宗一郎の眉が悲しげに寄せられる。
「今すぐフッちゃいたいくらい、伊織ちゃんは俺がキライ?」
「……っ!」
伊織は大きく首を振った。
目の前の宗一郎がホッとしたように微笑む。
その笑顔に伊織の胸がぎゅっとなった。
キライだなんてそんなこと。
キライなわけない。
大好き。
だけど。その言葉は今はいえない。
(そんなのって、だけど……)
「卑怯じゃないですか?」
「え、俺?」
「ちち違います! わたしです! そんなの、まるで宗先輩を利用してるみたいで……。自分は返事もしないのに……ただ、都合のいいときだけ甘えるなんて……」
それこそ許されない気がした。
そんな人の気持ちをもてあそぶようなこと。
「はは、伊織ちゃんらしいね。そういうまっすぐなとこも好きだよ。……でも、そんな伊織ちゃんが俺のために卑怯になってくれるなら嬉しいよ」
「!」
「なんてね」
言って宗一郎が、ははと自嘲するように笑う。
「こんなときに混乱させるようなこと言ってごめんね、伊織ちゃん。でも、俺待つから。伊織ちゃんの中から迷いが消えるまで」
「宗先輩」
「俺、伊織ちゃんに相当本気なんだ。だから、今の状態でじゃなくて、ちゃんと答えがでたら、そうしたら教えて。そのときは俺、どんな返事でもちゃんと受け止めるから」
「はい……」
伊織は素直に頷いた。
宗一郎が嬉しそうに笑顔を零した。
「ね、伊織ちゃん。……もっかい抱きしめてもいい?」
「え? だだ、ダメです」
「そっか」
大慌てで伊織は否定した。
なのになぜか、体を強く宗一郎に引き寄せられた。
腕の中に包まれる。
「え、あれ!? そそそ宗先輩!?」
「うん?」
「うんって……! いや、あの、あれ? わたしダメって言いました……よね!?」
「うん。嫌だったら逃げてもいいよ。……離さないけど」
「えええ!?」
わけがわからなくて伊織は混乱した。
そんな伊織にはお構いなしに、宗一郎はさらにまわした腕の力を強めてくる。
「伊織ちゃん、好きだよ」
「は、はい」
「伊織ちゃんが、元気になってくれてよかった……」
泣くのを堪えているようなその声音に、伊織の胸がつまった。
「! ……そう、せんぱい」
名前を呼ぶと、返事のかわりに一瞬だけぎゅっと強く抱きしめられる。
どれほど自分を大切に想ってくれているのか、それだけで充分すぎるほど伝わってきた。
(早く、この気持ちにこたえたい……)
宗一郎の腕の中で、伊織は甘えるように胸に顔を寄せて、目を閉じた。
(宗先輩……、好きです)
宗一郎のためにも、――仙道のためにも、早くちゃんとさせなくては。
伊織は心の中であらためてそう決意した。
To be continued…
伊織の唇を押さえていた人差し指が、ゆっくりと伊織の唇を撫ぜる。
そのくすぐったいようなもどかしいような感触に、伊織の心臓が大暴れで脈を打つ。
「それとも……」
宗一郎の眉が悲しげに寄せられる。
「今すぐフッちゃいたいくらい、伊織ちゃんは俺がキライ?」
「……っ!」
伊織は大きく首を振った。
目の前の宗一郎がホッとしたように微笑む。
その笑顔に伊織の胸がぎゅっとなった。
キライだなんてそんなこと。
キライなわけない。
大好き。
だけど。その言葉は今はいえない。
(そんなのって、だけど……)
「卑怯じゃないですか?」
「え、俺?」
「ちち違います! わたしです! そんなの、まるで宗先輩を利用してるみたいで……。自分は返事もしないのに……ただ、都合のいいときだけ甘えるなんて……」
それこそ許されない気がした。
そんな人の気持ちをもてあそぶようなこと。
「はは、伊織ちゃんらしいね。そういうまっすぐなとこも好きだよ。……でも、そんな伊織ちゃんが俺のために卑怯になってくれるなら嬉しいよ」
「!」
「なんてね」
言って宗一郎が、ははと自嘲するように笑う。
「こんなときに混乱させるようなこと言ってごめんね、伊織ちゃん。でも、俺待つから。伊織ちゃんの中から迷いが消えるまで」
「宗先輩」
「俺、伊織ちゃんに相当本気なんだ。だから、今の状態でじゃなくて、ちゃんと答えがでたら、そうしたら教えて。そのときは俺、どんな返事でもちゃんと受け止めるから」
「はい……」
伊織は素直に頷いた。
宗一郎が嬉しそうに笑顔を零した。
「ね、伊織ちゃん。……もっかい抱きしめてもいい?」
「え? だだ、ダメです」
「そっか」
大慌てで伊織は否定した。
なのになぜか、体を強く宗一郎に引き寄せられた。
腕の中に包まれる。
「え、あれ!? そそそ宗先輩!?」
「うん?」
「うんって……! いや、あの、あれ? わたしダメって言いました……よね!?」
「うん。嫌だったら逃げてもいいよ。……離さないけど」
「えええ!?」
わけがわからなくて伊織は混乱した。
そんな伊織にはお構いなしに、宗一郎はさらにまわした腕の力を強めてくる。
「伊織ちゃん、好きだよ」
「は、はい」
「伊織ちゃんが、元気になってくれてよかった……」
泣くのを堪えているようなその声音に、伊織の胸がつまった。
「! ……そう、せんぱい」
名前を呼ぶと、返事のかわりに一瞬だけぎゅっと強く抱きしめられる。
どれほど自分を大切に想ってくれているのか、それだけで充分すぎるほど伝わってきた。
(早く、この気持ちにこたえたい……)
宗一郎の腕の中で、伊織は甘えるように胸に顔を寄せて、目を閉じた。
(宗先輩……、好きです)
宗一郎のためにも、――仙道のためにも、早くちゃんとさせなくては。
伊織は心の中であらためてそう決意した。
To be continued…