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もう少しだってその場にいたくなくて、伊織はそれだけ告げると逃げるように体育館へ駆け出した。
「え、伊織!? ちょっと、待ってよそれじゃあ迎えに来た意味が……」
「伊織ちゃん?」
驚いたような声が背中から追いかけてきたけど、伊織は振り返ることなく体育館へと駆け出した。
「もう、伊織! 急にどうしたの? せっかく迎えに行ったのに置いてかれちゃったら意味ないじゃない」
「あはは、ごめんごめん」
でもおかげで憧れの神先輩とお話できたからいいけど、なんていう舞子に伊織は眉尻を下げて微笑んだ。
その言葉を聞きつけて、まりあがずいと舞子の前に顔を出す。
「ちょっと舞ちゃん! 宗ちゃんはわたしのなんだからね!? 宗ちゃんに優しくされたって思ってるかもしれないけど、宗ちゃんの優しさは標準装備なのよ! だから勘違いしちゃだめなの、宗ちゃんにはまりあしかいないの。わかった?」
舞子に言ってるはずのまりあの言葉が伊織の胸にぐさぐさと突き刺さった。
ほんとうにその通りだ。
なんてバカな勘違いをしてたんだろう……。
舞子はわかってるってばまりあちゃんたら! なんて言って、まりあの背中をばしんと叩いている。いたぁ~いと叫ぶまりあ。
ダメだ、なんか全てが遠く感じる。
とそのとき、何かが背中に勢いよくぶつかってきた。
その痛みに伊織は現実へと引き戻される。
「いった!」
驚いて振り返ると、信長がにやりと笑って立っていた。
足もとには、バレーボール。
痛みの原因は、これか。
伊織はコートから出て信長へと歩み寄る。
「おい、ボーっとしてんなよバカ伊織! 試合中に顔面にボールくらうぞ!?」
「くらわないわよってか今ボール思いっきりぶつけたでしょ!」
「いや、そんなことない。半分くらい手加減したぞ」
「半分か!」
くわっと伊織が怒るのと同時に、信長の頭にゲンコツが落ちる。
「ノブ、伊織ちゃんに何してんの」
「うわぁ、神さん!」
「伊織ちゃんにボールぶつけたの? へー、なんで?」
宗一郎がにっこりと信長に微笑む。
その笑顔になにかよからぬものを感じて、信長はだらだらと冷や汗を流した。
「うわ、神さんちょっと、顔! 顔笑ってるのに目ぇ笑ってナイッすよ! ちょっ、こわっ!」
「こわっじゃないだろ! なんでノブはいつもそう伊織ちゃんに攻撃ばっかすんの」
「だってアイツがダメダメなんですもん!」
「へー、そう」
「い、いひゃいいひゃい、ふんまへんひんはん!」
宗一郎が信長のほっぺを思い切り両手で引っ張った。
伊織の胸におかしさが込み上げてきた。
よかった。自分をなんとか取り戻せそうだ。
信長の伸びきった顔に伊織は声を上げて笑うと、それを見た宗一郎がほっとしたように微笑んだ。
信長のほっぺをつねっていた手を外すと、伊織に向き直る。
信長は涙目で自分のほっぺをさすった。
「よかった」
「え?」
「え、伊織!? ちょっと、待ってよそれじゃあ迎えに来た意味が……」
「伊織ちゃん?」
驚いたような声が背中から追いかけてきたけど、伊織は振り返ることなく体育館へと駆け出した。
「もう、伊織! 急にどうしたの? せっかく迎えに行ったのに置いてかれちゃったら意味ないじゃない」
「あはは、ごめんごめん」
でもおかげで憧れの神先輩とお話できたからいいけど、なんていう舞子に伊織は眉尻を下げて微笑んだ。
その言葉を聞きつけて、まりあがずいと舞子の前に顔を出す。
「ちょっと舞ちゃん! 宗ちゃんはわたしのなんだからね!? 宗ちゃんに優しくされたって思ってるかもしれないけど、宗ちゃんの優しさは標準装備なのよ! だから勘違いしちゃだめなの、宗ちゃんにはまりあしかいないの。わかった?」
舞子に言ってるはずのまりあの言葉が伊織の胸にぐさぐさと突き刺さった。
ほんとうにその通りだ。
なんてバカな勘違いをしてたんだろう……。
舞子はわかってるってばまりあちゃんたら! なんて言って、まりあの背中をばしんと叩いている。いたぁ~いと叫ぶまりあ。
ダメだ、なんか全てが遠く感じる。
とそのとき、何かが背中に勢いよくぶつかってきた。
その痛みに伊織は現実へと引き戻される。
「いった!」
驚いて振り返ると、信長がにやりと笑って立っていた。
足もとには、バレーボール。
痛みの原因は、これか。
伊織はコートから出て信長へと歩み寄る。
「おい、ボーっとしてんなよバカ伊織! 試合中に顔面にボールくらうぞ!?」
「くらわないわよってか今ボール思いっきりぶつけたでしょ!」
「いや、そんなことない。半分くらい手加減したぞ」
「半分か!」
くわっと伊織が怒るのと同時に、信長の頭にゲンコツが落ちる。
「ノブ、伊織ちゃんに何してんの」
「うわぁ、神さん!」
「伊織ちゃんにボールぶつけたの? へー、なんで?」
宗一郎がにっこりと信長に微笑む。
その笑顔になにかよからぬものを感じて、信長はだらだらと冷や汗を流した。
「うわ、神さんちょっと、顔! 顔笑ってるのに目ぇ笑ってナイッすよ! ちょっ、こわっ!」
「こわっじゃないだろ! なんでノブはいつもそう伊織ちゃんに攻撃ばっかすんの」
「だってアイツがダメダメなんですもん!」
「へー、そう」
「い、いひゃいいひゃい、ふんまへんひんはん!」
宗一郎が信長のほっぺを思い切り両手で引っ張った。
伊織の胸におかしさが込み上げてきた。
よかった。自分をなんとか取り戻せそうだ。
信長の伸びきった顔に伊織は声を上げて笑うと、それを見た宗一郎がほっとしたように微笑んだ。
信長のほっぺをつねっていた手を外すと、伊織に向き直る。
信長は涙目で自分のほっぺをさすった。
「よかった」
「え?」