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夢小説設定
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「ノブ……? 来てたのか」
「じ、神さん」
目の前の宗一郎が瞳を細めて信長を見てくる。
「ノブ。今日、仙道が俺に会いに来たよ」
「仙道が?」
「仙道にいろいろ言ってくれたんだって?」
「あ、いや……。たいしたこと言ってないっス。結局なんもできなかったし」
「そんなことないよ。俺がいまここにいるのはノブのおかげだ。ありがとう、ノブ」
優しく微笑む宗一郎。
それはいつもの宗一郎の笑顔だった。
強くて優しい、信長の尊敬する宗一郎。
その表情には、さっき体育館で話したときには確かに存在していた迷いが微塵も見られなかった。
わき立つような喜びが信長の体の中心から全身に一気に駆け抜ける。
戻ってきた。
いつもの宗一郎が。
戻って、伊織に会いに来てくれた。
嬉しさに胸がつまる。
視界が歪む。
「神さん……!」
感極まって信長は宗一郎に抱きついた。
「うわっと」
信長は宗一郎より10cmは低いとはいえ、日々鍛えている体に思いっきりタックルされる不意打ちに、さすがの宗一郎も少しよろめいた。
信長はそれにもお構いなしに宗一郎にしがみついて、涙を流して鼻をすする。
「う~、神さん! よかった……よかったッスよ~!」
「はは、泣くなよ、ノブ。……情けない先輩で、迷惑かけてごめんな」
「いいんス! こうやって来てくれたんスからいいんスよ! うわーん、神さーん!」
「……これは困ったな……」
神さん大好きッスー! と信長が泣きながらしがみついていると、弱ったような宗一郎の声が上から聞こえてきた。
それにハッと我に返った信長は、慌てて宗一郎から離れる。
「そ、そうっスよね。伊織に会いに来てるのに、オレが神さんひとりじめとか意味わかんないっスよね……!」
「ん。まあ、そうだね」
笑いながら言う宗一郎に、信長は表情をあらためた。
ぐいっと涙をぬぐう。
宗一郎の瞳を真剣に見つめて、信長は言う。
「伊織をよろしく頼むっス」
「うん……」
言って宗一郎は部屋に入ろうとして、ぴたりと足を止めた。
「?」
信長は不思議そうに首をひねる。
「神さん、どうしたんッスか」
ハッ、まさかまた怖いとか言い出すんじゃ……と信長が呟いたら、宗一郎のゲンコツが落ちてきた。
いってーとうずくまる信長の上に、困ったような恥ずかしむような宗一郎の声が降ってくる。
「バカ、違うよ。……お前にちゃんと謝りたくて」
「? え? あんときベソかいてたことッスか?」
「……いや、そのことじゃなくて」
「?」