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夢小説設定
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伊織の部屋を振り返る。
閉められたドアの先。
ここから先は宗一郎に任せておけば大丈夫だろう。
宗一郎ならきっと、伊織を元気にしてくれる。
いつもの伊織に戻してくれる。
信長はそっと涙を拭うと、二人に向き直った。
「じゃあ、オレ帰るよ」
「ノブさん」
「あとは神さんに任せときゃあ大丈夫だろ」
言って歩き出す信長の背中から、月の声が追いかけてくる。
「清田先輩!」
「お?」
「あの、ありがとうございました! ほんとうに、先輩には感謝してもしきれません!」
半分に身を折り曲げてそういう月に、信長はハハッと笑う。
「オレはなんもしてねーって。……とりあえず伊織に、明日駅までちゃんと迎えに来いよって言っといてくれな」
「「……はい!」」
月と星が仲良く頷いた。
それを微笑んで見て、信長は伊織の家を出る。
街灯の明かりだけが頼りの薄暗い道を駅まで歩き出そうとしたところで、一度だけ振り返った。
ここから見える、伊織の部屋の窓。
「よかったな、伊織」
信長はそれだけ言うと、唇を笑みの形にして歩き出した。
誰かが呼んでる声が聞こえた。
誰だろう。
あったかいぬくもりを手から感じる。
『伊織ちゃん……』
誰だろう。
ここのところ、ずいぶんいろんな声に呼ばれてる気がする。
でも誰だかわからない。
よく見えないの。
顔も、声も。
よくわからない。
そのとき突然、ハッとするくらい鮮明に耳に飛び込んできた言葉。
『神宗一郎だよ』
神……宗一郎?
名前を聞くだけでなぜだか胸が落ち着かなくなる。
心臓が大きく拍動する。
神宗一郎。
だれだっけ。
「じ……ん……?」
久しぶりに声を出したからか、喉がひりひりして痛い。
自分で言った言葉が、ブーメランのように反転して戻ってくる。
胸に、ストンと落ちる。
じん。神。神宗一郎。
脳裏にひらめくあたたかな笑顔。そのぬくもり。
懐かしい。愛しい。
胸がぽかぽかする、その名前。
『そ……う、せん……ぱい?』
『うん……! そうだよ、伊織ちゃん』
手に強い力を感じた。
そのとたんに、雷に打たれたように伊織の体を電流が駆け抜けた。
閉められたドアの先。
ここから先は宗一郎に任せておけば大丈夫だろう。
宗一郎ならきっと、伊織を元気にしてくれる。
いつもの伊織に戻してくれる。
信長はそっと涙を拭うと、二人に向き直った。
「じゃあ、オレ帰るよ」
「ノブさん」
「あとは神さんに任せときゃあ大丈夫だろ」
言って歩き出す信長の背中から、月の声が追いかけてくる。
「清田先輩!」
「お?」
「あの、ありがとうございました! ほんとうに、先輩には感謝してもしきれません!」
半分に身を折り曲げてそういう月に、信長はハハッと笑う。
「オレはなんもしてねーって。……とりあえず伊織に、明日駅までちゃんと迎えに来いよって言っといてくれな」
「「……はい!」」
月と星が仲良く頷いた。
それを微笑んで見て、信長は伊織の家を出る。
街灯の明かりだけが頼りの薄暗い道を駅まで歩き出そうとしたところで、一度だけ振り返った。
ここから見える、伊織の部屋の窓。
「よかったな、伊織」
信長はそれだけ言うと、唇を笑みの形にして歩き出した。
誰かが呼んでる声が聞こえた。
誰だろう。
あったかいぬくもりを手から感じる。
『伊織ちゃん……』
誰だろう。
ここのところ、ずいぶんいろんな声に呼ばれてる気がする。
でも誰だかわからない。
よく見えないの。
顔も、声も。
よくわからない。
そのとき突然、ハッとするくらい鮮明に耳に飛び込んできた言葉。
『神宗一郎だよ』
神……宗一郎?
名前を聞くだけでなぜだか胸が落ち着かなくなる。
心臓が大きく拍動する。
神宗一郎。
だれだっけ。
「じ……ん……?」
久しぶりに声を出したからか、喉がひりひりして痛い。
自分で言った言葉が、ブーメランのように反転して戻ってくる。
胸に、ストンと落ちる。
じん。神。神宗一郎。
脳裏にひらめくあたたかな笑顔。そのぬくもり。
懐かしい。愛しい。
胸がぽかぽかする、その名前。
『そ……う、せん……ぱい?』
『うん……! そうだよ、伊織ちゃん』
手に強い力を感じた。
そのとたんに、雷に打たれたように伊織の体を電流が駆け抜けた。