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うおおおおっと体育館中が驚きの声に包まれる。
すごい、あんな細い子があんな豪速球を取った、うまい、すごいと体育館が揺れるように騒がしくなる。
宗一郎たちも驚きに目を見開いた。
伊織は呆気に取られている舞子に声をかける。
「舞ちゃんっ! 上げて!」
「あ、はい!」
舞子は言われるままにボールを高く上げた。
伊織はそれにあわせて踏み切り、高く飛び上がった。
綺麗に、その体がしなる。
伊織はボールが落ちてくるタイミングにあわせて、体全体をバネにして強くボールを叩きつけた。
伊織の放ったスパイクは、鋭角な直線を描いて勢いよく床に突き刺さる。
バシーンとボールがバウンドする音が響く。
体育館中が、しんと静まり返った。
ついで、怒号のような歓声。
うおおおおおっ! すげえスパイク! やるなあの子! そんな声がそこここから上がる。
伊織はまりあを振り向くと、ニッとブイサインをして見せた。
そんな伊織に、体育館中から、かわいい~かっこいい~という声が沸き起こる。
観衆も勢いも味方につけた。
後は勝つだけだ。
伊織は前を向くと、愕然とした表情の先輩に勝気に笑いかけた。
「さあ、いこーか」
宗一郎は、驚いてコート上で活躍する伊織を見つめた。
いまや全校生徒のほとんどが伊織に魅了されている。
「すごい……」
知らず、宗一郎の口からそんな感想が漏れる。
伊織はいつだってかわいくて宗一郎の目をひきつけて離さないけど、今日の伊織はいつものかわいらしい雰囲気とは違った。
伊織の均整のとれた体躯から作り出される綺麗なフォーム。
集中しているときの、凛々しい表情。
得点が決まったときの、弾ける笑顔。
輝いて、綺麗で。目を逸らせない。
ふと耳に体育館の歓声が飛び込んできた。
かっこいい~という女子生徒の声と、かわいい~と言う男子生徒の声がそこここから上がる。
この試合が球技大会の最終試合だ。試合後の表彰式もこの体育館で行われるため、ほぼ全校の生徒がここに集まってこの試合を観戦している。
宗一郎は焦ったような気持ちになってぎゅっと眉根を寄せた。
困る。これは困る。
みんなが彼女を見つけてしまう。
これをきっかけに、誰かが伊織のことを好きになってしまうかもしれない。
そう思うと宗一郎はいてもたってもいられなくなって、伊織をどこかに隠してしまいたい衝動に駆られた。
誰にも見せたくない。
伊織の笑顔も。
伊織の声も。
なにもかもを、独り占めしてしまいたかった。
「宗ちゃん……?」
切なげな顔で伊織を見つめる宗一郎に、まりあが訝しげに声をかけた。
宗一郎はそれにハッと我に返る。
「あ、ま、まりあ。ごめん、なに?」
「ううん……なんでもない」
まりあがどこか沈んだ表情で首を横に振る。
そのとき、隣りにいた牧が感心したように呟いた。
「それにしても、ほんとうにすごいな、鈴村。相手はブランクがあるとは言っても、関東大会に出たレギュラーだったんだぞ? それをあそこまで翻弄するとは……。鈴村は中学のときバレー部だったのか?」
すごい、あんな細い子があんな豪速球を取った、うまい、すごいと体育館が揺れるように騒がしくなる。
宗一郎たちも驚きに目を見開いた。
伊織は呆気に取られている舞子に声をかける。
「舞ちゃんっ! 上げて!」
「あ、はい!」
舞子は言われるままにボールを高く上げた。
伊織はそれにあわせて踏み切り、高く飛び上がった。
綺麗に、その体がしなる。
伊織はボールが落ちてくるタイミングにあわせて、体全体をバネにして強くボールを叩きつけた。
伊織の放ったスパイクは、鋭角な直線を描いて勢いよく床に突き刺さる。
バシーンとボールがバウンドする音が響く。
体育館中が、しんと静まり返った。
ついで、怒号のような歓声。
うおおおおおっ! すげえスパイク! やるなあの子! そんな声がそこここから上がる。
伊織はまりあを振り向くと、ニッとブイサインをして見せた。
そんな伊織に、体育館中から、かわいい~かっこいい~という声が沸き起こる。
観衆も勢いも味方につけた。
後は勝つだけだ。
伊織は前を向くと、愕然とした表情の先輩に勝気に笑いかけた。
「さあ、いこーか」
宗一郎は、驚いてコート上で活躍する伊織を見つめた。
いまや全校生徒のほとんどが伊織に魅了されている。
「すごい……」
知らず、宗一郎の口からそんな感想が漏れる。
伊織はいつだってかわいくて宗一郎の目をひきつけて離さないけど、今日の伊織はいつものかわいらしい雰囲気とは違った。
伊織の均整のとれた体躯から作り出される綺麗なフォーム。
集中しているときの、凛々しい表情。
得点が決まったときの、弾ける笑顔。
輝いて、綺麗で。目を逸らせない。
ふと耳に体育館の歓声が飛び込んできた。
かっこいい~という女子生徒の声と、かわいい~と言う男子生徒の声がそこここから上がる。
この試合が球技大会の最終試合だ。試合後の表彰式もこの体育館で行われるため、ほぼ全校の生徒がここに集まってこの試合を観戦している。
宗一郎は焦ったような気持ちになってぎゅっと眉根を寄せた。
困る。これは困る。
みんなが彼女を見つけてしまう。
これをきっかけに、誰かが伊織のことを好きになってしまうかもしれない。
そう思うと宗一郎はいてもたってもいられなくなって、伊織をどこかに隠してしまいたい衝動に駆られた。
誰にも見せたくない。
伊織の笑顔も。
伊織の声も。
なにもかもを、独り占めしてしまいたかった。
「宗ちゃん……?」
切なげな顔で伊織を見つめる宗一郎に、まりあが訝しげに声をかけた。
宗一郎はそれにハッと我に返る。
「あ、ま、まりあ。ごめん、なに?」
「ううん……なんでもない」
まりあがどこか沈んだ表情で首を横に振る。
そのとき、隣りにいた牧が感心したように呟いた。
「それにしても、ほんとうにすごいな、鈴村。相手はブランクがあるとは言っても、関東大会に出たレギュラーだったんだぞ? それをあそこまで翻弄するとは……。鈴村は中学のときバレー部だったのか?」