12
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ふうとわざとらしく落ち込んだ様子で息を吐き出して、宗一郎が言う。
その様子に伊織が追い詰められたようになった。
「ええ!? ちょっともう宗先輩までなに言ってるんですか! わたしはちゃんと……」
そう必死に言い募る伊織に、宗一郎、牧、小百合、信長とまりあまでもが伊織を見て、一斉にため息を吐いた。
「ひ、ひどいみんなして……! いいです、もうわたしこの試合見ませんっ!」
言ってうわーんと駆け出そうとした伊織の腕を、宗一郎が掴んだ。
振り返って見ると、全員が腹を抱えて笑っている。
伊織はわけがわからなくて眉根を寄せた。
「あはは、待って伊織ちゃん! 冗談だよ、冗談」
「うう、冗談……?」
「ほんと、伊織ちゃんって冗談と本気の区別がつかないんだから。ああ、なんてかわいくて楽しいのかしら」
「鈴村はマジメに受け取りすぎなんだ。もう少し肩の力を抜かないと、これからどんどん生きにくくなっていくぞ」
「かっかっか、まったくだぜ! だからバカ伊織って言われるんだよ」
「伊織ちゃん、単純……」
口々に感想を言われ、伊織はがっくりとうなだれた。
みんなひどすぎる。
人をおもちゃにして遊んで、挙句ダメだししてくるなんて。
「うう、やっぱりバスケ部って性格悪い……」
「ふうん?」
そう呟きをこぼしたら全員ににやりと見られて、伊織は慌てて手を横に振った。
「あわわ、違いますウソです冗談です!」
「ははは、鈴村はほんとうにからかいがいがあるな。さて、そろそろ集合か。いくぞ、神」
「はい。それじゃあね、伊織ちゃん。俺のことも応援してね」
言って二人は颯爽とコートへと入っていった。
試合中、伊織はなんだか胸のつまる思いでそれを見ていた。
目の前の宗一郎はほんとうにかっこいい。
今もボールをもらって、抜群のコントロールで前線にいる味方に寸分違わぬパスを出している。
宗一郎がボールを受け取るたびに湧き上がる歓声。
ゴールを決めるたびに飛び交う黄色い声。
そのどれもが自分からはとても遠くて。涙が出そうになる。
誰にも見て欲しくない。誰にも触れて欲しくない。そんな風に思ってしまうのは伊織の勝手な独占欲。
(そんな権利も立場も、わたしにはなにもないのに……)
思い知らされる。
宗一郎の人気の高さ。
宗一郎との自分の距離。
そうだ。自分が宗一郎の近くにいれるのは、そのそばで話ができるのは、マネージャーだからだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
(そうだ。忘れてた……。宗先輩、いつも優しくしてくれてたから……)
少し特別かもしれないなんて、自惚れてしまっていた。
そんなことなかったのに。
全然、そんなことなかったのに……。
伊織は胸の痛みを堪えるように、小さく息を吐き出した。
その様子に伊織が追い詰められたようになった。
「ええ!? ちょっともう宗先輩までなに言ってるんですか! わたしはちゃんと……」
そう必死に言い募る伊織に、宗一郎、牧、小百合、信長とまりあまでもが伊織を見て、一斉にため息を吐いた。
「ひ、ひどいみんなして……! いいです、もうわたしこの試合見ませんっ!」
言ってうわーんと駆け出そうとした伊織の腕を、宗一郎が掴んだ。
振り返って見ると、全員が腹を抱えて笑っている。
伊織はわけがわからなくて眉根を寄せた。
「あはは、待って伊織ちゃん! 冗談だよ、冗談」
「うう、冗談……?」
「ほんと、伊織ちゃんって冗談と本気の区別がつかないんだから。ああ、なんてかわいくて楽しいのかしら」
「鈴村はマジメに受け取りすぎなんだ。もう少し肩の力を抜かないと、これからどんどん生きにくくなっていくぞ」
「かっかっか、まったくだぜ! だからバカ伊織って言われるんだよ」
「伊織ちゃん、単純……」
口々に感想を言われ、伊織はがっくりとうなだれた。
みんなひどすぎる。
人をおもちゃにして遊んで、挙句ダメだししてくるなんて。
「うう、やっぱりバスケ部って性格悪い……」
「ふうん?」
そう呟きをこぼしたら全員ににやりと見られて、伊織は慌てて手を横に振った。
「あわわ、違いますウソです冗談です!」
「ははは、鈴村はほんとうにからかいがいがあるな。さて、そろそろ集合か。いくぞ、神」
「はい。それじゃあね、伊織ちゃん。俺のことも応援してね」
言って二人は颯爽とコートへと入っていった。
試合中、伊織はなんだか胸のつまる思いでそれを見ていた。
目の前の宗一郎はほんとうにかっこいい。
今もボールをもらって、抜群のコントロールで前線にいる味方に寸分違わぬパスを出している。
宗一郎がボールを受け取るたびに湧き上がる歓声。
ゴールを決めるたびに飛び交う黄色い声。
そのどれもが自分からはとても遠くて。涙が出そうになる。
誰にも見て欲しくない。誰にも触れて欲しくない。そんな風に思ってしまうのは伊織の勝手な独占欲。
(そんな権利も立場も、わたしにはなにもないのに……)
思い知らされる。
宗一郎の人気の高さ。
宗一郎との自分の距離。
そうだ。自分が宗一郎の近くにいれるのは、そのそばで話ができるのは、マネージャーだからだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
(そうだ。忘れてた……。宗先輩、いつも優しくしてくれてたから……)
少し特別かもしれないなんて、自惚れてしまっていた。
そんなことなかったのに。
全然、そんなことなかったのに……。
伊織は胸の痛みを堪えるように、小さく息を吐き出した。