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夢小説設定
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「ちょ、待って、やめっ! ひゃあ、それ、あはは、反則~! ちょ、ちょっとノブ、まりあちゃん、助けて~」
「うぉら、やめろおまえらっ!」
「伊織ちゃんをいじめるなんてまりあが許さないよ~!」
伊織に助けを求められて、それまで外で傍観者を気取っていた二人が割って入った。
伊織は涙目で二人の後ろに隠れる。
「はあ、はあ、た、助かった。ありがとう、ふたりとも……」
「ってなると思ったかバカ伊織! くらえっ!」
今度は信長が伊織をくすぐり攻めにする。
まりあもにやっと笑ってそれに参戦した。
「ひぃいー、やめ、やめてっ! 息、息が吸えない~っ!」
夜の海に、伊織の悲痛な叫び声と17組の笑い声があがった。
時間が経ってだんだん集団がバラけて来た頃、伊織はひとり17組の輪から外れて、波打ち際を歩いた。
少し遠くに、陸地から海へ向けて縦にまっすぐに伸びた防波堤が見える。
伊織はそこを目指してのんびりと歩いた。
潮風が頬をなぜる。
東京育ちの伊織にとって、海はとても新鮮だった。
ましてや夜の海なんてはじめてだ。
伊織の心がわくわくと弾む。
ここは、海南大附属高校の生徒にとってはなじみの場所らしい。
同じようにどこかのクラスも打ち上げをしているんだろう。遠くの方にいくつかのかたまりが見えた。
伊織は防波堤にたどり着くと、腰までの高さのそれに両手を乗せた。
よっと力を入れて、その上に登る。
ちょうど波打ち際から1メートル位先まで沖に伸びている防波堤の、その先端部分に足を投げ出して座ると、伊織は右肩をぐるっとまわした。
バレーでちょっとはりきりすぎたのか、昔痛めた右肩に多少の違和感を感じた。
でも久々にあんなに思いっきり運動した気がする。正直すごく楽しかった。
右肩の筋肉を少しほぐしてやって軽く揉むと、伊織は足をぷらぷらさせながら海を眺めた。
ゆらゆらと海面がたゆたっているのがわかる。
投げ出された足の下には、海が広がっている。
真っ黒で、何も見えない。
伊織が覗き込むように下を向いたとき、突然その肩を掴まれた。
「わっ」
「きゃあ!」
驚いて肩を飛び上がらせると、はははと軽快な笑い声が耳に届いた。
聞き覚えのあるその声。宗一郎だ。
「そ、宗先輩!? もー、びっくりしたじゃないですか! 海に落っこちたらどうするんですか~……」
バクバクと激しく暴れまわる心臓を必死で抑えながら、伊織は宗一郎を恨めしげに見上げた。
危なかった。ほんとうに危なかった。
本気で落っこちちゃうかと思った。
宗一郎はそんな伊織の心を知ってか知らずか、まだお腹を抱えて笑い声を上げている。
伊織は唇をちょっと尖らせて宗一郎を見た。
宗一郎は私服だった。
黒い薄手のジャケット。その下には白いカットソーを着ている。その首まわりが大きく開いていて、そこから首へ向けて灰色、黒とグラデーションにシャツを重ね着しているのが見える。足元はインディゴのジーンズと茶色のカジュアルシューズ。
私服に身を包んだ宗一郎は、普段よりもぐんと大人っぽく見えた。
どきんとどきんと伊織の心臓が鼓動を早める。
(そ、宗先輩の私服姿かっこいい……!)
あんまり胸がときめきすぎて直視できなくなった伊織は、もったいないと思いつつもふいと視線を宗一郎から逸らした。
「うぉら、やめろおまえらっ!」
「伊織ちゃんをいじめるなんてまりあが許さないよ~!」
伊織に助けを求められて、それまで外で傍観者を気取っていた二人が割って入った。
伊織は涙目で二人の後ろに隠れる。
「はあ、はあ、た、助かった。ありがとう、ふたりとも……」
「ってなると思ったかバカ伊織! くらえっ!」
今度は信長が伊織をくすぐり攻めにする。
まりあもにやっと笑ってそれに参戦した。
「ひぃいー、やめ、やめてっ! 息、息が吸えない~っ!」
夜の海に、伊織の悲痛な叫び声と17組の笑い声があがった。
時間が経ってだんだん集団がバラけて来た頃、伊織はひとり17組の輪から外れて、波打ち際を歩いた。
少し遠くに、陸地から海へ向けて縦にまっすぐに伸びた防波堤が見える。
伊織はそこを目指してのんびりと歩いた。
潮風が頬をなぜる。
東京育ちの伊織にとって、海はとても新鮮だった。
ましてや夜の海なんてはじめてだ。
伊織の心がわくわくと弾む。
ここは、海南大附属高校の生徒にとってはなじみの場所らしい。
同じようにどこかのクラスも打ち上げをしているんだろう。遠くの方にいくつかのかたまりが見えた。
伊織は防波堤にたどり着くと、腰までの高さのそれに両手を乗せた。
よっと力を入れて、その上に登る。
ちょうど波打ち際から1メートル位先まで沖に伸びている防波堤の、その先端部分に足を投げ出して座ると、伊織は右肩をぐるっとまわした。
バレーでちょっとはりきりすぎたのか、昔痛めた右肩に多少の違和感を感じた。
でも久々にあんなに思いっきり運動した気がする。正直すごく楽しかった。
右肩の筋肉を少しほぐしてやって軽く揉むと、伊織は足をぷらぷらさせながら海を眺めた。
ゆらゆらと海面がたゆたっているのがわかる。
投げ出された足の下には、海が広がっている。
真っ黒で、何も見えない。
伊織が覗き込むように下を向いたとき、突然その肩を掴まれた。
「わっ」
「きゃあ!」
驚いて肩を飛び上がらせると、はははと軽快な笑い声が耳に届いた。
聞き覚えのあるその声。宗一郎だ。
「そ、宗先輩!? もー、びっくりしたじゃないですか! 海に落っこちたらどうするんですか~……」
バクバクと激しく暴れまわる心臓を必死で抑えながら、伊織は宗一郎を恨めしげに見上げた。
危なかった。ほんとうに危なかった。
本気で落っこちちゃうかと思った。
宗一郎はそんな伊織の心を知ってか知らずか、まだお腹を抱えて笑い声を上げている。
伊織は唇をちょっと尖らせて宗一郎を見た。
宗一郎は私服だった。
黒い薄手のジャケット。その下には白いカットソーを着ている。その首まわりが大きく開いていて、そこから首へ向けて灰色、黒とグラデーションにシャツを重ね着しているのが見える。足元はインディゴのジーンズと茶色のカジュアルシューズ。
私服に身を包んだ宗一郎は、普段よりもぐんと大人っぽく見えた。
どきんとどきんと伊織の心臓が鼓動を早める。
(そ、宗先輩の私服姿かっこいい……!)
あんまり胸がときめきすぎて直視できなくなった伊織は、もったいないと思いつつもふいと視線を宗一郎から逸らした。