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夢小説設定
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宗一郎が声を震わせて、けれどきっぱりと断言した。
信長がハッと息を呑む。
「神さん……」
「ごめん、ノブ」
言って宗一郎はくるりと信長に背を向けた。
なんの力にもなれない自分が、とても伊織にあわせる顔などなかった。
練習を再開しようとする宗一郎の背中を、信長は気遣うように見つめた。
しかし、次第にその胸にイライラが募りはじめる。
ダメなのに。
自分だけじゃなくて、伊織は仙道でもまりあでも牧でも小百合でも、なんの反応も示さないのに。
話しかければ振り向くし、笑いかければ見つめてくれるけど、その瞳にはなにも宿っていない。
ただ意思のない瞳を向けて、ぼんやりと見つめ返すだけ。
きっと伊織は宗一郎を待ってる。
それなのに当の宗一郎がこれじゃあ伊織がかわいそうだ。
信長の中の怒りが静かに爆ぜた。
ぎゅっとこぶしを握りこむ。
「なんスか神さん、それ……! なんなんスか!」
「ノブ」
宗一郎が驚いて再び振り向いた。
信長は宗一郎になんとか伊織の元へ行って欲しくて、その願いを込めて必死に叫ぶ。
「情けないっスよ、神さん! 神さんはいつだって伊織の心の中にいるのに……! なのに神さんがそんなんでどうするんスか! 今一番ツライのは、今一番苦しんでるのは、他でもない伊織なんスよ!? 忘れられてるのが怖いって、もしも会いに行って忘れられてたんなら、そんなの神さんが何度だって思い出させてやればいいじゃないっスか!!」
その言葉にハッと宗一郎が目を瞠った。
「…………」
でもそれも一瞬で、宗一郎はすぐに信長から視線を逸らして下を向く。
届かない。
信長ははっきりとそう理解した。
自分の声じゃ、宗一郎には届かない。
宗一郎にしか伊織を元気にすることはできないのに。
(くそっ! なんで……!)
悔しい。
自分にはなんの力もない。
信長は唇を噛んだ。
「……なんでそんな弱気になってるんスか! 伊織のこと、ほんとうに大事に思ってるんだったらそんなこと……!」
信長はぎりっと宗一郎を見据えた。
「もーいいっスよ! 神さんのバカヤローっ!!」
それだけ叫ぶと、信長は体育館を走り去った。
「…………」
宗一郎は信長の背中が見えなくなると、ずるずると座り込んだ。
すぐそばに転がっていたボールを持ち上げて、顔を隠すように額に乗せる。
「情けない……か」
はは、と宗一郎は自嘲した。
ほんとうに信長の言うとおりだ。
伊織のそばにいるって、言ったのに。
信長がハッと息を呑む。
「神さん……」
「ごめん、ノブ」
言って宗一郎はくるりと信長に背を向けた。
なんの力にもなれない自分が、とても伊織にあわせる顔などなかった。
練習を再開しようとする宗一郎の背中を、信長は気遣うように見つめた。
しかし、次第にその胸にイライラが募りはじめる。
ダメなのに。
自分だけじゃなくて、伊織は仙道でもまりあでも牧でも小百合でも、なんの反応も示さないのに。
話しかければ振り向くし、笑いかければ見つめてくれるけど、その瞳にはなにも宿っていない。
ただ意思のない瞳を向けて、ぼんやりと見つめ返すだけ。
きっと伊織は宗一郎を待ってる。
それなのに当の宗一郎がこれじゃあ伊織がかわいそうだ。
信長の中の怒りが静かに爆ぜた。
ぎゅっとこぶしを握りこむ。
「なんスか神さん、それ……! なんなんスか!」
「ノブ」
宗一郎が驚いて再び振り向いた。
信長は宗一郎になんとか伊織の元へ行って欲しくて、その願いを込めて必死に叫ぶ。
「情けないっスよ、神さん! 神さんはいつだって伊織の心の中にいるのに……! なのに神さんがそんなんでどうするんスか! 今一番ツライのは、今一番苦しんでるのは、他でもない伊織なんスよ!? 忘れられてるのが怖いって、もしも会いに行って忘れられてたんなら、そんなの神さんが何度だって思い出させてやればいいじゃないっスか!!」
その言葉にハッと宗一郎が目を瞠った。
「…………」
でもそれも一瞬で、宗一郎はすぐに信長から視線を逸らして下を向く。
届かない。
信長ははっきりとそう理解した。
自分の声じゃ、宗一郎には届かない。
宗一郎にしか伊織を元気にすることはできないのに。
(くそっ! なんで……!)
悔しい。
自分にはなんの力もない。
信長は唇を噛んだ。
「……なんでそんな弱気になってるんスか! 伊織のこと、ほんとうに大事に思ってるんだったらそんなこと……!」
信長はぎりっと宗一郎を見据えた。
「もーいいっスよ! 神さんのバカヤローっ!!」
それだけ叫ぶと、信長は体育館を走り去った。
「…………」
宗一郎は信長の背中が見えなくなると、ずるずると座り込んだ。
すぐそばに転がっていたボールを持ち上げて、顔を隠すように額に乗せる。
「情けない……か」
はは、と宗一郎は自嘲した。
ほんとうに信長の言うとおりだ。
伊織のそばにいるって、言ったのに。