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「ふたりだけの秘密? なによう、まりあにも教えてっ! ねっ、ねっ、お願い宗ちゃん!」
「ふふふ。俺は教えてもいいんだけど、多分伊織ちゃんの沽券に関わるから……」
宗一郎はそういうと、自分の腕に絡みついてくるまりあの頭をひと撫でし、そっと引き剥がす。
そして、ふと思い出したように伊織に訊ねた。
「そういえば、マネージャー志望なんだって? 経験者なの?」
「あっ、いえ……。マネージャーどころか、バスケは体育の授業くらいしかやったことなくて……。――やっぱり、強豪校のマネージャーが初心者だなんて、迷惑でしょうか?」
自然と、伊織の顔がうつむいていく。
宗一郎は、そんな伊織の様子に牧と顔を見合わせて微笑むと、伊織の肩をぽんと叩いた。
「迷惑だなんてそんなことぜんぜんないよ。うちは大所帯だから、マネージャーが多いほうが助かるしね。ただバスケのこと詳しく知らないようじゃ、伊織ちゃんが慣れるまで大変かもな……。まあ、その辺は俺もノブもサポートするし、わからないことがあったらなんでも聞いて。あ、それに、まりあはマネージャー経験者だから、いろいろ教わるといいよ。じゃあ、俺は練習抜けてきてるからこれで。これからよろしくね、伊織ちゃん」
「あっ、はい! こちらこそよろしくお願いします!」
宗一郎は最後に伊織にさわやかな笑顔を残すと、さっそうと練習へと戻っていった。
「マネージャーの仕事って結構大変だね……」
スコアをつけたり、得点板を用意したり、ドリンクやタオルを渡したり……。
伊織は、部室内の女子更衣室で帰り支度をしながら、今日先輩マネージャーから習った作業を指折り数え、うんざりため息を吐いた。
両手の指だけじゃ、きっと足りない。
伊織の呟きを聞き、まりあが心配そうに伊織の顔を覗き込む。
「伊織ちゃん。もしかしてやめたくなっちゃった?」
「あはは、まさか。こう見えても、元運動部。根性だけはあります」
「え~! そうなの!? 伊織ちゃんなに部だったの?」
「……テニス部」
「わぁ~、素敵! 高校ではどうして続けないの? あっ、もしかしてまりあが強引に誘ったから!?」
「あはは、違うよ! ちょっと……ね。もう高校ではいいかなって……」
「ふうん?」
不思議そうに小首をかしげるまりあに、伊織は眉尻を下げて微笑んだ。
大好きなテニス。
一生懸命練習を積んで、テニスのことしか考えられなくて……。
そんな日々を送ったこともあった。
――だけど、それはもう過去のこと。
伊織は、気持ちを切り替えるように大きく伸びをすると、かばんを肩にかけた。
「じゃ、帰ろっか」
そうまりあに呼びかけると、まりあは困ったように眉根を寄せる。
「? どうしたの?」
「あ、ごめんね伊織ちゃん……。まりあは……」
まりあの言葉の先は、突然室内に響いたノックの音にかき消された。
その音に、まりあがあわてて返事をする。
「あ、は~い。どうぞ」
「まりあ、準備できた?」
そう言って顔をのぞかせたのは、宗一郎だった。
伊織はそれで合点がいく。
「あ……。そっか、まりあちゃんは神先輩と帰るのね」
「うん! ごめんね、伊織ちゃん。じゃあ、宗ちゃん帰ろう!」
まりあはかばんを持つと、宗一郎の腕に巻きついた。
「ふふふ。俺は教えてもいいんだけど、多分伊織ちゃんの沽券に関わるから……」
宗一郎はそういうと、自分の腕に絡みついてくるまりあの頭をひと撫でし、そっと引き剥がす。
そして、ふと思い出したように伊織に訊ねた。
「そういえば、マネージャー志望なんだって? 経験者なの?」
「あっ、いえ……。マネージャーどころか、バスケは体育の授業くらいしかやったことなくて……。――やっぱり、強豪校のマネージャーが初心者だなんて、迷惑でしょうか?」
自然と、伊織の顔がうつむいていく。
宗一郎は、そんな伊織の様子に牧と顔を見合わせて微笑むと、伊織の肩をぽんと叩いた。
「迷惑だなんてそんなことぜんぜんないよ。うちは大所帯だから、マネージャーが多いほうが助かるしね。ただバスケのこと詳しく知らないようじゃ、伊織ちゃんが慣れるまで大変かもな……。まあ、その辺は俺もノブもサポートするし、わからないことがあったらなんでも聞いて。あ、それに、まりあはマネージャー経験者だから、いろいろ教わるといいよ。じゃあ、俺は練習抜けてきてるからこれで。これからよろしくね、伊織ちゃん」
「あっ、はい! こちらこそよろしくお願いします!」
宗一郎は最後に伊織にさわやかな笑顔を残すと、さっそうと練習へと戻っていった。
「マネージャーの仕事って結構大変だね……」
スコアをつけたり、得点板を用意したり、ドリンクやタオルを渡したり……。
伊織は、部室内の女子更衣室で帰り支度をしながら、今日先輩マネージャーから習った作業を指折り数え、うんざりため息を吐いた。
両手の指だけじゃ、きっと足りない。
伊織の呟きを聞き、まりあが心配そうに伊織の顔を覗き込む。
「伊織ちゃん。もしかしてやめたくなっちゃった?」
「あはは、まさか。こう見えても、元運動部。根性だけはあります」
「え~! そうなの!? 伊織ちゃんなに部だったの?」
「……テニス部」
「わぁ~、素敵! 高校ではどうして続けないの? あっ、もしかしてまりあが強引に誘ったから!?」
「あはは、違うよ! ちょっと……ね。もう高校ではいいかなって……」
「ふうん?」
不思議そうに小首をかしげるまりあに、伊織は眉尻を下げて微笑んだ。
大好きなテニス。
一生懸命練習を積んで、テニスのことしか考えられなくて……。
そんな日々を送ったこともあった。
――だけど、それはもう過去のこと。
伊織は、気持ちを切り替えるように大きく伸びをすると、かばんを肩にかけた。
「じゃ、帰ろっか」
そうまりあに呼びかけると、まりあは困ったように眉根を寄せる。
「? どうしたの?」
「あ、ごめんね伊織ちゃん……。まりあは……」
まりあの言葉の先は、突然室内に響いたノックの音にかき消された。
その音に、まりあがあわてて返事をする。
「あ、は~い。どうぞ」
「まりあ、準備できた?」
そう言って顔をのぞかせたのは、宗一郎だった。
伊織はそれで合点がいく。
「あ……。そっか、まりあちゃんは神先輩と帰るのね」
「うん! ごめんね、伊織ちゃん。じゃあ、宗ちゃん帰ろう!」
まりあはかばんを持つと、宗一郎の腕に巻きついた。