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伊織は赤ん坊みたいに大声で泣きじゃくった。
今までひとりで必死に耐えていた涙が一気にあふれ出した。
恥ずかしいとかそういうことは頭になかった。
ただ宗一郎の腕の中で、優しく自分を受け止めてくれるぬくもりを感じながら、伊織は体を駆け巡る衝動に身を任せるようにして泣いた。
どれくらい泣き続けただろうか。
大声で泣き叫んだら、心の中にあったもやもやが霧が晴れるようにすっと引いた。
ふりかえればまだ胸は痛むしまだ少しだけ怖いけど、もうあの気が狂うほどの恐怖は感じない。
受け入れられる気がした。
乗り越えられる気がした。
宗一郎が受け入れてくれたから。
自分を許すことを、受け入れてくれたから。
宗一郎は伊織が泣き止むまでずっと抱きしめていてくれた。
宗一郎が呼吸をするたびに、その吐息が伊織の耳朶をくすぐる。
身長が160cm近くある伊織は決して小柄とはいえないのに、189cmの宗一郎の腕の中にすっぽりと収まってしまっていた。
落ち着く。安心する。
好き。
「落ち着いた?」
ふいに耳元で宗一郎が囁いた。
びくりと伊織の肩が飛び跳ねる。
「は、はい……!」
顔をあげると、宗一郎がまるで大切なものを見るようなそんな優しい瞳で伊織を見つめていた。
ばくんと心臓が激しく脈打って、まるで獣が暴れまわるみたいにばくばくとその鼓動を早めた。
伊織は慌てて宗一郎から離れようと両手を踏ん張る。
が、それは宗一郎にやんわり制された。
「ダメだよ」
耳元で聞こえる、宗一郎の声。
「離さない」
吐息が耳に触れる。
甘い。
ダメだ。
離れないと。
心臓がパンクして死んでしまう。
「あ、あの……! もう大丈夫ですから……。宗先輩のおかげで、わたし、立ち直れそうですから。め、迷惑かけてすみません、もうひとりでも大丈夫です!」
もう一度腕を突っ張る。
びくりともしない宗一郎の体。
いつも穏やかで優しい宗一郎の男の部分を感じて、伊織の胸がさらに激しく脈打った。
全身の血が沸騰したように熱い。
どうしようどうしようどうしよう。
これ以上宗一郎に甘えるわけにはいかない。
(だって、宗先輩にとってわたしはただの後輩なのに……これ以上の迷惑は……!)
思って伊織がもう一度腕に力を入れようとした瞬間。
「好きだよ」
「!」
ふいに鼓膜を打つ、いつもより少し低めの宗一郎の声。
時が、止まる。
ぴたりと体を硬直させた伊織の耳に、重ねるように響く。
「好きだ」
「!!」
今までひとりで必死に耐えていた涙が一気にあふれ出した。
恥ずかしいとかそういうことは頭になかった。
ただ宗一郎の腕の中で、優しく自分を受け止めてくれるぬくもりを感じながら、伊織は体を駆け巡る衝動に身を任せるようにして泣いた。
どれくらい泣き続けただろうか。
大声で泣き叫んだら、心の中にあったもやもやが霧が晴れるようにすっと引いた。
ふりかえればまだ胸は痛むしまだ少しだけ怖いけど、もうあの気が狂うほどの恐怖は感じない。
受け入れられる気がした。
乗り越えられる気がした。
宗一郎が受け入れてくれたから。
自分を許すことを、受け入れてくれたから。
宗一郎は伊織が泣き止むまでずっと抱きしめていてくれた。
宗一郎が呼吸をするたびに、その吐息が伊織の耳朶をくすぐる。
身長が160cm近くある伊織は決して小柄とはいえないのに、189cmの宗一郎の腕の中にすっぽりと収まってしまっていた。
落ち着く。安心する。
好き。
「落ち着いた?」
ふいに耳元で宗一郎が囁いた。
びくりと伊織の肩が飛び跳ねる。
「は、はい……!」
顔をあげると、宗一郎がまるで大切なものを見るようなそんな優しい瞳で伊織を見つめていた。
ばくんと心臓が激しく脈打って、まるで獣が暴れまわるみたいにばくばくとその鼓動を早めた。
伊織は慌てて宗一郎から離れようと両手を踏ん張る。
が、それは宗一郎にやんわり制された。
「ダメだよ」
耳元で聞こえる、宗一郎の声。
「離さない」
吐息が耳に触れる。
甘い。
ダメだ。
離れないと。
心臓がパンクして死んでしまう。
「あ、あの……! もう大丈夫ですから……。宗先輩のおかげで、わたし、立ち直れそうですから。め、迷惑かけてすみません、もうひとりでも大丈夫です!」
もう一度腕を突っ張る。
びくりともしない宗一郎の体。
いつも穏やかで優しい宗一郎の男の部分を感じて、伊織の胸がさらに激しく脈打った。
全身の血が沸騰したように熱い。
どうしようどうしようどうしよう。
これ以上宗一郎に甘えるわけにはいかない。
(だって、宗先輩にとってわたしはただの後輩なのに……これ以上の迷惑は……!)
思って伊織がもう一度腕に力を入れようとした瞬間。
「好きだよ」
「!」
ふいに鼓膜を打つ、いつもより少し低めの宗一郎の声。
時が、止まる。
ぴたりと体を硬直させた伊織の耳に、重ねるように響く。
「好きだ」
「!!」