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夢小説設定
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「ほい、到着! 忘れ物すんなよ」
「そっちもね」
二人は憎まれ口を叩きあいながら体育館へと歩き、その扉を開けた。
「チィーッス!」
「おはようございます!」
二人の声に、キャプテンの牧、チーフマネージャーの小百合、それから宗一郎とまりあが振り返った。それぞれがおはようと挨拶を返してくる。
広い体育館は閑散としていた。どうやら、他の人たちはまだ来ていないらしい。
「おはよう、伊織ちゃん。今日はノブくんと一緒なの?」
「おはようございます、小百合先輩。そうなんですよー。なんだか成り行きでわたしの自転車に乗せてあげることになっちゃって……」
「ええ!? そうなの!?」
伊織のその言葉を聞いたまりあが、大きな声を出す。
「やだー、二人ってほんとにすっごく仲がいいのね。うらやましいっ! ね、宗ちゃん?」
「あ、ああ、そうだね」
伊織の答えに思案顔だった宗一郎は、急に話を振られ、ぎこちない返事を返す。
そんな宗一郎に、伊織は首を傾げた。
宗一郎がまりあに上の空だなんて珍しい。いつもまりあの話はきちんと聞いているのに。
「どうしたんですか、神先輩? 具合でも悪いんですか?」
「え? ああ、いや……。もしかして、伊織ちゃんがノブを乗せる事になったのって俺のせいかなって」
「ああ! やだなあ先輩、違いますよ。バスケ部は帰りが遅いから自転車にしたんです。駅まで方向同じだから、ついでにノブも乗せてあげてるだけですよ。とはいっても、行きも帰りもノブが漕いでくれてるし、帰りは遠回りなのにわざわざ家まで送ってくれるみたいで、私のほうが楽させてもらってるんですけどね」
「へえ、あのノブが」
「ふふ、意外ですよね」
遠くで野生のサルのように素早く朝練の準備をしている信長を見て、伊織は笑いながら言う。
宗一郎は伊織のその様子を見て、ぼそりと呟いた。
「なんだかおもしろくないな」
「え?」
「ううん、なんでもない。さ、俺たちも準備しよっか」
「あ、はい!」
悪戯っ子のように唇に手を当てて言う宗一郎を不思議に思いながらも、伊織は元気よく返事をした。
朝練のメニューは、軽いウォーミングアップが中心だ。
とはいっても、筋トレだけでなくパス練習やシュート練習も行うため、用意する道具は多い。
ボール、ドリンク、タオル、ビブス、タイマーつきの電子得点板などなど……。
本来はマネージャーが準備するのだが、なにぶんキャプテンの牧は、誰よりも早く練習に来て、自分で準備もしてしまうような男だ。そのため、選手・マネージャー関係なく、先に来た人が準備をする流れになっているらしい。
(でも、選手である牧先輩や神先輩、一応ノブにも準備なんてさせられない!)
体育会系育ちの伊織は、先輩、ましてや選手に準備をさせるなど考えられないことだった。
こういうことは、マネージャーや一年の仕事。
伊織は素早くボールを体育倉庫から取り出しコート脇に用意すると、今度はまだ誰も手をつけていない得点板を取りに向かった。
これがなかなか大物で、女子の力での持ち運びは難しい。
通常は数人で用意するのだが、まだ練習に来ている人数は少なく、それぞれが各自に準備をしていて、手が空いている人は誰もいなかった。
これは一人で運ぶしかない。
(こう見えても力には自信あり!)
伊織はうしと気合を入れると、得点板に手をかけた。
ぐっと前のめりになって体重をかけると、得点板はそろそろと少しずつ前に進みだす。
この調子で徐々に重心を前に持っていけば、なんとかなりそうだ。
「そっちもね」
二人は憎まれ口を叩きあいながら体育館へと歩き、その扉を開けた。
「チィーッス!」
「おはようございます!」
二人の声に、キャプテンの牧、チーフマネージャーの小百合、それから宗一郎とまりあが振り返った。それぞれがおはようと挨拶を返してくる。
広い体育館は閑散としていた。どうやら、他の人たちはまだ来ていないらしい。
「おはよう、伊織ちゃん。今日はノブくんと一緒なの?」
「おはようございます、小百合先輩。そうなんですよー。なんだか成り行きでわたしの自転車に乗せてあげることになっちゃって……」
「ええ!? そうなの!?」
伊織のその言葉を聞いたまりあが、大きな声を出す。
「やだー、二人ってほんとにすっごく仲がいいのね。うらやましいっ! ね、宗ちゃん?」
「あ、ああ、そうだね」
伊織の答えに思案顔だった宗一郎は、急に話を振られ、ぎこちない返事を返す。
そんな宗一郎に、伊織は首を傾げた。
宗一郎がまりあに上の空だなんて珍しい。いつもまりあの話はきちんと聞いているのに。
「どうしたんですか、神先輩? 具合でも悪いんですか?」
「え? ああ、いや……。もしかして、伊織ちゃんがノブを乗せる事になったのって俺のせいかなって」
「ああ! やだなあ先輩、違いますよ。バスケ部は帰りが遅いから自転車にしたんです。駅まで方向同じだから、ついでにノブも乗せてあげてるだけですよ。とはいっても、行きも帰りもノブが漕いでくれてるし、帰りは遠回りなのにわざわざ家まで送ってくれるみたいで、私のほうが楽させてもらってるんですけどね」
「へえ、あのノブが」
「ふふ、意外ですよね」
遠くで野生のサルのように素早く朝練の準備をしている信長を見て、伊織は笑いながら言う。
宗一郎は伊織のその様子を見て、ぼそりと呟いた。
「なんだかおもしろくないな」
「え?」
「ううん、なんでもない。さ、俺たちも準備しよっか」
「あ、はい!」
悪戯っ子のように唇に手を当てて言う宗一郎を不思議に思いながらも、伊織は元気よく返事をした。
朝練のメニューは、軽いウォーミングアップが中心だ。
とはいっても、筋トレだけでなくパス練習やシュート練習も行うため、用意する道具は多い。
ボール、ドリンク、タオル、ビブス、タイマーつきの電子得点板などなど……。
本来はマネージャーが準備するのだが、なにぶんキャプテンの牧は、誰よりも早く練習に来て、自分で準備もしてしまうような男だ。そのため、選手・マネージャー関係なく、先に来た人が準備をする流れになっているらしい。
(でも、選手である牧先輩や神先輩、一応ノブにも準備なんてさせられない!)
体育会系育ちの伊織は、先輩、ましてや選手に準備をさせるなど考えられないことだった。
こういうことは、マネージャーや一年の仕事。
伊織は素早くボールを体育倉庫から取り出しコート脇に用意すると、今度はまだ誰も手をつけていない得点板を取りに向かった。
これがなかなか大物で、女子の力での持ち運びは難しい。
通常は数人で用意するのだが、まだ練習に来ている人数は少なく、それぞれが各自に準備をしていて、手が空いている人は誰もいなかった。
これは一人で運ぶしかない。
(こう見えても力には自信あり!)
伊織はうしと気合を入れると、得点板に手をかけた。
ぐっと前のめりになって体重をかけると、得点板はそろそろと少しずつ前に進みだす。
この調子で徐々に重心を前に持っていけば、なんとかなりそうだ。