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夢小説設定
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「く~や~し~い~! 全然点が入れられない!」
舞子の言うとおり、点差は開く一方だった。
関東大会に出場した選手だけでなく、向こうもほとんどが有力な経験者だった。
このままじゃストレート負けしてしまう。
おまけに次は、関東大会出場経験者のサーブだった。
それが凄まじいスピードと威力を持ち、弾丸サーブと恐れられている球だった。
この弾丸サーブをいままでの試合でレシーブできたクラスはなかったらしい。
「次はあの弾丸サーブか……」
「どうしよう……、まりあ絶対取れない……」
まりあは青い顔でぶるぶる震えながら呟いた。
対戦チームのやり口は卑怯で、穴ばかりを攻めてくる戦法だった。
このチームの穴は、まりあだった。
これまではなんとか伊織がうまくカバーしてきたけれど、ここまで相手チームが強いと、さすがにカバーしきれない。
(それにあんまり目立ちたくないし……まりあちゃん、ごめん)
伊織は心の中でこっそりとまりあに謝った。
「まりあちゃん、ムリだと思ったら逃げちゃっていいから。あんなの当たったらケガするよ」
「うん、わかった」
舞子の言葉に、まりあは神妙に頷いた。
相手のサーバーが位置につく。
ボールが放たれる。
目にも止まらぬ速さで、ボールが床に叩きつけられた。
全員が息を呑んだ。
「は、はえ~。あれが女の打つ球かよ!」
「まさに豪速球よね。中学の時の大会も、ほとんどあのサーブとスパイクで勝ち上がってたって聞いたわよ」
小百合がコートから目を離さずに言った。
それはそうだろう。あんな豪速球、なかなか取れるものではない。
あのスピードでは弾道を読むことはおろか、見ることも難しい。
たとえ見えたとしても、今度は恐怖心が邪魔をする。
「や、あれブランクあるようには見えないっすよ、マジで。あー、うちの優勝は絶望的だ。松本が缶ジュースおごってくれるって言ってたのに……。それにまりあちゃん、狙われてるし大丈夫かな……」
「……ダメかもね」
「ええ、神さんそんなひどいこと!」
「というより、まりあだけじゃなくて、17組の全員、あのサーブに反応できないんじゃないかな」
言われてみればたしかに、全員棒立ちだったような気がする。
「ああ、やっぱり絶望的か……」
「いや……」
頭を抱えた信長に、牧が口を挟んだ。
「そうでもないんじゃないか。鈴村は見えてたみたいだぞ」
「まさかぁ! 伊織に限ってそんな……」
「ああ、伊織ちゃんなら見えてるかも。もしかしたらサーブだってとっちゃうかもしれないわね」
「ははは、何いってんすか牧さん、小百合さん。そんなわけないじゃないっすか、あの伊織っすよ?」
「……その伊織ちゃんだから言ってるんだけどな」
小百合は誰にも聞こえないようにポツリと呟いて、小さく息を吐いた。
そのとき、コート上で悲鳴が沸きあがった。
舞子の言うとおり、点差は開く一方だった。
関東大会に出場した選手だけでなく、向こうもほとんどが有力な経験者だった。
このままじゃストレート負けしてしまう。
おまけに次は、関東大会出場経験者のサーブだった。
それが凄まじいスピードと威力を持ち、弾丸サーブと恐れられている球だった。
この弾丸サーブをいままでの試合でレシーブできたクラスはなかったらしい。
「次はあの弾丸サーブか……」
「どうしよう……、まりあ絶対取れない……」
まりあは青い顔でぶるぶる震えながら呟いた。
対戦チームのやり口は卑怯で、穴ばかりを攻めてくる戦法だった。
このチームの穴は、まりあだった。
これまではなんとか伊織がうまくカバーしてきたけれど、ここまで相手チームが強いと、さすがにカバーしきれない。
(それにあんまり目立ちたくないし……まりあちゃん、ごめん)
伊織は心の中でこっそりとまりあに謝った。
「まりあちゃん、ムリだと思ったら逃げちゃっていいから。あんなの当たったらケガするよ」
「うん、わかった」
舞子の言葉に、まりあは神妙に頷いた。
相手のサーバーが位置につく。
ボールが放たれる。
目にも止まらぬ速さで、ボールが床に叩きつけられた。
全員が息を呑んだ。
「は、はえ~。あれが女の打つ球かよ!」
「まさに豪速球よね。中学の時の大会も、ほとんどあのサーブとスパイクで勝ち上がってたって聞いたわよ」
小百合がコートから目を離さずに言った。
それはそうだろう。あんな豪速球、なかなか取れるものではない。
あのスピードでは弾道を読むことはおろか、見ることも難しい。
たとえ見えたとしても、今度は恐怖心が邪魔をする。
「や、あれブランクあるようには見えないっすよ、マジで。あー、うちの優勝は絶望的だ。松本が缶ジュースおごってくれるって言ってたのに……。それにまりあちゃん、狙われてるし大丈夫かな……」
「……ダメかもね」
「ええ、神さんそんなひどいこと!」
「というより、まりあだけじゃなくて、17組の全員、あのサーブに反応できないんじゃないかな」
言われてみればたしかに、全員棒立ちだったような気がする。
「ああ、やっぱり絶望的か……」
「いや……」
頭を抱えた信長に、牧が口を挟んだ。
「そうでもないんじゃないか。鈴村は見えてたみたいだぞ」
「まさかぁ! 伊織に限ってそんな……」
「ああ、伊織ちゃんなら見えてるかも。もしかしたらサーブだってとっちゃうかもしれないわね」
「ははは、何いってんすか牧さん、小百合さん。そんなわけないじゃないっすか、あの伊織っすよ?」
「……その伊織ちゃんだから言ってるんだけどな」
小百合は誰にも聞こえないようにポツリと呟いて、小さく息を吐いた。
そのとき、コート上で悲鳴が沸きあがった。