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夢小説設定
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「伊織ちゃん……?」
「あの、ごめんなさい。誰ですか……?」
「え?」
目の前の男の人が、目を見開いて固まった。
伊織はその表情になんだか胸を締め付けられながら、それでも言葉をつなぐ。
「ご、ごめんなさい、わたしあなたの事知りません! あの、ファンの人かなにかですか?」
恐る恐る言う伊織に、今度は違う声が飛び込んできた。
長い髪をヘアバンドで止めて、きりりと上がった眉が勝気な印象の元気な少年だった。
「何言ってんだよ、伊織! この人は神さんだよ! お前ふざけてんじゃねえよ」
その剣幕に伊織はさらに一歩後ずさった。
誰だろう。わからない。怖い。
「あの、ごめんなさい、本当にわかりません。あなたもいったい誰なんですか?」
「はあ!? 伊織、てめえふざけんのもたいがいにしろよ!?」
怒って距離をつめる信長に、伊織は怯えたように悲鳴を上げる。
「やっ! 来ないでください! あなた誰なんですか!? ファンの人じゃないって言うなら、いったいなんでわたしのことを知ってるんです?」
「伊織……お前……」
信長は、そこで初めて伊織がふざけてるんじゃないということに気がついた。
なんだこれは。どういうことだ。
(まさか、記憶喪失……?)
そんなバカな。
信長が愕然としたとき、体育館入り口から呑気な声が響いた。
「こんにちは~ってあれ? 何この雰囲気」
海南のバスケ部専用体育館に足を踏み入れた仙道は、そこに広がるただならぬ空気に眉を寄せた。
「もしかしてオレ、今日来たらマズかったか……?」
言って仙道は体育館を見渡す。
と、後輩の彦一の姉であり、週刊バスケットボール編集記者の相田弥生を見つけた。
「あれ、相田さん?」
「仙道くん! あなたどうしてここに?」
「仙道……?」
その言葉に振り返った伊織と、仙道は視線がぶつかった。
仙道はにこっと微笑む。
「伊織ちゃん、やっほ~」
「……彰さんっ!」
伊織は叫ぶと、仙道の胸に飛び込んできた。
「うわっ!?」
突然のことに仙道は驚きながらも、伊織をしっかり抱きとめた。
しかし普段の伊織とはかけ離れたこの行動に、仙道はひどく頭を混乱させる。