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夢小説設定
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「まりあちゃん! まりあちゃん大丈夫!?」
伊織はまりあに駆け寄ると、おなかを押さえてうずくまるまりあを助け起こした。
弾丸サーブをよけきれずに、もろにおなかで受けてしまったのだ。
まりあが苦しそうに咳き込む。
「まりあ!」
宗一郎が心配してコートに入ってきた。
伊織は宗一郎にまりあを預けると、弾丸サーブの先輩に歩み寄る。
「謝ってください!」
「謝る? どうして?」
「どうしてって……。まりあちゃんがケガしたじゃないですか!」
先輩はまりあの姿を一瞥すると、ハンと鼻で笑った。
「なによ、謝る必要なんてないじゃない。わざとやったんじゃあるまいし、あの子が鈍かっただけでしょ? それに、あの子の方が神くんに看病してもらいたくってわざとケガしたのかも知れないでしょ?」
その言葉に、伊織の何かがぷつんと音を立てて切れた。
「そんっなワケないでしょー! どこの世界に看病してもらいたいからってケガなんか進んでするおバカさんがいるんですか! もーう、怒った! まりあちゃんにケガさせといてそんな態度だなんて許せない! 先輩、本気でいきますから覚悟してくださいね」
「本気? ふん、今までだってたいしたプレーしてないくせに。いいわよ、見せてみなさいよ本気。どんなもんか楽しみだわ」
伊織は先輩をぎゅっと一回睨みつけると、くるりと背を向け、再びまりあの元へ戻っていった。
「まりあちゃん、大丈夫? 絶対仇はとるから。もうこてんぱんにして優勝するから。まりあちゃんはそこで見てて」
「伊織ちゃん、大丈夫?」
まりあが、幾分青ざめた顔で言う。
伊織はにこりと笑うとガッツポーズを作って見せた。
「まっかせて!」
まりあはコート脇で休んで、17組のチームはひとり少ない中での対戦となった。
ただでさえ負けているのに、圧倒的不利な状況だった。
この波乱の展開に、最終試合の様子を見に来ていたほぼ全校生徒がざわざわと騒ぎ立てた。
伊織は宗一郎によりかかりながら試合を見守るまりあに一度頷いて見せると、すぐに前を向いた。
「舞ちゃん。わたしもアタック打ちに行くから」
「え、伊織大丈夫なの!? 今までの練習で一回も……」
「大丈夫、まかせて。もうあのクラスやっつけまくり決定! まりあちゃん傷つけて謝らないなんて絶対許さない!」
伊織はテニスだけじゃなく、球技全般が得意だった。
もともとボールに対する感覚がいいのだ。
それに、相手のサーブは見えている。
これまでテニスで100キロを余裕で超えるサーブを打ち返してきているのだ。
あんなサーブ、なんでもない。
伊織は気合を入れると目を閉じて集中した。
まわりの音が遠ざかっていく。感覚が研ぎ澄まされていくのがわかる。
自分の呼吸の音と心臓の音。
それに耳を澄ませて、ゆっくりと目を開けた。
相手がサーブの位置についた。
伊織は腰を落とす。
絶対に、あの先輩は自分を狙ってくる。
相手の手からボールが離れる。
腕が振り下ろされる。
その腕の動きを見て、伊織は素早く弾道を読んだ。
着地予測地点に入り、ボールが来るのと同時に膝を使ってそれを受ける。
ふわりと、ボールが綺麗に弧を描いて浮いた。
絶好のレシーブだった。
伊織はまりあに駆け寄ると、おなかを押さえてうずくまるまりあを助け起こした。
弾丸サーブをよけきれずに、もろにおなかで受けてしまったのだ。
まりあが苦しそうに咳き込む。
「まりあ!」
宗一郎が心配してコートに入ってきた。
伊織は宗一郎にまりあを預けると、弾丸サーブの先輩に歩み寄る。
「謝ってください!」
「謝る? どうして?」
「どうしてって……。まりあちゃんがケガしたじゃないですか!」
先輩はまりあの姿を一瞥すると、ハンと鼻で笑った。
「なによ、謝る必要なんてないじゃない。わざとやったんじゃあるまいし、あの子が鈍かっただけでしょ? それに、あの子の方が神くんに看病してもらいたくってわざとケガしたのかも知れないでしょ?」
その言葉に、伊織の何かがぷつんと音を立てて切れた。
「そんっなワケないでしょー! どこの世界に看病してもらいたいからってケガなんか進んでするおバカさんがいるんですか! もーう、怒った! まりあちゃんにケガさせといてそんな態度だなんて許せない! 先輩、本気でいきますから覚悟してくださいね」
「本気? ふん、今までだってたいしたプレーしてないくせに。いいわよ、見せてみなさいよ本気。どんなもんか楽しみだわ」
伊織は先輩をぎゅっと一回睨みつけると、くるりと背を向け、再びまりあの元へ戻っていった。
「まりあちゃん、大丈夫? 絶対仇はとるから。もうこてんぱんにして優勝するから。まりあちゃんはそこで見てて」
「伊織ちゃん、大丈夫?」
まりあが、幾分青ざめた顔で言う。
伊織はにこりと笑うとガッツポーズを作って見せた。
「まっかせて!」
まりあはコート脇で休んで、17組のチームはひとり少ない中での対戦となった。
ただでさえ負けているのに、圧倒的不利な状況だった。
この波乱の展開に、最終試合の様子を見に来ていたほぼ全校生徒がざわざわと騒ぎ立てた。
伊織は宗一郎によりかかりながら試合を見守るまりあに一度頷いて見せると、すぐに前を向いた。
「舞ちゃん。わたしもアタック打ちに行くから」
「え、伊織大丈夫なの!? 今までの練習で一回も……」
「大丈夫、まかせて。もうあのクラスやっつけまくり決定! まりあちゃん傷つけて謝らないなんて絶対許さない!」
伊織はテニスだけじゃなく、球技全般が得意だった。
もともとボールに対する感覚がいいのだ。
それに、相手のサーブは見えている。
これまでテニスで100キロを余裕で超えるサーブを打ち返してきているのだ。
あんなサーブ、なんでもない。
伊織は気合を入れると目を閉じて集中した。
まわりの音が遠ざかっていく。感覚が研ぎ澄まされていくのがわかる。
自分の呼吸の音と心臓の音。
それに耳を澄ませて、ゆっくりと目を開けた。
相手がサーブの位置についた。
伊織は腰を落とす。
絶対に、あの先輩は自分を狙ってくる。
相手の手からボールが離れる。
腕が振り下ろされる。
その腕の動きを見て、伊織は素早く弾道を読んだ。
着地予測地点に入り、ボールが来るのと同時に膝を使ってそれを受ける。
ふわりと、ボールが綺麗に弧を描いて浮いた。
絶好のレシーブだった。