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(そういえば、神先輩さっきなに言ってたのかな……)
ふと、先ほどの宗一郎の会話を思い出す。最後、何を言っているのか聞き取れなかった。
もしも、信長を自転車に乗せることで宗一郎に変な罪悪感を抱かせているのだとしたら、こっちが申し訳なくなってしまう。
さっき宗一郎に説明したとおり、ほんとうについでだから乗せてあげてるだけなのだから。
(ま、でもそんなに深く考えなくても、神先輩なら大丈夫よね。うん。別に悪いことしてるわけじゃないし)
そんなことをのんきに考えていると、突然押していた得点板が何かにひっかかり動かなくなった。
「わっ!?」
体重を前に預けていた伊織は、急な停止についていけず体勢を崩した。
考え事をしていたこともあって、受身を取ることもできない。
(ぶつかる……っ!)
目の前に迫る床に覚悟を決めたのと同時に、強烈な痛みが伊織の頭を襲い、ごつーんという大きな音が体育館中に響き渡った。
体育館にいた全員が、いっせいに伊織のほうを振り返る。
「いったぁー……」
「伊織ちゃん!? 大丈夫!?」
一番近くにいた小百合が、おでこを抑えてうずくまる伊織に駆け寄った。
は、恥ずかしい……! 穴があったら入りたい!
伊織は痛みと羞恥で目尻に浮かぶ涙を零さないよう、なんとか堪えながら、それを隠すように小百合に笑顔を作った。
「へへ、すみません先輩……。ちょっと得点板が金具に引っかかったみたいで……。あ、でも得点板は無事なんで、そこは安心してください!」
「何言ってるの伊織ちゃん! 得点板なんかどうでもいいのよ! おでこを打ったの? ケガはない? 大丈夫?」
「だ、大丈夫です」
「そう? まあ、見たところ大きな怪我もないようだけど……。そもそも、この得点板を一人で運ぼうなんて無茶よ。わたし、急いで今やってるビブスの準備終わらせてきちゃうから、それまでここで待っていて? ね?」
「は、はい」
(ああ、小百合先輩はなんて優しいんだろう……)
伊織の返事を聞いて大急ぎで駆け出してゆく小百合の背中を見つめながら、伊織は思った。
まるで女神様のようだ。
と、そのとき。遠くで甲高い笑い声が聞こえた。
信長だ。
「ぷーっ! だっせえ~! 何やってるんだよ伊織」
「るっさいな! ちょっと引っかかっちゃったの!」
「だからって顔から行くかあ? 顔から! やっぱりドジだ! ドジすぎる~~っ!」
「しょうがないでしょ!? この得点板すっごく重くて全体重かけて押してたんだから! 受身なんか取る暇なかったっつーの!」
「かっかっかっ! 修行が足りんのよ、修行が」
「くぅ~~、むかつく~~っ!」
高らかに笑う信長に、伊織は不機嫌に鼻にしわを寄せた。
だってしょうがないじゃないか。ほんとうにほんとうに、尋常じゃないくらい重かったんだから。
一向に笑いやまない信長にいい加減痺れを切らし伊織が拳を震わせていると、その信長の頭に別のゲンコツが振った。
「ぐえっ」
伊織が驚いて上げた視線の先に、握りこぶしをほどいた手をひらひらさせている宗一郎がいた。
宗一郎は伊織と目が合うと、今信長を殴った本人とは思えないくらい爽やかに微笑んだ。綺麗な細くて長い指を、流れるようなしぐさで自分のおでこに持っていく。
「伊織ちゃん大丈夫? さっきすごい勢いで床にダイブしてたよね。おでこ、すっごい真っ赤になってるけど」
「はっ! 大丈夫です!」
ふと、先ほどの宗一郎の会話を思い出す。最後、何を言っているのか聞き取れなかった。
もしも、信長を自転車に乗せることで宗一郎に変な罪悪感を抱かせているのだとしたら、こっちが申し訳なくなってしまう。
さっき宗一郎に説明したとおり、ほんとうについでだから乗せてあげてるだけなのだから。
(ま、でもそんなに深く考えなくても、神先輩なら大丈夫よね。うん。別に悪いことしてるわけじゃないし)
そんなことをのんきに考えていると、突然押していた得点板が何かにひっかかり動かなくなった。
「わっ!?」
体重を前に預けていた伊織は、急な停止についていけず体勢を崩した。
考え事をしていたこともあって、受身を取ることもできない。
(ぶつかる……っ!)
目の前に迫る床に覚悟を決めたのと同時に、強烈な痛みが伊織の頭を襲い、ごつーんという大きな音が体育館中に響き渡った。
体育館にいた全員が、いっせいに伊織のほうを振り返る。
「いったぁー……」
「伊織ちゃん!? 大丈夫!?」
一番近くにいた小百合が、おでこを抑えてうずくまる伊織に駆け寄った。
は、恥ずかしい……! 穴があったら入りたい!
伊織は痛みと羞恥で目尻に浮かぶ涙を零さないよう、なんとか堪えながら、それを隠すように小百合に笑顔を作った。
「へへ、すみません先輩……。ちょっと得点板が金具に引っかかったみたいで……。あ、でも得点板は無事なんで、そこは安心してください!」
「何言ってるの伊織ちゃん! 得点板なんかどうでもいいのよ! おでこを打ったの? ケガはない? 大丈夫?」
「だ、大丈夫です」
「そう? まあ、見たところ大きな怪我もないようだけど……。そもそも、この得点板を一人で運ぼうなんて無茶よ。わたし、急いで今やってるビブスの準備終わらせてきちゃうから、それまでここで待っていて? ね?」
「は、はい」
(ああ、小百合先輩はなんて優しいんだろう……)
伊織の返事を聞いて大急ぎで駆け出してゆく小百合の背中を見つめながら、伊織は思った。
まるで女神様のようだ。
と、そのとき。遠くで甲高い笑い声が聞こえた。
信長だ。
「ぷーっ! だっせえ~! 何やってるんだよ伊織」
「るっさいな! ちょっと引っかかっちゃったの!」
「だからって顔から行くかあ? 顔から! やっぱりドジだ! ドジすぎる~~っ!」
「しょうがないでしょ!? この得点板すっごく重くて全体重かけて押してたんだから! 受身なんか取る暇なかったっつーの!」
「かっかっかっ! 修行が足りんのよ、修行が」
「くぅ~~、むかつく~~っ!」
高らかに笑う信長に、伊織は不機嫌に鼻にしわを寄せた。
だってしょうがないじゃないか。ほんとうにほんとうに、尋常じゃないくらい重かったんだから。
一向に笑いやまない信長にいい加減痺れを切らし伊織が拳を震わせていると、その信長の頭に別のゲンコツが振った。
「ぐえっ」
伊織が驚いて上げた視線の先に、握りこぶしをほどいた手をひらひらさせている宗一郎がいた。
宗一郎は伊織と目が合うと、今信長を殴った本人とは思えないくらい爽やかに微笑んだ。綺麗な細くて長い指を、流れるようなしぐさで自分のおでこに持っていく。
「伊織ちゃん大丈夫? さっきすごい勢いで床にダイブしてたよね。おでこ、すっごい真っ赤になってるけど」
「はっ! 大丈夫です!」