15
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
宗一郎が気まずい気持ちをごまかすように、咳払いをした。
信長が不思議そうに首をかしげていると、宗一郎の苦しいような切ないような瞳と視線がぶつかった。
困惑を深める信長に、宗一郎がゆっくりと唇を持ち上げる。
「お前も、ほんとうは伊織ちゃんのことが好きだったんだろ?」
「――!」
予想外のその言葉に信長は目を瞠った。
一瞬呼吸が止まった。
驚いた。
まさか気付かれていたなんて。
「はは、何言ってんスか神さん。オレはまりあちゃんが……」
「いいよ、嘘つかなくて」
「神さん……」
とっさにごまかそうとした言葉は、あっさり否定される。
宗一郎の静かな目を見て思う。
これはダメだ。
こうなるともうごまかせない。
信長は観念したようにふうと吐息を漏らした。
「……いつ、気付いたんスか」
「今日、体育館で。もしかしたらそうなのかなって」
「…………」
信長は自身の行動を顧みた。
そして小さく嘆息する。
たしかに、あれでは気付かれても仕方がなかった。
「ごめんな、ノブ。俺は自分のことでいっぱいいっぱいだったのに、お前は俺のことまで……」
「神さん……。いいんスよ、本当に」
つらそうに双眸を絞る宗一郎に、信長は勝気に笑って見せる。
「それに、オレは伊織のためにしたことッスから。……これから、オレの分も伊織を大切にしてくれれば、それでいいッス」
「伊織ちゃんが俺を受け入れてくれるかどうかわからないけどね」
「大丈夫ッスよ、神さん! 神さんなら大丈夫ッス! なんてったって神さんはオレの自慢の先輩ッスよ!?」
「……ありがとう、ノブ。俺も、お前が自慢の後輩だよ」
「! 神さん……!」
信長の視界が滲んだ。
嬉しかった。
宗一郎にそんな風に言ってもらえて。
宗一郎の手が信長の頭に伸びてきたと思うと、それはわしゃわしゃとそこを乱暴に撫でて離れていった。
視線の先の宗一郎が、いつもの笑顔で微笑む。
「じゃあ、伊織ちゃんに会ってくるよ」
「はい!」
伊織の部屋に入っていく宗一郎のその背中を、信長は頼もしさを感じながら見守っていた。
宗一郎は部屋に入った瞬間に小さく息を呑んだ。
薄暗い、電球色の明かりだけがともる部屋。
そこに虚ろな表情でベッドに身を起こして、虚空を見つめる伊織。
ぎゅっと胸が締まる。
久しぶりに見る伊織はなんだか少し瘠せたようだった。
宗一郎はゆっくりとそちらへ歩み寄ると、ベッド脇のイスに腰を降ろす。
近くに座っても、伊織はこちらを振り向きもしない。
世界の全てを見るまいと拒絶するように曇らせた瞳。
全てのものと関係を拒もうと固く引き結ばれた唇。
信長が不思議そうに首をかしげていると、宗一郎の苦しいような切ないような瞳と視線がぶつかった。
困惑を深める信長に、宗一郎がゆっくりと唇を持ち上げる。
「お前も、ほんとうは伊織ちゃんのことが好きだったんだろ?」
「――!」
予想外のその言葉に信長は目を瞠った。
一瞬呼吸が止まった。
驚いた。
まさか気付かれていたなんて。
「はは、何言ってんスか神さん。オレはまりあちゃんが……」
「いいよ、嘘つかなくて」
「神さん……」
とっさにごまかそうとした言葉は、あっさり否定される。
宗一郎の静かな目を見て思う。
これはダメだ。
こうなるともうごまかせない。
信長は観念したようにふうと吐息を漏らした。
「……いつ、気付いたんスか」
「今日、体育館で。もしかしたらそうなのかなって」
「…………」
信長は自身の行動を顧みた。
そして小さく嘆息する。
たしかに、あれでは気付かれても仕方がなかった。
「ごめんな、ノブ。俺は自分のことでいっぱいいっぱいだったのに、お前は俺のことまで……」
「神さん……。いいんスよ、本当に」
つらそうに双眸を絞る宗一郎に、信長は勝気に笑って見せる。
「それに、オレは伊織のためにしたことッスから。……これから、オレの分も伊織を大切にしてくれれば、それでいいッス」
「伊織ちゃんが俺を受け入れてくれるかどうかわからないけどね」
「大丈夫ッスよ、神さん! 神さんなら大丈夫ッス! なんてったって神さんはオレの自慢の先輩ッスよ!?」
「……ありがとう、ノブ。俺も、お前が自慢の後輩だよ」
「! 神さん……!」
信長の視界が滲んだ。
嬉しかった。
宗一郎にそんな風に言ってもらえて。
宗一郎の手が信長の頭に伸びてきたと思うと、それはわしゃわしゃとそこを乱暴に撫でて離れていった。
視線の先の宗一郎が、いつもの笑顔で微笑む。
「じゃあ、伊織ちゃんに会ってくるよ」
「はい!」
伊織の部屋に入っていく宗一郎のその背中を、信長は頼もしさを感じながら見守っていた。
宗一郎は部屋に入った瞬間に小さく息を呑んだ。
薄暗い、電球色の明かりだけがともる部屋。
そこに虚ろな表情でベッドに身を起こして、虚空を見つめる伊織。
ぎゅっと胸が締まる。
久しぶりに見る伊織はなんだか少し瘠せたようだった。
宗一郎はゆっくりとそちらへ歩み寄ると、ベッド脇のイスに腰を降ろす。
近くに座っても、伊織はこちらを振り向きもしない。
世界の全てを見るまいと拒絶するように曇らせた瞳。
全てのものと関係を拒もうと固く引き結ばれた唇。