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宗一郎は少し怒ったようにまりあを見る。
今回は負けじとまりあもその視線を見返した。
「なによう、だって実際伊織ちゃん、宗ちゃんともノブくんともすっごく仲良いじゃない。色目使っちゃってさ」
「まりあ。俺は一度も伊織ちゃんに色目を使われたことなんかないよ。ノブ、お前もだろ?」
「はい。まりあちゃん、それは言いすぎ」
珍しく信長も険しい表情でまりあを見た。
まりあはそれに、若干ひるむ。
「な、なによう、みんなして伊織ちゃんの肩持って……」
「まあ、鈴村の日ごろの行いだな。そうヘコむな雪原」
幼い子を見守る保護者のような微笑を浮かべて、牧がまりあの頭にぽんと手をのせた。
牧さん! とまりあが甘えるように牧に抱きつき、信長と宗一郎にべっとかわいらしく舌を出す。
牧はそれを見て苦笑すると、まりあを腰から引き剥がし、言った。
「でも、鈴村ならあんなに頼まれたらしぶしぶでも承諾しそうなもんだが……めずらしいな」
「…………」
その場をしばらくの間、沈黙が支配した。
保健室。
保険医は今日は出張らしく不在だった。
伊織は小百合の案内でベッドにはいると、ぐったりとそこに横になった。
吐き気は一時的なものだったのか、少しおなかのものを吐き出したら嘘みたいに楽になったが、どうにも気分が沈んでしょうがなかった。
「伊織ちゃん大丈夫?」
「はい……。すみません、小百合先輩」
「気にしなくていいわ。それよりも、本当に大丈夫?」
「……はい」
伊織は布団をかぶりながら答えた。
その様子に、小百合が心配そうに瞳を細める。
「……ケガのことだけでも、言えばよかったのに」
「…………」
「事情を言えば、あんな風に言われることもなかったわよ、きっと」
「……たしかに、そうかもしれません」
布団でくぐもった声で伊織は答えた。
たしかに、ケガのことを言えばあんなに罵倒されることもなかっただろう。
だけど、ケガした事情をうまくごまかして伝える自信が伊織にはなかった。
かといってテニスのことまで話すこともできない。
そんなことしたら、自分は絶対に取り乱してしまう。平静でいられる自信がなかった。
もうすこしだけ、過去と立ち向かうには時間が必要だった。
小百合は布団の下で動かずにいる伊織を見て、慎重に言葉を選びながら口を開く。
「でも、そうよね……。伊織ちゃんの気持ちを考えたらそれも酷よね……」
伊織は布団から顔は出さずにぷるぷると首を振った。
小百合が苦笑をする気配が伝わってくる。
「伊織ちゃんが一番つらいのに、あんな風に言われて……。ほんとうにつらかったわね」
「……はい」
小百合のその言葉に、伊織は涙が溢れてくるのを感じた。
小百合の手がそっと優しく頭を撫でてくれる。
「伊織ちゃん、ここで少し休んでなさい。わたしは部活に顔を出してくるから。早退しても構わないけど、帰る前に一度体育館に顔だけ出してね? じゃあ、わたしもう行くわね」
今回は負けじとまりあもその視線を見返した。
「なによう、だって実際伊織ちゃん、宗ちゃんともノブくんともすっごく仲良いじゃない。色目使っちゃってさ」
「まりあ。俺は一度も伊織ちゃんに色目を使われたことなんかないよ。ノブ、お前もだろ?」
「はい。まりあちゃん、それは言いすぎ」
珍しく信長も険しい表情でまりあを見た。
まりあはそれに、若干ひるむ。
「な、なによう、みんなして伊織ちゃんの肩持って……」
「まあ、鈴村の日ごろの行いだな。そうヘコむな雪原」
幼い子を見守る保護者のような微笑を浮かべて、牧がまりあの頭にぽんと手をのせた。
牧さん! とまりあが甘えるように牧に抱きつき、信長と宗一郎にべっとかわいらしく舌を出す。
牧はそれを見て苦笑すると、まりあを腰から引き剥がし、言った。
「でも、鈴村ならあんなに頼まれたらしぶしぶでも承諾しそうなもんだが……めずらしいな」
「…………」
その場をしばらくの間、沈黙が支配した。
保健室。
保険医は今日は出張らしく不在だった。
伊織は小百合の案内でベッドにはいると、ぐったりとそこに横になった。
吐き気は一時的なものだったのか、少しおなかのものを吐き出したら嘘みたいに楽になったが、どうにも気分が沈んでしょうがなかった。
「伊織ちゃん大丈夫?」
「はい……。すみません、小百合先輩」
「気にしなくていいわ。それよりも、本当に大丈夫?」
「……はい」
伊織は布団をかぶりながら答えた。
その様子に、小百合が心配そうに瞳を細める。
「……ケガのことだけでも、言えばよかったのに」
「…………」
「事情を言えば、あんな風に言われることもなかったわよ、きっと」
「……たしかに、そうかもしれません」
布団でくぐもった声で伊織は答えた。
たしかに、ケガのことを言えばあんなに罵倒されることもなかっただろう。
だけど、ケガした事情をうまくごまかして伝える自信が伊織にはなかった。
かといってテニスのことまで話すこともできない。
そんなことしたら、自分は絶対に取り乱してしまう。平静でいられる自信がなかった。
もうすこしだけ、過去と立ち向かうには時間が必要だった。
小百合は布団の下で動かずにいる伊織を見て、慎重に言葉を選びながら口を開く。
「でも、そうよね……。伊織ちゃんの気持ちを考えたらそれも酷よね……」
伊織は布団から顔は出さずにぷるぷると首を振った。
小百合が苦笑をする気配が伝わってくる。
「伊織ちゃんが一番つらいのに、あんな風に言われて……。ほんとうにつらかったわね」
「……はい」
小百合のその言葉に、伊織は涙が溢れてくるのを感じた。
小百合の手がそっと優しく頭を撫でてくれる。
「伊織ちゃん、ここで少し休んでなさい。わたしは部活に顔を出してくるから。早退しても構わないけど、帰る前に一度体育館に顔だけ出してね? じゃあ、わたしもう行くわね」