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伊織はおそるおそる顔を上げる。
涙ぐむつかさの顔が、まるで矢のように伊織の視界に突き刺さった。
胸に鋭い痛みが走る。
「……っ! あの、先輩……」
伊織が何かを言いかけたそのとき、突然右頬に弾かれるような衝撃を感じた。
体育館にぱあんという音が響き渡る。
「伊織ちゃん!」
「おい伊織、大丈夫か!?」
近くにいた宗一郎と信長が、驚いて伊織に駆け寄る。
目を見開いて頬を押さえる伊織に、宗一郎が心配そうに、大丈夫? と声をかける。
それを見て、信長がつかさに向き直った。
「おい、あんたの気持ちもわかるけど、何も叩くこたねぇだろ!? 伊織はイヤだっつってんだよ!」
「ノブ! やめて!」
つかさに食って掛かる信長を伊織は慌てて制止した。
その伊織に、つかさが鋭い視線を向ける。
その目に浮かぶ深く傷ついた色に、伊織の胸がずきりと音を立てた。
「せんぱい……」
「……によ」
つかさが瞳いっぱいに涙をためて、声を荒げて叫んだ。
「なによ! こんだけ頼んでるのに! わたしたちの……ゆめ、なのにっ! バスケ部のマネージャーなんてどうせ男目当てなんでしょ!? 現に今だって男二人に庇われちゃって……そうやってちやほやされて楽しんでるんだ!」
「なっ、ちがいます!」
「どうだか! それとも何!? 一生懸命やってるのを見てあざ笑ってでもいるわけ!? あなたはいいわよね、たいした努力もしないでそんなに上手で! 必死に泥臭く練習しないと上手くなれない、それでもあなたに簡単に抜かれちゃうようなわたしたちをみて、優越感に浸って楽しんでるんでしょ!? バッカみたいって!」
「なっ……!」
あまりの言い草に伊織は絶句した。
ひどすぎる。ほとんど言いがかりだ。
「違います! わたし、そんなこと思ってません! わたしはちゃんと心からサポートしたいと思って……!」
「うるさいっ! なにが心からよ、なにがサポートよ! こっちには協力してもくれないくせに……! あんたなんか、あんたなんか……その運動神経とったらなんにも残んないような平々凡々な子のクセして! お高くとまってんじゃないわよ!」
「!」
その言葉に、心臓がとまったような気がした。
つかさは伊織を強く押すと、涙を流してその場を駆け去った。
伊織はその衝撃をぼんやりと感じながら、呆然とその場に立ち尽くした。
何かが記憶の奥底で揺らめいた。
聞いたことがある。
その種の言葉。
いつ。どこで。どんなふうに。
『あんたなんか――のクセして!』
「!!」
伊織は反射的に耳を塞いだ。
だめだ。思い出しちゃいけない。思い出しちゃいけない。
その記憶のふたは、開けてはいけない……!
「伊織ちゃん!」
ふいに、宗一郎の声が耳に飛び込んできた。
どうやら自分は倒れこみそうになっていたらしい。
自分の体を支えてくれている宗一郎に、伊織は蒼白な顔を向けた。
宗一郎の顔が、心配そうに歪んでいる。
涙ぐむつかさの顔が、まるで矢のように伊織の視界に突き刺さった。
胸に鋭い痛みが走る。
「……っ! あの、先輩……」
伊織が何かを言いかけたそのとき、突然右頬に弾かれるような衝撃を感じた。
体育館にぱあんという音が響き渡る。
「伊織ちゃん!」
「おい伊織、大丈夫か!?」
近くにいた宗一郎と信長が、驚いて伊織に駆け寄る。
目を見開いて頬を押さえる伊織に、宗一郎が心配そうに、大丈夫? と声をかける。
それを見て、信長がつかさに向き直った。
「おい、あんたの気持ちもわかるけど、何も叩くこたねぇだろ!? 伊織はイヤだっつってんだよ!」
「ノブ! やめて!」
つかさに食って掛かる信長を伊織は慌てて制止した。
その伊織に、つかさが鋭い視線を向ける。
その目に浮かぶ深く傷ついた色に、伊織の胸がずきりと音を立てた。
「せんぱい……」
「……によ」
つかさが瞳いっぱいに涙をためて、声を荒げて叫んだ。
「なによ! こんだけ頼んでるのに! わたしたちの……ゆめ、なのにっ! バスケ部のマネージャーなんてどうせ男目当てなんでしょ!? 現に今だって男二人に庇われちゃって……そうやってちやほやされて楽しんでるんだ!」
「なっ、ちがいます!」
「どうだか! それとも何!? 一生懸命やってるのを見てあざ笑ってでもいるわけ!? あなたはいいわよね、たいした努力もしないでそんなに上手で! 必死に泥臭く練習しないと上手くなれない、それでもあなたに簡単に抜かれちゃうようなわたしたちをみて、優越感に浸って楽しんでるんでしょ!? バッカみたいって!」
「なっ……!」
あまりの言い草に伊織は絶句した。
ひどすぎる。ほとんど言いがかりだ。
「違います! わたし、そんなこと思ってません! わたしはちゃんと心からサポートしたいと思って……!」
「うるさいっ! なにが心からよ、なにがサポートよ! こっちには協力してもくれないくせに……! あんたなんか、あんたなんか……その運動神経とったらなんにも残んないような平々凡々な子のクセして! お高くとまってんじゃないわよ!」
「!」
その言葉に、心臓がとまったような気がした。
つかさは伊織を強く押すと、涙を流してその場を駆け去った。
伊織はその衝撃をぼんやりと感じながら、呆然とその場に立ち尽くした。
何かが記憶の奥底で揺らめいた。
聞いたことがある。
その種の言葉。
いつ。どこで。どんなふうに。
『あんたなんか――のクセして!』
「!!」
伊織は反射的に耳を塞いだ。
だめだ。思い出しちゃいけない。思い出しちゃいけない。
その記憶のふたは、開けてはいけない……!
「伊織ちゃん!」
ふいに、宗一郎の声が耳に飛び込んできた。
どうやら自分は倒れこみそうになっていたらしい。
自分の体を支えてくれている宗一郎に、伊織は蒼白な顔を向けた。
宗一郎の顔が、心配そうに歪んでいる。