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慌てて押さえたおでこを痛いからだと勘違いしたのだろう。宗一郎は、したり顔で笑う。
「ね? ちょっとつついただけでそんなに痛むんだから、早く冷やしておいで。さ、ノブ運ぶよ。いじけてないではやく立ち上がって」
宗一郎は、この話はもう終わりとばかりにクサッていた信長を立ち上がらせると、信長とふたり得点板を運び始めた。
(じ、神先輩って……)
伊織はしばらく呆然とその場に立ち尽くしていたが、はっと我に返ると、急いで外水道へ向かった。
赤く上気した頬を冷やすように、冷たい水を顔全部で受け止める。
びっくりした。まさか宗一郎が自分のおでこにふれるなんて。
「~~~~っ!」
思い出しただけで再び顔に熱が集まる。心臓が激しく脈打つ。
「…………」
伊織は雑念を振り払うように、勢いよく顔を横に振った。水が飛沫となって左右に飛び散る。
好きになってはいけない。心を動かしてはいけない。
それなのに。
(どうしよう。神先輩は、まりあちゃんの好きな人なのに)
こんなのって、困る。
伊織はもう一度大きく首を振ると、感情にふたをするようにきつく目を閉じた。
同時刻。体育館から飛び出してくる伊織から隠れるように、まりあは物陰に身をひそめた。
(どういうこと? これは、どういうことなの……!?)
まりあは信じられない思いで、先ほど見た光景を頭の中で繰り返す。
嫌な予感がする。
宗一郎に頬を染める伊織は、この際どうだっていい。
そんなことより、問題なのは宗一郎のほうだ。
まりあはドクドクと早くなる心臓を感じた。
言いようのない不安が、まりあの体を駆け巡る。
いつも宗一郎だけを見てきたからわかる。
宗一郎は確かに女の子に優しいしよく話しもする。だけど、あんな風に楽しそうに話しているのは伊織が初めてだ。
(じょうだんじゃない……っ!)
ドリンクを持つ手が震える。胸が、締め付けられるように痛む。
――このままではいけない。このままでは。
今ならまだ間に合う。
早く。取り返しがつかなくなる前に、早くなんとかしなくては。
普段からは想像もつかない顔で、まりあはおでこを冷やす伊織を睨みつけた。
(絶対に、絶対に許さない……)
「伊織ちゃんなんかに、宗ちゃんは渡さないんだから……っ!」
吐き出すようにつぶやくと、まりあは体育館へときびすを返した。
To be continued…
「ね? ちょっとつついただけでそんなに痛むんだから、早く冷やしておいで。さ、ノブ運ぶよ。いじけてないではやく立ち上がって」
宗一郎は、この話はもう終わりとばかりにクサッていた信長を立ち上がらせると、信長とふたり得点板を運び始めた。
(じ、神先輩って……)
伊織はしばらく呆然とその場に立ち尽くしていたが、はっと我に返ると、急いで外水道へ向かった。
赤く上気した頬を冷やすように、冷たい水を顔全部で受け止める。
びっくりした。まさか宗一郎が自分のおでこにふれるなんて。
「~~~~っ!」
思い出しただけで再び顔に熱が集まる。心臓が激しく脈打つ。
「…………」
伊織は雑念を振り払うように、勢いよく顔を横に振った。水が飛沫となって左右に飛び散る。
好きになってはいけない。心を動かしてはいけない。
それなのに。
(どうしよう。神先輩は、まりあちゃんの好きな人なのに)
こんなのって、困る。
伊織はもう一度大きく首を振ると、感情にふたをするようにきつく目を閉じた。
同時刻。体育館から飛び出してくる伊織から隠れるように、まりあは物陰に身をひそめた。
(どういうこと? これは、どういうことなの……!?)
まりあは信じられない思いで、先ほど見た光景を頭の中で繰り返す。
嫌な予感がする。
宗一郎に頬を染める伊織は、この際どうだっていい。
そんなことより、問題なのは宗一郎のほうだ。
まりあはドクドクと早くなる心臓を感じた。
言いようのない不安が、まりあの体を駆け巡る。
いつも宗一郎だけを見てきたからわかる。
宗一郎は確かに女の子に優しいしよく話しもする。だけど、あんな風に楽しそうに話しているのは伊織が初めてだ。
(じょうだんじゃない……っ!)
ドリンクを持つ手が震える。胸が、締め付けられるように痛む。
――このままではいけない。このままでは。
今ならまだ間に合う。
早く。取り返しがつかなくなる前に、早くなんとかしなくては。
普段からは想像もつかない顔で、まりあはおでこを冷やす伊織を睨みつけた。
(絶対に、絶対に許さない……)
「伊織ちゃんなんかに、宗ちゃんは渡さないんだから……っ!」
吐き出すようにつぶやくと、まりあは体育館へときびすを返した。
To be continued…