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これ以上宗一郎を眺めていたら、多分全身真っ赤になってしまう。
宗一郎は伊織が怒ったと思ったのか、笑うのをやめて伊織の右隣りに腰を降ろした。
人が二人なんとか立つのがやっとなスペースで並んで座る。
宗一郎に触れそうな右肩が、ちりちりして熱い。
「伊織ちゃんごめんね、驚かせて。怒った?」
「……いいです、別に。心臓飛び出るかと思いましたけど」
わざと拗ねたように返すと、宗一郎がもう一度はははと笑い声を上げた。
そうして伊織の顔を下から覗き込むようにして、言う。
上目遣いに見上げてくる、その表情。
「ごめんね?」
「…………はい」
ずるいと思う。
そんな顔して言われたら、許さないわけにはいかなくなっちゃう。
宗一郎は伊織の返事に嬉しそうににこりと笑った。
「伊織ちゃん、それ私服? すごく似合ってるね。かわいいよ」
「! あ、ありがとうございます……」
伊織は薄いベージュの長め丈の春ニットとジーンズを着ていた。
シンプルでカジュアルな服装が好みだった。
伊織は私服を褒められて顔を赤くする。
「あの、宗先輩も私服すごく素敵です。大人っぽくてかっこいいです」
「はは、ありがと。――伊織ちゃんのクラスも海で打ち上げだったんだね」
「はい。宗先輩のクラスもですか?」
「そうだよ。ほら、あそこにいるのがうちのクラス」
言って宗一郎の指差すほうを見ると、少し離れたところにたしかに人の頭らしきものがいくつか見えた。
「ああ、じゃあちょうどこの防波堤を挟んで正反対の位置ですね。うちのクラスはあっちです」
伊織はさっきの宗一郎とは逆の方向を指差した。
ちょうど同じくらいの距離感のところに、やはり人の頭らしきものが見えている。
その時、ちょうどその中のひとつが元気よくぴょこっと飛び出した。
それを見て宗一郎が小さく笑う。
「あれ、ノブ? こんなに離れてるのにアイツはすぐわかるね」
「あはは、本当ですね。ノブはほんと元気だな~」
伊織は目を細めて信長の頭を見つめた。
ふいに、宗一郎の手が頬に触れた。
びくりと伊織の体が硬直する。
驚いて宗一郎を見ると、その真剣な瞳と目が合った。
心臓がひときわ大きく拍動して、血液を体中に送る。
「そう、先輩?」
「あ、ああ、ごめん。髪の毛がついてたから」
そう言って宗一郎の手がすっと伊織の頬から離れていった。
伊織はほっと息を吐き出した。
宗一郎のぬくもりが離れていくのと一緒に、緊張がするすると解けていく。
「あ、髪の毛ですか。ありがとうございます」
なんだ、びっくりした。
なにかと思った。
伊織はうるさく騒ぎ立てる心臓をなだめながら、気を取り直すように唇を持ち上げる。
「今日の宗先輩、すっごくかっこよかったです! やっぱり運動神経の良い人はなにをやっても上手いんですね。本当尊敬しちゃいます」
「はは。たまたまサッカーが得意だっただけだよ。それに、それを言うなら伊織ちゃんのほうだよ。ほんとうに運動神経よかったんだね。かっこよかったよ」
「あ、ありがとうございます。やー、でもわたしのことなんかより、宗先輩ですよ! ほんとうにほんとうにかっこよかったです! ――というか、かっこよすぎちゃって……なんだか、宗先輩はわたしなんかとは違う世界のひとなんだなぁってちょっと淋しくなっちゃいました」
「え」
宗一郎は伊織が怒ったと思ったのか、笑うのをやめて伊織の右隣りに腰を降ろした。
人が二人なんとか立つのがやっとなスペースで並んで座る。
宗一郎に触れそうな右肩が、ちりちりして熱い。
「伊織ちゃんごめんね、驚かせて。怒った?」
「……いいです、別に。心臓飛び出るかと思いましたけど」
わざと拗ねたように返すと、宗一郎がもう一度はははと笑い声を上げた。
そうして伊織の顔を下から覗き込むようにして、言う。
上目遣いに見上げてくる、その表情。
「ごめんね?」
「…………はい」
ずるいと思う。
そんな顔して言われたら、許さないわけにはいかなくなっちゃう。
宗一郎は伊織の返事に嬉しそうににこりと笑った。
「伊織ちゃん、それ私服? すごく似合ってるね。かわいいよ」
「! あ、ありがとうございます……」
伊織は薄いベージュの長め丈の春ニットとジーンズを着ていた。
シンプルでカジュアルな服装が好みだった。
伊織は私服を褒められて顔を赤くする。
「あの、宗先輩も私服すごく素敵です。大人っぽくてかっこいいです」
「はは、ありがと。――伊織ちゃんのクラスも海で打ち上げだったんだね」
「はい。宗先輩のクラスもですか?」
「そうだよ。ほら、あそこにいるのがうちのクラス」
言って宗一郎の指差すほうを見ると、少し離れたところにたしかに人の頭らしきものがいくつか見えた。
「ああ、じゃあちょうどこの防波堤を挟んで正反対の位置ですね。うちのクラスはあっちです」
伊織はさっきの宗一郎とは逆の方向を指差した。
ちょうど同じくらいの距離感のところに、やはり人の頭らしきものが見えている。
その時、ちょうどその中のひとつが元気よくぴょこっと飛び出した。
それを見て宗一郎が小さく笑う。
「あれ、ノブ? こんなに離れてるのにアイツはすぐわかるね」
「あはは、本当ですね。ノブはほんと元気だな~」
伊織は目を細めて信長の頭を見つめた。
ふいに、宗一郎の手が頬に触れた。
びくりと伊織の体が硬直する。
驚いて宗一郎を見ると、その真剣な瞳と目が合った。
心臓がひときわ大きく拍動して、血液を体中に送る。
「そう、先輩?」
「あ、ああ、ごめん。髪の毛がついてたから」
そう言って宗一郎の手がすっと伊織の頬から離れていった。
伊織はほっと息を吐き出した。
宗一郎のぬくもりが離れていくのと一緒に、緊張がするすると解けていく。
「あ、髪の毛ですか。ありがとうございます」
なんだ、びっくりした。
なにかと思った。
伊織はうるさく騒ぎ立てる心臓をなだめながら、気を取り直すように唇を持ち上げる。
「今日の宗先輩、すっごくかっこよかったです! やっぱり運動神経の良い人はなにをやっても上手いんですね。本当尊敬しちゃいます」
「はは。たまたまサッカーが得意だっただけだよ。それに、それを言うなら伊織ちゃんのほうだよ。ほんとうに運動神経よかったんだね。かっこよかったよ」
「あ、ありがとうございます。やー、でもわたしのことなんかより、宗先輩ですよ! ほんとうにほんとうにかっこよかったです! ――というか、かっこよすぎちゃって……なんだか、宗先輩はわたしなんかとは違う世界のひとなんだなぁってちょっと淋しくなっちゃいました」
「え」